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藤原丈一郎
丈くんの大きな声で、 俺は我に帰った。
藤原丈一郎
丈くんが必死の形相で はっすんに呼びかける。
大橋和也
これ、だめや。 暴れる流星を押さえつけていた はっすんは、1番近くで流星の悲鳴や 苦しんでる声を聞いとった。
やから、混乱しとる。 普段、誰よりもやさしいはっすんは、 大好きなメンバーが苦しんどるのに 自分は何もできなかったあの光景が 耐えられへんかったんやと思う。
西畑大吾
藤原丈一郎
俺の言葉に、 丈くんは驚いたような顔をした。
そうやんな。 さっきまで全く使い物に ならんかった奴が何言うとんねん、 そう思われても仕方ないよな。
西畑大吾
やから、安心して欲しい。 その思いを込めて丈くんの 目を見つめると、 丈くんはようやく表情を緩めた。
藤原丈一郎
西畑大吾
意識を失いグッタリと している流星に触れ、 俺が頭、丈くんに足を任せて 優しく抱え上げた。
藤原丈一郎
藤原丈一郎
高橋恭平
長尾謙杜
道枝駿佑
最年少2人組を見送ってから、 俺と丈くんは救急車に乗り込んで、 流星と一緒に病院へ向かった。
丈くんと大吾くん、 みっちーに謙杜を見送って、 未だ地面に座り込んだままの 大橋くんの背中に手を触れた。
高橋恭平
大橋和也
大橋くんから、返事はなかった。
大橋和也
聞こえて来たのは、 不規則で安定しない呼吸音。
高橋恭平
大橋和也
過呼吸気味になり、全身を震わせる 大橋くんの背中を摩り続ける。
俺は、それしかできへんかった。
どのくらい、そうしていただろう。
大橋和也
大分呼吸の安定した大橋くんは、 顔を上げて悲しそうに微笑んだ。
空の月を写してキラキラ輝く瞳は、 涙に濡れていて、なんだかとても儚い。 今すぐに、ここから 消えてしまいそうやった。
流星くんの目と同じやな。
手放せば、消えてしまいそうな危うさを感じ、咄嗟に大橋くんを抱きしめた。
大橋和也
少し戸惑ったような大橋くんの声を 背に、俺は腕に力を込める。
高橋恭平
大橋和也
大橋くんは俺の背中に手を回し、 全身で俺を包み込んでくれた。
高橋恭平
大橋和也
大橋くん、見ててくれたんや。
高橋恭平
大橋和也
俺と大橋くんはしばらく 抱きしめあって、 お互いの震える体を温め合った。
どちらからともなく体が離れ、 大橋くんと見つめ合う。
高橋恭平
大橋くんが抱え込んでしまって いたものを、俺にも半分分けて欲しい。 そう思った。 俺は大橋くんより年下やけど、 1人の人間として、大橋くんを 大切に思ってんで?
大橋和也
大橋くんは、困った顔しとる。 右手で鼻の頭をかくその仕草は、 大橋くんが迷った時によくする癖や。
大橋くんは、今、迷ってる。 俺に話すべきか、そうじゃないか。
大橋和也
高橋恭平
何の話か分からんかった。
大橋和也
高橋恭平
あの時や。 俺が、りゅちぇを追いかけて 1人で先に病気を聞いたとき。 きっと、あの時、大橋くんは俺を 追いかけて来てくれてたんや。
高橋恭平
大橋和也
大橋和也
高橋恭平
悔しそうに拳を握り締める大橋くんに かける言葉がみつからへん。
大橋和也
再び呼吸が乱れた大橋くんを 座らせて、俺はもう一度 大橋くんの背中を摩った。
高橋恭平
高橋恭平
大橋和也
子供のように大きな声を上げて 涙を流す大橋くんの瞳は、 パンパンに腫れてしまっていた。
流星くんが倒れてから半日。 彼はまだ眠ったままで、 一向に目を覚さない。
長尾謙杜
静かにベッドに横たわる流星くんの 顔色は、紙みたいに真っ白で、 血の気がなかった。
放っておくと、どこか遠くに行って しまいそうな危うさがある。
流星くんをどうにかこの場に 留めておきたくて、サラサラで 癖のない髪の毛を優しく撫でてみた。
長尾謙杜
昨日の晩からずっと流星くんに 付き添っていた丈くんや大吾くんは、 今は仮眠室で休んでもらっている。
病室にいるのは、俺と流星くんだけ。
みっちーは、恭平と大橋くんを 迎えに、マネージャーさんと一緒に あの場所へ行った。
長尾謙杜
僕がどんなに話しても、 流星くんからは何も返ってこない。
そんなこと、分かってる。
分かっている、けど。
長尾謙杜
涙が止まらなかった。
病室のことは長尾に任せて、 俺は恭平と大橋くんを迎えに行った。
半日ぶりに会った2人の姿は なぜだか眩しくて、 とても暖かい気持ちがした。
やっぱり、なにわ男子は7人や。
コレだけは、絶対に譲れへん。
道枝駿佑
2人と話をしていると、あっという間に 流星くんの病室の前にたどり着いた。
高橋恭平
恭平が、心配そうな顔で 大橋くんの腰に手を添えた。
高橋恭平
きっと昨日、 あの後に何かあったんやろう。
俺には分からへんかったけど、 大橋くんは深呼吸をしてから 大きく頷いた。
大橋和也
一言一言を噛み締めるような 大橋くんをみて、俺は流星くんが 待つ部屋の扉に手をかけた。
長尾謙杜
謙杜が、泣いとる。
声を押し殺して、静かに、 悔しそうに涙を流す謙杜を見ていたら、 俺は扉を開けられへんかった。
高橋恭平
大橋和也
恭平も大橋くんも、 苦しそうな顔をしとる。
道枝駿佑
流星くん。 もう少しで、みんな揃うで? 流星くんのことが大好きな なにわ男子全員で、会いに行くからね。