氷麗
っ!
あたしが気づいたときには
氷麗
(碧唯くんの…領域)
嶺音先輩は碧唯くんやあたしに迫っていた
氷麗
碧唯くん…
碧唯
え?
氷麗
全部…全部思い出した
そう言ったあたしはまた
勢い良くパズルのピースを投げる
嶺音
もー、まだやってんの?
嶺音
しかもあたしに当たるようなやつじゃないし
氷麗
当てようとしてないですもん
氷麗
流石に命中力なんでそこはミスりませんよ
嶺音
じゃあなに──
嶺音
きゃあ!
今しがた嶺音先輩のうしろにとんでいったピースが
うしろから嶺音先輩に直撃する
嶺音
なんで…!!
氷麗
能力玉が効かなくて強さは通用しなくても
氷麗
あたしは命中力、1㎜のズレもなくあなたに当たるようにスピードをつけて
氷麗
途中でカーブするようにできてる
嶺音
そ、そんなの──
氷麗
ズルいですか?
氷麗
そうですよね、戦闘系のあたしたちと違って
氷麗
嶺音先輩は言葉で攻めるしかできないですもんね
嶺音
なっ…
碧唯
はっ
碧唯
イチカだけにいいとこはやんないよー
氷麗
ふふっ
嶺音
な、なんなのよ!
グラッ
嶺音
ひっ!
地面が揺れる
碧唯
この領域が誰のモノだったか、思い知れ
嶺音
いやぁぁぁあ!!!
氷麗
ふー
碧唯
戻ってきたねー
その後、嶺音先輩は学園で騒ぎ立て
警察が出てくる事態となった
氷麗
(なにしろ、斧振り回してたしね)
その事で、嶺音先輩のお父さんが隠蔽した碧唯くん殺害の罪も発覚し、逮捕。
碧唯
あーあ
碧唯
俺の武器も領域もなくなっちったー
碧唯
碧唯
ああ、この状況で攻めようってこと?
氷麗
ん?
碧唯
気づいてるよ
碧唯
出てこい
はち
はっ、気づきいーな
碧唯
まあね
碧唯
嶺音だけで動いてるわけではなさそうだったし
碧唯
で?何が目的?
はち
てん、お前には死んでもらう
碧唯
ふーん、やめとけば?
碧唯
はちの今の実力じゃ無理だね
はち
あぁ?
碧唯
残念だったね
碧唯
"優秀な"助手がいなくなって
はち
あ、あいつなんていなくてもな──
碧唯
バカだなぁ
碧唯
ま、それでも殺りたいならくれば?
はち
はっ
はち
そんな牽制くらいで怯むかよ
そう言ってはちさんが出したのは
氷麗
(また、包丁…)
はち
俺も人1人殺してるし
はち
こんなもん怖かねんだよ
碧唯
はは、そうなんだ
碧唯
まー俺も
碧唯
仕事はちゃーんと、やり遂げるよ
その瞬間はちさんが包丁を持って飛びかかる
氷麗
(無茶だ…)
氷麗
(碧唯くんは武器もないのに)
パズルを投げようとした瞬間はちさんが気づく
はち
ダメだよー、イチカちゃん
はち
イチカちゃんも危険な目にあいたくないでしょ?
氷麗
…ばっかじゃないの?
はち
へっ?
氷麗
あんた先に嶺音先輩使って武器奪って?
氷麗
そんだけハンデ貰っても余裕無いとかダサすぎ(笑)
はち
お前!!!
その瞬間パズルを投げる
氷麗
おう、あたし1人でも勝てるかも?
氷麗
というか
氷麗
はちさん、操られてるだけですよ!
はち
ああ!?
氷麗
優秀の型にはまる必要ないじゃないですか!
はち
うるせぇな、バカにはわかんねんだよ!!
氷麗
ヒドイ!!
はち
赤点赤点、また赤点
はち
そんなお前みたいなら期待なんてされない!
はち
だけど俺は親に期待させてしまった!
はち
その日から俺には味方がいなくなった!!
氷麗
…そうなんですね
氷麗
味方がいないなんて被害妄想しないでください
はち
はっ?
氷麗
あなたが、近くにいてくれた人の優しさを無視したんですよ
はち
俺の何を知って──
氷麗
知ってますよ!
氷麗
想像力のとき何度も話しました!!
はち
っ!
はち
ぁぁあ!!もう!
はち
…いい加減、死なせてくれよ…
碧唯
うん?
はち
ああ、もういい
はち
もうこんなとこヤなんだ
はち
自分で殺るよ
はち
もう疲れたんだ
氷麗
はちさん!!
碧唯
…絶好調、だったね
氷麗
…助けられなかったけど
氷麗
昔からはちさんは、意見されると対抗する
氷麗
それを利用してはちさんの気持ちを聞いて…
碧唯
うん、わかってた
碧唯
だけど仕方ないことだよ
碧唯
それに俺らはもう死んでんだ
氷麗
うん…
碧唯
…それに、俺らには未練なんかなかったりする
碧唯
どうして幽霊になったのかもわからない
碧唯
──それに
碧唯
黒幕が、いるみたいだ
氷麗
黒幕…?
碧唯
そう
碧唯
俺らの…いち、みい、しく、くう、れう、るうの中に
碧唯
他はもう消えたやつとか、俺、ふあ、ななとか
氷麗
どういうこと?
碧唯
はちの最後のセリフ
碧唯
"疲れた"
碧唯
アイツは…何に疲れたんだ?
氷麗
確かに…
氷麗
はちさんはいつも楽しそうに遊んでた
碧唯
最近は特に仕事もなく
碧唯
ただ、いるだけ
碧唯
そりゃあ他にも色々あるけど、結構これは決め手になったよね
氷麗
そっ…か
碧唯
まあ…目星はついてるけど
教室のなかを
冷ややかな風が吹いたように感じた。