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今日は美術の授業のために、公園までやって来た。

広い芝生が広がっていて、中央を大きな川が流れている。

アミキティア魔法学校は人工島だから、この川は学校の敷地内を一周回って循環している。

引率のプルムス先生から、今日の授業内容を言い渡された。

プルムス先生

今日は丸1日、ここで自由に絵を描いてください。

プルムス先生

題材も画材も自由。風景画でも似顔絵でも、特にモデルをもうけずイラストを描くのでも良し。

プルムス先生

ただし、採点の対象になるので、最低1点は完成させて提出してください

魔法を使うには、自分が使う魔法をしっかりとイメージする必要がある。

絵を描くのは、イメージを養う訓練には1番いいらしい。

ユウゴ

なんでもいいっていうのが、1番難しいよね

ショウリ

そうだね。
これを描けって指定されたほうが、描きやすいかな

ナミスケ

オレは絵なんて描けないから、どうでもいい

シシロウ

君達、真剣さが足りないぞ

ぼやいているとシシロウに怒られた。

シシロウ

魔法を使う時に毎回誰かに『この魔法を使え』と指示を受けてから魔法を使うわけではないんだ。

シシロウ

イメージした物を見えるように表現するというのは、魔法を使う者にとっての必須の技能だ。

シシロウ

魔法の授業が始まるブロンズクラスになるまでに、その下地を作るのが今のぼく達がやるべきことだと……

こうなるとシシロウは長い。

ノービスクラスの中では魔法をうまく使えるのもあって、魔法に関する話題になると、本当に話が長くなる。

メイカ

ショウリー、描こー

メイカが大きい画板にスケッチブックや絵の具を乗せて走ってきた。

ショウリ

何を描く?

メイカ

ショウリー。
ショウリを描くー

ショウリ

じゃあ、お互いの似顔絵を描こうか

メイカ

うんー

ショウリ

じゃ、ぼく達はあっちの方で描いてるよ

ショウリはメイカと一緒に、日陰になっている涼しそうなところに移動していった。

アルク

ユウゴ、おっすー

ユトリ

おはようございます

入れ違いでアルクとユトリがやってきた。

ホマレ

みなさま、ごきげんよう

少し後ろから、ホマレもついてきた。

ナミスケ

オレはあっちの方で適当に描いてるわ

ナミスケが立ち上がり、露骨に立ち去ろうとした。

アルク

あんた、あたしらのこと避けてない?

ナミスケ

女はうるさいから嫌いだ

詰め寄ってきたアルクにそう言い返すと、小走りで行ってしまった。

ウェヌス先生にはデレデレだったのに。

オトナな女の人が好きなのかな。

アルク

ユウゴは何を描くか決めた?

ユウゴ

まだ、だけど

ユトリ

私達も題材が決まらないので、みなさんにヒントでももらえればと思ってきたんですけど

シシロウ

ヒントを他人にもらおうなど考えがあまいな

シシロウの横槍に、ユトリが萎縮して、アルクの後ろに隠れた。

アルク

別に描く絵のとっかかりを誰かにもらうくらいはいいじゃないのよ

シシロウ

最初から頼ろうとする姿勢のことを言っているんだ。

シシロウ

半日くらい自分で努力したが納得いく絵が描けないとなったら、その時はじめて人に聞けばいいだろう

アルク

ひとりでやって半日何も描けなかったら、ただの時間の無駄遣いじゃないのよ

シシロウ

何の無駄もない。
ひとりでは出来なかったという結果が出ること自体に意味がある

ああ言えばこう言うの連続で、アルクとシシロウの意見は平行線をたどる。

ホマレ

シシロウさまが魔法を語り始めると長いので、放置して行きましょう

幼なじみでシシロウの性格をよくわかっているホマレが、アルクとユトリの手を引いて、この場を離れようとする。

シシロウ

おい、話は終わっていない……

アルク

んべー、ひとりでさみしく描いてればぁ?

