95𝘻 𝘉𝘦𝘴𝘵 𝘧𝘳𝘪𝘦𝘯𝘥

僕は、キム・ソクジンさんという方が 付けてくださったテレビに、 目が釘付けになった。 キム・ソクジンさんなどの人が夕食の為に買い物に行くそうで、 僕は、留守番を任された。 どうやら、まだ帰ってきていないメンバーさんが 二人いるそうで… その二人が帰ってくるまで、テレビでも見ているといいと言われ、 テレビを見ていたら… 頭が…こんがらがりそうになる。

画面には、あの人達と楽しそうに笑う、 僕の姿が…映っていた。 信じられなくて、不思議でたまらなくて。 こんな番組をしていた記憶もないし…。 画面の中で、すごく生き生きと活発に動いている僕を見ると、 今の自分が、色あせて見える。 記憶をなくす前の僕と、記憶を失ってしまった今の僕。 どちらが…本物の僕なのだろうか。 すると、後ろの扉がガチャリと開いた音がして、 振り向くと、 そこには、センター分けの、 病院で僕が目を覚ました後、病室から出て行った人が立っていた。

何故、ここまで、胸が締め付けられるのだろうか…っ 分からないけど… 何故か、涙が止まらなくなる。 僕は、あふれ出して止まらない涙とともに、 呆然と立ち尽くした。 知っている気がする。 君を…どこかで。 名前を聞いた時に、その人が出した声で、 その「予感」は確実なものとなった。 パク・ジミンさん… あなたは… あなたは…夢の中で…僕に呼びかけてくれましたか…？ あなたの…その声を… 僕は、勿忘草の咲き誇る、あの原っぱで、聞いたことがあるんです。 あなたの声が、存在が、 僕の心を強く揺さぶる…。 この、切ないような、懐かしいような、悲しいような、 この甘酸っぱい不思議な気持ちは… 一体、何？

ジミンさんとテレビを見ていると、 そこへ、先ほどの買い物に行った人が、帰ってきた。 たくさんのパンパンになった買い物袋をかかえている。

それから、しばらくして、 キッチンから、良い香りがしてきた。