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アルク
ユウゴ
ユトリ
ホマレ
ホマレが顔を動かさずに、話しかけてきた。
ユウゴ
ホマレ
ホマレ
ホマレ
ユウゴ
ホマレ
アルク
後ろからアルクのツッコミが入った。
ウェヌス先生に魔力痕の中心を突かれて、魔力を開放されたからなんだけど。
ユトリ
ホマレ
ホマレ
言い訳っぽくなるから言い返さないでいたら、ホマレがフォローしてくれた。
ホマレ
ユウゴ
ホマレ
ホマレ
初めてホマレを見た時は高飛車なお嬢様かと思っていたけど、こうして話してみると、地に足がついたしっかりとした考え方を持つ女の子なんだな。
ホマレ
ユウゴ
鉛筆を持ち直して、似顔絵描きを再開させる。
アルク
ユトリ
なぜかアルクがユトリの頭をなでてなぐさめていた。
ぼくとホマレが話している間に、何かあったのだろうか。
画用紙に鉛筆を走らせながら、今回の競技、似顔絵バトルロイヤルのルールを思い返してみた。
特に引っかかったのは、描き終わった絵の評価は参加者自身の投票で行うことと、1番票が多い者がポイントをもらえるというところだ。
4人の中で飛び抜けて絵が上手い人がいた場合は、そのひとりに3票が集まるからわかりやすい。
ただ、絵はうまさと関係なく好みがあるから、票がバラける場合もある。
ひとりに2票、2人に1票と分かれた場合は、2票入った人が1番だろう。
気になるのは、2人に2票が入った場合。 この時は1番はどうやって決めるんだろう。
ユウゴ
ガイド妖精
ユウゴ
ガイド妖精
ユウゴ
アルク
アルク
ぼくを(本人いわくイケメンに)描いているアルクにツッコまれた。
ユウゴ
ユウゴ
絵を描くのは好きだけど、得意ってほどでもない。
特に似顔絵は人の顔を描くわけだから、上手い下手とは別に、似てる似てないという別の評価軸がある。
どんなに上手に絵を描いても、描かれた本人がその絵をよく思わなければ、別の人に投票するかもしれない。
そこが、この競技のルールの抜け道だ。
ガイド妖精は、2人が2票で並んだ場合、2人とも1番になるといった。
それなら、4人全員が1票ずつで並んだ場合、4人全員が1番になれるということだ。
うまく票がバラければ、4人全員がポイントをもらうことが出来る。
問題は、どうやって票をバラけさせるかということだ。
相談して投票する人を決めたら不正行為で失格になってしまう。
まず4人全員が、このルールの抜け道に気づく必要がある。 その上で、全員が別の人へ投票する。
それも相談も合図も送らずにだ。
アルク
ユウゴ
アルクに呼ばれて振り返る。
アルク
ユウゴ
アルク
ユウゴ
ちょっと首の角度がきついので、体ごと方向を変えて座り直した。
アルクは勝ちに行く気満々で、相談できたとしてもみんなで1票作戦には乗ってくれそうにない。
アミ戦がはじまったのは偶然だし、絶対に勝たなけれいけない理由もない。
ぼくも変に作戦を立てたりしないで、真面目に似顔絵を描いたほうがいいかもな。
考え方を改めて、自分の画用紙に目を落とす。
まだ、やっと全体の輪郭を描けた程度。
ちゃんと取り組まないと、時間内に描き終わらないかもしれない。
鉛筆を画用紙に当てたのと同じタイミングで、ブワッと突風が吹いて、画板ごと体が引っ張られた。
ユウゴ
ユトリ
ユトリも突風に煽られたみたいで、両手で前髪を抑えながら、芝生の上を転がっていった。
ホマレ
ホマレは不思議そうに、転んだぼくとユトリを見ていた。
アルク
今の風はアルクの魔法か。
ユウゴ
イスと画板を戻して、座り直した。
ホマレ
ホマレ
アルク
なんか小声が聞こえた気がするけど、また騒がしくなりそうだし無視しよう。
ユトリ
イスを直して座り直したユトリがホマレにたずねる。
ホマレ
ユトリ
ぼくの位置からだとホマレの描いている絵が見えるけど、ぼくより断然進んでいる。
ユトリの優しそうな口元や、長い髪のサラサラ感もよくあらわれている。
ぼくももっと真剣にホマレを観察して、ちゃんと描かないとな。
ホマレ
こちらの視線に気づいたホマレが、ぼくの方をチラちと見たので、目があった。
ホマレ
ホマレが頬を赤くして、両手で顔をおおった。
ユウゴ
ホマレ
ホマレが顔を隠していた両手をゆっくりと開ける。
その左手の薬指で指輪が赤く光った。
ホマレの指輪は魔法具《マギアツール》で火を発したり操る効果がある。
光が一瞬強くなったかと思うと、細かい火花がいくつも散って広がった。
火花がぼく達の画用紙に降りかかる。
画用紙のはしっこから、チリチリと燃え始めた。
ユウゴ
幸いにして小さな火だったので、上から2~3回たたいた程度で消火できた。
ユトリ
ユトリもギリギリで消化できたみたいだけど、震えた声で注意する。
アルク
アルクは風の魔法で防御して、火の粉の被害はなかったみたいだ。
ぼくとユトリの画用紙は、はしっこが少し焼けて穴があいてしまった。
ガイド妖精
ガイド妖精が経過時間を告げる。
まだ半分も描けていないのに、いつの間にか1時間たっていた。
さっきから突風に飛ばされて転ばされたり、火の粉で画用紙を焼かれたりと散々だ。
こんなに邪魔されては、アルクやホマレの絵がどんなにうまくても、投票したくない。
……あれ?
少し今の状況を整理しよう。
アルクとホマレに邪魔をされて被害をこうむったのは、ぼくとユトリの2人だ。
ぼくはアルクとホマレには投票したくないから、最後はユトリに投票する。 ユトリも同じことを考えていたら、ぼくに投票するはずだ。
これでぼくとユトリが1票ずつ。
あとはアルクとホマレがお互いに投票すれば、全員が1票で1位になれる。
もしかして、2人ともそうなるように仕向けて、あえて邪魔するような行動をしたのか?
アルク
ホマレ
アルクとホマレが似顔絵の仕上げに入った。
ぼくも負けじと鉛筆を画用紙にはしらせた。