慎一郎
絞り出すような情けない声が自分の口から出た
これから俺は、遅すぎた初恋に終止符を打つ
ヘタレチキンこと神崎慎一郎は
浜本こずえに告白をするのだ
こずえ
目の前でアルカイックスマイルを浮かべる 浜本こずえという少女は俺の一つ年下の幼馴染である
才色兼備、文武両道、ついでに見目秀麗と謳われる彼女は プライベートではかなりの毒舌を発揮する
それら含めて浜本こずえに己は運悪くも恋をしてしまったのだ
自分で言うのはあれだが、本当に哀れな男だと思う
顔面と肩書だけで人を好きになれるほど自分は ロマンチストではないはずなので
きっと彼女のしたたかな性格にも 俺は惚れ込んでしまっている
慎一郎
こずえ
こずえ
自分は放課後残って教室を掃除する 優等生の鑑といえる彼女に歩み寄りそっと囁いた
慎一郎
俺の突然の告白にこずえの口元に浮かんでいた笑みが消え 教室が静寂で包まれた
俺は教室を立ち去ろうと踵を返す
こずえ
こずえが俺の腕を掴み、ぐっと後ろに引いた
突然のことに対応できずよろめいた俺の体を 抱きしめるように、こずえが支えている
こずえ
慎一郎
俺は大きく身を捩り、こずえの腕を振払おうとした
こずえ
明日からどの面下げて私と話すつもりです?
慎一郎
ぐぅの音も出なかった
こずえ
こずえ
三次元ではコミュ障なオタクみたいです
慎一郎
慎一郎
こずえ
なにか理由がるんでしょう?
こずえ
慎一郎
慎一郎
こんなにも心をかき乱されるんだろう
こずえ
こずえ
慎一郎
慎一郎
慎一郎
こずえ
こずえ
慎一郎
こずえ
こずえ
こずえ
慎一郎
慎一郎
慎一郎
慎一郎
恋愛観抜きにして昔から好きだった
こずえ
こずえ
慎一郎
慎一郎
今と関係性はそんなに変わんないだろうし
慎一郎
見苦しいって言われて
こずえ
こずえ
ドラマがあるのだとばっかり......
慎一郎
こずえ
夢に逃げたいこの気持ちが先輩には理解できないと仰るんですね
慎一郎
こずえ
こずえ
慎一郎
こずえ
慎一郎
慎一郎
こずえ
慎一郎
こずえ
こずえ
こずえ
どういう了見ですか!?
慎一郎
こずえ
こずえ
慎一郎
こずえ
慎一郎
こずえ
慎一郎
慎一郎
こずえ
慎一郎
こずえ
こずえ
慎一郎
こずえ
慎一郎
こずえ
慎一郎
慎一郎
こずえ
こずえ
慎一郎
慎一郎
こずえ
こずえ
こずえ
慎一郎
こずえ
慎一郎
こずえ
慎一郎
しかしながらこんな茶番劇を経たところで 曖昧な二人の関係は変わろうはずもなく
相変わらず鋭い言葉の刃に自尊心を傷つけられながら 俺達は帰路につくのであった