光太
そうだ…なんでおれ…忘れて…
東宮
良かった、思い出して
光太
てか、この世界なんですか
光太
死んでますよね、心達
友樹
そうだよ、君のご友人も、ご両親も死んでる
光太
なら、なんで生きて…
東宮
簡単に言ったらこの世界がパラレルワールドやからね
光太
パラレルワールド!?
光太
え、それどうやって戻るんですか!?
東宮
多分達也の事行けば戻るやろうけど
光太
なら、今すぐ戻りましょう!!
友樹
厳しいね、多分それ
光太
え…
友樹
だって、気配がするでしょ?
友樹
〝絶対に獲物を逃がさない獣の気配〟
光太
…っ…!?
東宮
達也からすれば元の世界は不都合や
東宮
この世界で一から作ることで、再生しようとしとる
友樹
歴史は繰り返すって言うしねー
友樹
俺等が島から出ようにも出られない
友樹
だってこの島の人間は言わば舞台装置だ
友樹
絶対に此処へ留めておく事が仕事だ
光太
…もしかして
光太
繰り返してます?
友樹
というと?
光太
俺が記憶がなくて、千夏ちゃんがいない
光太
千夏ちゃんがあちら側についた今、対応できる能力者は俺しか居ない…
光太
千夏ちゃんが俺を転校させたのは、『自分に対抗できる唯一の能力者だから』
東宮
…つまり、元の世界も誰かを忘却した?
光太
恐らくそれは、まほかさんですよ!
東宮
確かにあの子は裏切ったが…
光太
あくまで仮説ですが…
友樹
…ねぇ、2人って戦闘員?
東宮
自分はちゃうで
光太
俺は一応戦闘員ですが…
友樹
そう…なら、この状況は分かるね?
光太
っえ!?
[反射で防御魔法を作り出す]
[反射で防御魔法を作り出す]
ドォーーーーン!!!
夏叶
ちっ…
[杖を構える]
[杖を構える]
東宮
夏叶?
夏叶
はぁ…光にいに、ここまで教えてたんだ…
光太
夏叶君!?
光太
なんで…
夏叶
総理からの命令だよ
夏叶
3人共、知らなくても良かったことに気がついた…
夏叶
だから…
東宮
こりゃ…やばいな、友樹!!
友樹
言われなくても!!
夏叶
やめ時な
友樹
そう言われて俺が止まるとでも!?
夏叶
僕は能力がなかったら死ぬ
夏叶
能力ベースに体が出来てるからね
夏叶
…貴方に殺せる?
友樹
…卑怯だぞ…!!
[顔を歪める]
[顔を歪める]
夏叶
そうだね、でも…それは自分が弱いからでしょ?
夏叶
貴方は人を殺すことに躊躇しすぎだ
友樹
うるせぇ!!
友樹
“心音”
夏叶
…
[動かなくなる]
[動かなくなる]
東宮
…ほ…
光太
夏叶君!!
[駆け寄る]
[駆け寄る]
友樹
大丈夫、殺してない
友樹
少し心をいじっただけだ
光太
良かった…
夏叶
…卑怯だね
夏叶
殺せば良かったのに
友樹
殺すわけないだろ、いとこだぞ
夏叶
お姉ちゃんの事は見殺しにしたくせに…!!
友樹
っ…それは…
東宮
それに関しては自分らも責任がある
東宮
友樹だけのせいとちゃう
夏叶
ならなんで止めなかったの!?
夏叶
貴方方2人なら分かっていたはずだ!!
夏叶
お姉ちゃんの苦しみを…そして考えも!!!
東宮
それはあんたにも責任があるやろ!!
東宮
…あんたも気がついとった……なのに救おうと動かなかかった
夏叶
…だって、助けた所で死んでるじゃないか…
光太
夏叶君…
東宮
なら、生き返らせに行くか?
友樹
え
夏叶
無理だよ、なんかい僕が蘇生を試みたと思ってるの?
東宮
そりゃ、魔法やろ?
