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ゆめ🫧(元こと)
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donuku
donuku
どぬくはカメラに向かっていつものように手を振り、個人配信の画面を閉じた
ふぅ、と小さく息を吐いて椅子の背もたれに体重を預ける
リビングの重苦しい空気から離れ、リスナーのみんなと喋っている時間は救いだった
けれど、配信画面が消えた途端、胸の奥にある「ぽっかりと空いた穴」が、またじわりと痛み出す
どぬくは、今しがた終わった配信のスパチャの履歴を、なんとなく眺めていた
最近、メンバーの間である「熱狂的なリスナー」の存在が話題になっていた
動画が投稿されれば真っ先に観に来てコメントを頻繁に残し、メンバーの個人配信にも必ず現れては、温かい励ましの言葉と共にスパチャを送ってくれるアカウント
メンバーたちは「熱心なファンがいてくれてありがたいね」と喜んでいたが、どぬくには、どうしても気になってしまうことがあった
そのリスナーは、どぬくの配信のたびに、必ず同じ言葉を添えてスパチャを投げてくれるのだ
『大好きです! いつも応援しています!』
donuku
どぬくは画面に映るその四文字を見つめながら、胸の奥にざわざわとした奇妙な違和感を覚えていた
あの夜、のあから冷酷な瞳で突きつけられた『私はあなたのことがいっちばん大嫌いだから』という拒絶の言葉
それがあまりにも深い傷として残っているからこそ、この見知らぬファンがくれる真っ直ぐな「大好き」の響きが、なぜか他人のものとは思えないほど、心の傷に不自然に引っかかる
donuku
どぬくは首を振って、パソコンの画面をパタンと閉じた
donuku
donuku
donuku
自分に言い聞かせるように呟き、どぬくは部屋の明かりを消した
自分の心が、無意識のうちに「のあさんからの愛」を求めて都合のいい錯覚を起こしているだけだと思い込もうとしながら
同じ頃、深夜の白い病室
noa
私は、ベッドの柵を白くなるほど強く握りしめ、襲いかかる激しい発作に耐えていた
心臓が破裂しそうなほどに暴れ、全身を針で刺されたような激痛が襲う
不治の病の進行を遅らせるための強い薬
その副作用と辛い治療は、小さな彼女の身体を限界まで痛めつけていた
看護師
顔面蒼白で駆けつけた看護師が、慌てて医療機器を操作しようとする
しかし、私は点滴の繋がった手でそれを優しく制し、荒い息を吐きながらも、信じられないほど穏やかな笑みを浮かべてみせた
noa
noa
看護師
看護師
看護師が切なそうに、信じられないといった目で私を見つめる
私は、胸元にぎゅっと抱きしめていたスマートフォンを少しだけ持ち上げ、愛おしそうに画面を見つめた
画面には、先ほどまで観ていた、からぴちの最新動画の画面が映っていた
noa
私の色褪せた桃色の髪が、窓からの夜風に微かに揺れる
noa
noa
動画の中で、じゃぱぱさんたちが、どぬちゃんたちが、いつも通り笑っている
自分が命をかけて守ろうとした、大好きなみんなの笑顔
それが、今の私にとって、どんな医療用麻薬よりも痛みを和らげてくれる、世界で唯一の特効薬だった
私は看護師が部屋を去った後、少し落ち着いた手つきで、再びスマホを操作した
自分の本心を、別垢という「ファン」の姿に変えて、どぬくの配信のアーカイブへ、もう一度、届かないアンコールのように言葉を残す
『大好きです。ずっと、ずっと応援しています』
画面の向こうの優しすぎる狐に向けて、私は暗闇の中で静かに微笑んだ
コメント
5件
みずもちさんの表現方法がもうめっちゃ好きなんですよ!!

ごめん見るの遅れたまじで神作
うわ、第7話めっちゃ刺さった……。どぬくが「大好き」ってスパチャに違和感覚えるとことか、のあさんの過去の拒絶がフラッシュバックしてる感じが切なすぎる。一方で、病室でのあさんが治療の激痛に耐えながら「からぴちの動画が特効薬」って笑うシーン、もう胸がギュッてなったよ。同じ「大好き」なのに、すれ違ったままの二人がもどかしくて、続きが気になって仕方ない🔥