アルクがダメ押しでシシロウに向けて舌を出す。

それがシシロウのプライドにとどめを刺したか、

シシロウ

勝手にしろ

と捨てゼリフを残して行ってしまった。

ユトリ

アルクさん、ケンカはダメですよ

アルク

ケンカを売ってきたのはあっちよ

ホマレ

そうですわ。
アルクさまは悪くありませんわ

シシロウを撃退して少しは気分が晴れたみたいだ。

アルク

だってさ、題材自由って何を描けばいいのよ?

ユウゴ

ショウリとメイカは、お互いの似顔絵を描くみたいだけど

アルク

似顔絵か、いいじゃん

ユトリ

風景画よりは時間をかけずに描けそうですね

ホマレ

お手本がすぐ近くにあるから、イメージの訓練にも良いと思いますわ

受け売りの似顔絵案だったけど、意外と好評だ。

アルク

じゃあ、あたし達は似顔絵にするとして、誰を描こうか?

ユトリ

2人組を作ってお互いを描くのが普通ですよね?

ホマレ

ですわね。
いかがいたします?

アルク、ユトリ、ホマレがぼくの顔をのぞき込む。

ユウゴ

えっと、何?

アルク

鈍いわね。
ユウゴは誰を選ぶのかって聞いてるのよ

なんかモテてる?

ユウゴ

ええー、そんなの急に言われても

ユトリ

ですよねぇ。
あたしの顔なんて描きたくないし、あたしに描かれるのだって嫌ですよね

アルク

ユウゴがはっきりしないから、ユトリがネガティブモードに入っちゃったじゃないの

ホマレ

レディを落ち込ませた罪は、とても重いのですわよ

違う、モテてない。 もてあそばれているだけだ。

ガイド妖精

トラブル確認。
トラブル確認

どこか近くでガイド妖精の音声が聞こえる。

誰かがアミ戦を始めるのだろうか。

ガイド妖精

トラブル確認。
トラブル確認

と思っていたら、ぼく達4人の目の前にガイド妖精が飛んで来た。

ガイド妖精

君達、もめていたな

今の会話を言い争いと判断されたみたいだ。

ユウゴ

いや、ただ話していただけで、もめていたわけじゃないよ

アミ戦に時間をとられると、授業終わりまでに絵が描け無いかもしれない。ここはもめ事などなかったと説得して、ガイド妖精に帰ってもらったほうが得策だろう。

アルク達も同じように思ったみたいで、ガイド妖精に弁解を始めた。

アルク

そーよ、あたし達、全然仲いいし

ユトリ

今から絵を描くところだったんです

ホマレ

アミ戦に時間をとられると、授業終わりまでに絵が描けませんわ

うん。ホマレはそのまんま言っちゃっているし。

ガイド妖精

安心しろ。
授業妨害をする気はない。

ガイド妖精

授業に影響がない競技であれば問題ないな

問題あるよ。

すぐに終わる競技だったとしても、アミ戦のあとは多少ギクシャクするから、みんなで絵を描くっていうのはできなくなってしまう。

ガイド妖精

君達が戦う競技は、似顔絵バトルロイヤルだ

【似顔絵バトルロイヤル】 ・参加者全員が円になって似顔絵を描く。 ・制限時間、90分。 ・評価は参加者全員の投票で行う。 (自分には投票できない) ・1番票が多い者に1ポイント。  1番以外は未クリア扱いだが、ペナルティなし。

ユウゴ

普通の似顔絵だ!

アルク

本当だ。
普通にただ似顔絵を描くだけだわ

この競技なら、アミ戦で時間を取られることもなく、終わった時には授業用の絵も描き終わっている。

ガイド妖精はあくまで学校側から派遣されている存在なんだなと、あらためて思った。

ぼく、ホマレ、ユトリ、アルク順で円の形に並んだ。

ぼくがホマレを、ホマレがユトリを、ユトリがアルクを、アルクがぼくを、それぞれモデルにして似顔絵を描く。

似顔絵を2人組で描くと、相手の顔を見るために顔をあげてもらって、そのたびに手を止めて守らな無いといけなくなる。

4人だと常に横顔を見ることができるので、みんな手を止めずに描き続けることができる。

ガイド妖精

制限時間は90分だ。はじめろ

まだ朝の10時なので、終了は11時半。

昼休みの前に終われるなら、むしろアミ戦になったのはラッキーかもしれない。

アミキティア魔法学校の闇

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