東宮
魔法ができない事を能力が、能力ができない事を魔法が補う
東宮
これが本来のパワーバランスや
友樹
…無に戻す能力か…
東宮
無かったことにする、つまり忘れる
東宮
…物事が最初から無かったようにする能力や
光太
探しましょう!!
光太
千夏ちゃんが、生きられるのであれば!
光太
夏叶君、協力してくれる?
夏叶
…お姉ちゃんと一緒に…生きられるの?
光太
うん
夏叶
卒業式も見にきてくれるの?
光太
もちろん!!
夏叶
お姉ちゃんの晴れ着姿も見れるの…?
光太
うん、なんなら結婚式も見れるかもよ?
夏叶
…
東宮
光太君、無理強いはオススメしないで
東宮
特に夏叶には…
夏叶
やる、お姉ちゃんともう少し…いや、ずーと生きたい!!
友樹
よし、やろう!
光太
うん!
友樹
じゃぁ、まずは樹の記憶を戻さないとな
夏叶
…解除の仕方あるの?
友樹
ニッヒー[笑顔を浮かべる]
友樹
総理から借りパクしてきたー
夏叶
わー、さすが友樹にい
次の日
光太
ってことなんだよね…
樹
まじかよ…
友樹
一応納得したんだ…
樹
そりゃぁな
友樹
じゃぁ、俺は校長室に居座ってるから
友樹
なんかあったらこい
光太
ありがとうございます
樹
…なぁ、光太
樹
前も聞いたかもだけど、お前この世界に居ようとは思わないのか?
光太
なんで?
樹
この世界なら心も、すずも生きてる
光太
だから、それは俺の身勝手なんだってば
光太
あの二人はもう居ない
光太
居ないなら、居ないで死んだ時にある楽しみが増える
樹
....身勝手か…
すず
どうおもう?
心
なにが?
すず
こうちゃん、居なくなるよこの世界から
心
…へぇ、そう
すず
うわ、興味持ったら?
心
どのみち、あいつは出るだろ
心
…俺らより上の存在を見つけた
心
ただそれだけのことだろ?
すず
そうだけど…なんかさ
心
わぁってるよ、俺だって負けたくない
すず
....いやだな、他の子に取られちゃうの…
すず
だって10年も一緒に居たんだよ!?
心
俺だってその気持ちは同じだ
光太
二人共ー!
すず
こうちゃん!!
光太
あのさ…俺と樹1週間ぐらい休むわ
心
なんで?
光太
ちょっと急用
すず
そっか
心
…なぁ、お前俺等と生きたいとは思わないのか?
光太
だってそれは…俺のわがままだし…
心
なにそれ
心
俺だってお前ともっと…一緒に生きていたかったのに
光太
ごめん…!
光太
でも、一緒に生きられない
心
なんでぽっとでのやつに…やつなんかに!!
光太
…しん…?
心
俺は!!!お前が誰と一緒に居ても耐えてきた…!!!!!
心
同性に対して恐怖心を抱くお前に、出来るだけ怖がらせないように細心の注意を払った!!
心
お前がさみしくならないように、出来るだけ一緒にいた
心
光太が他の誰かに笑いかけているのだって…耐えてきたのに…
心
取られるって分かった瞬間、もう一緒に居られないって分かった時の絶望が…
心
光太には分かるのかよ!!!!!!
心
お前の恐怖心を、過去を他の奴は理解出来るのかよ!!!!
心
態度を変えないのかよ!!!!!
すず
しん…落ち着いて
光太
知らないよ…!!
光太
それこそ、心が勝手に思っていてる事だろ!!!
心
俺は!!樹と同じだ…
心
友情にしては重すぎる、愛情ではない別の何か
心
それを光太に対して抱いた時点で結果が決まっていたんだろうな…
光太
ごめ…言い過ぎた…
心
光太さ、初めて会ったとき俺に言ったこと覚えてる?
光太
…?
心
…だよな、いいよ忘れて
心
どうせ死ぬんなら、光太の役に立って死にたかった…
光太
忘れらるわけないじゃん…
光太
綺麗な名前だね
光太
…でしょ?
心
…そうだよ、よく覚えてるな
光太
忘れるわけないじゃん
光太
俺にとって人生を変えてくれた人なんだから…
心
…すず、何か言いたいことある?
すず
.......光太、とにかく傷つかないで
光太
むりだよ
すず
そして、樹をどうにか守って
光太
あいつは守られるほど弱くないよ
すず
そうだね、なら平気だ
すず
…幸せになってね、それから…
すず
私を、見つけてくれてありがとう…!!
光太
こっちこそ…俺を知っても変わらないでいてくれてありがとう
東宮
人って言うのは、失ってから初めて存在の大きさに気がつく生き物や
東宮
特に死んでから気づくパターンが多いな
友樹
あずまもあるの?
東宮
自分はまだないで、そこまで人を愛してない
東宮
ま、さすがに友樹が居なくなったら寂しいな
夏叶
忘却かー…
友樹
夏叶はあるの?忘れたい記憶
夏叶
創られた存在のことかな
東宮
やめい重いのをぶち込むな
光太
戻りましたー
樹
ましたー
友樹
…お別れはすんだ?
光太
もう、きりがないんで
光太
それに、死んだら会えますし
東宮
変な所で潔いな〜
光太
行きましょう、一刻も早く総理の元へ
友樹
いや、総理の所じゃない
樹
親玉つぶさないと元の世界に戻れないだろ
友樹
この世界で無に戻すんだよ
東宮
まぁ、詳しくは移動中に話すわ
東宮
…ってことやで〜理解したー?
叶
いきなりきて、なにを言い出すかと思ったら…
陸叶
…本当に怖い力だね
渉
でもどうすんだよ
渉
千夏を連れ戻すことは不可能だろ
渉
アジトも分からないわけなんだし
友樹
それは、この人に教わりましょうー
夏叶
やっ!
叶
え、夏叶君に?
渉
なるほどな
渉
指示をだせ、陸叶
陸叶
なんで僕?
渉
魔法使いの禁じられた魔法の中には、捜索魔法がある
叶
それでアジトを出すってことか…
渉
アーシアさんの得意分野だ
陸叶
なんにしろ、僕が出す理由がない
陸叶
此処のリーダーは千夏ちゃんだ
渉
お前は補佐官だ、リーダー不在時にはお前が指示をだす
渉
…そういう決まりだったろ?
叶
お兄ちゃんは、あくまで千夏の代理
陸叶
…だとしても、僕は…
叶
あの子が戻って来るまでのリーダーよ
光太
お願い、陸叶
陸叶
…分かった
陸叶
ただし、参謀はお前がやれ渉
渉
俺!?
陸叶
お前なら完璧にコピー出来るだろ?
陸叶
千夏ちゃんの脳内
渉
…まだ完璧じゃねーよ
渉
小さい時から見てるけど、あいつの脳内はおかしい
光太
脳内って再現できるんですか
東宮
普通ならむりや
東宮
やけど…幼い時から一緒にいれば癖や思考はある程度分かる
東宮
怖いもんやな、美咲の予言が
光太
…お姉さんがどうかしたんですか?
渉
俺は姉ちゃんから参謀としての基礎を教わったからな
渉
千夏がいつ居なくなっても良いようにって…
渉
前は病気の事かと思ってたけど、今となっては意味が変わる
光太
最初から読んでいたって事ですかね
陸叶
どうだろうね、でも美咲さんならあり得るよ
夏叶
それで?僕は捜索魔法使っていいの?
陸叶
いいよ、やって
夏叶
やったー!!
渉
…コピーできた
渉
あいつなら…
渉
…ッ…
東宮
…どうしたん?
渉
あいつら…最悪だな
叶
だからなに!?
渉
薬作れる!?
叶
…作れるけど…どういうタイプ?
陸叶
もしかして
渉
叶ちゃん耳かして
叶
…へぇ
光太
一体…なんだろう…
夏叶
見つけた…
陸叶
んじゃぁ、やっちゃう?
渉
そうだな…全員近づけ
渉
総理にバレたら終わる、だから
渉
バレない様にいくぞ
東宮
楽しいなー
光太
…上手く行きますかね?
渉
…弱くなるんじゃねーよ
渉
こっちだってあいつの事は詳しい
東宮
んじゃぁ、まぁ…
友樹
俺等の目的は、千夏ちゃんの誘拐…でしょ?
光太
誘拐…
渉
…光太、樹は?
光太
樹なら…
千夏
あら、お久しぶりね
樹
なんで…お前裏切ったんだよ!!
千夏
…はぁ…、別になんだっていいでしょ?
樹
なんで…!!
千夏
うっさいな…
千夏
目的の為なら私は何だってする
千夏
それは君も知ってるでしょう?
樹
そうだけど、どうにも腑に落ちない…
千夏
あっそ
樹
おい!!お前…いいのかよ
千夏
だから、何が!?
樹
あいつを見守らなくて
樹
兄妹を見守らなくて…
千夏
…私の人生だからね
樹
…そうかよ
光太
えーーーーと…
夏叶
にしても、お姉ちゃんなんで裏切りなんて…
光太
…それは、陸叶達がどうにかしてくれるはず
光太
だから僕らは…
夏叶
情報を集める、でしょ?
光太
そう、ここなら能力の事からメンバーの事まで分かる
夏叶
…僕、あっち探してくる
光太
お願い!
陸叶
広叶
広叶
陸叶様?
広叶
どうかされましたか?
陸叶
広叶は、僕の願いなら聞いてくれる?
広叶
まぁ、ある程度は
陸叶
なら、今だけでいい
陸叶
力を貸して
広叶
はて…僕は何時でも貴方の味方ですが…
陸叶
今は違うでしょ
陸叶
今は…広叶は…今の広叶は…
広叶
ストップです
広叶
それ以上先は言わせません
陸叶
…ぁ…っ…!?
陸叶
(なんだこれ…!!声が出ない!?)
広叶
確かに、僕は貴方の味方です
広叶
今までも、これからも
広叶
死ぬまで貴方を…いえ、死んでからも見守り続けるつもりでしたよ
広叶
…ですが
広叶
状況が変わりました
陸叶
…じょうきょう…!?
広叶
あ、声出るんですね…
[陸叶の首に触れる]
[陸叶の首に触れる]
広叶
ほら、これなら息すら出来ないでしょ?
陸叶
…ゅ…ひ…
広叶
言ったでしょ、あの人は目的の為なら手段を選びません
広叶
…なので、今回ばかりは協力できません
広叶
それじゃ
[歩き出す]
[歩き出す]
陸叶
…っ…!!広叶!!
陸叶
“金属操作”!!
広叶
…時計の金属を固定しましたか…
広叶
(相変わらず、やっかいな能力だな)
陸叶
お前は…!!
陸叶
お前と、あの子は何を秘密にしているんだ!!
広叶
…言えません、約束ですから
陸叶
…そう…ならいいや
広叶
はぁ…落ち込んだ時の顔は、昔と変わりませんね
広叶
何度も言いますが、目的の為なら手段を問わない
広叶
それが千夏様でしょう?
陸叶
そうだよ、何度利用された事か
広叶
…信じて待っていてあげてください
広叶
それが我々の出来る唯一の罪滅ぼしです
陸叶
罪滅ぼし?
広叶
あの人を最後まで信じられなかったからですよ
広叶
仮にも相方でしょ
広叶
世界中が敵になっても、相方だけは
広叶
陸叶様だけは信じてあげないと
陸叶
…信じてあげたかったよ
広叶
そうですか
広叶
…陸叶様
陸叶
なに
広叶
叶様達は?
陸叶
…内緒
広叶
教えてください、今すぐです
陸叶
なんで
広叶
理由は後で説明します
広叶
良いから早く!!
陸叶
叶達なら、千夏ちゃんの所に…
広叶
アホなんですか!?
広叶
今すぐ止めないと…!!
陸叶
ちょっとまって、広叶!!
広叶
陸叶様、ごめんなさい!
広叶
今は一刻を争うんで!!
陸叶
ちょ…!!それはこっちも同じで…!
広叶
“空間接続”
陸叶
…行きやがった…
陸叶
…渉、そっち行ったぞ
[イヤホンを押さえる]
[イヤホンを押さえる]
渉
『了解』