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藤原丈一郎

救急車来たで‼︎

丈くんの大きな声で、 俺は我に帰った。

藤原丈一郎

大橋!
ここまで救急車入ってこられへんみたいやから、2人で流星連れてくぞ‼︎

丈くんが必死の形相で はっすんに呼びかける。

大橋和也

…。りゅ、ちぇ…。

これ、だめや。 暴れる流星を押さえつけていた はっすんは、1番近くで流星の悲鳴や 苦しんでる声を聞いとった。

やから、混乱しとる。 普段、誰よりもやさしいはっすんは、 大好きなメンバーが苦しんどるのに 自分は何もできなかったあの光景が 耐えられへんかったんやと思う。

西畑大吾

丈くん‼︎はっすんは今、多分動けへん!
責任感じて背負い込みすぎとる‼︎
やから、俺が一緒に行く!

藤原丈一郎

でも、お前…

俺の言葉に、 丈くんは驚いたような顔をした。

そうやんな。 さっきまで全く使い物に ならんかった奴が何言うとんねん、 そう思われても仕方ないよな。

西畑大吾

丈くん、俺、もう大丈夫や。

やから、安心して欲しい。 その思いを込めて丈くんの 目を見つめると、 丈くんはようやく表情を緩めた。

藤原丈一郎

よっしゃ!大吾、行くで‼︎

西畑大吾

うん!

意識を失いグッタリと している流星に触れ、 俺が頭、丈くんに足を任せて 優しく抱え上げた。

藤原丈一郎

恭平!大橋を頼んだで‼︎

藤原丈一郎

みっちー、謙杜。
このまま病院まで来い。
俺と大吾が先に行って待っとるから。
流星はきっと、大丈夫や。

高橋恭平

任して下さい‼︎

長尾謙杜

わかりました!

道枝駿佑

はい‼︎

最年少2人組を見送ってから、 俺と丈くんは救急車に乗り込んで、 流星と一緒に病院へ向かった。

丈くんと大吾くん、 みっちーに謙杜を見送って、 未だ地面に座り込んだままの 大橋くんの背中に手を触れた。

高橋恭平

…大橋くん?
大丈夫?

大橋和也

…。

大橋くんから、返事はなかった。

大橋和也

ハァ、ハァ…ッ、ハ、、

聞こえて来たのは、 不規則で安定しない呼吸音。

高橋恭平

大橋くん⁉︎
どしたん?

大橋和也

んッ、ハァ、っヒュッ…
きょ、へい、ハァ…、ごめ、ん、な…

過呼吸気味になり、全身を震わせる 大橋くんの背中を摩り続ける。

俺は、それしかできへんかった。

どのくらい、そうしていただろう。

大橋和也

恭、へい…。もう、大丈夫や。
ごめんな…、ありがとう。

大分呼吸の安定した大橋くんは、 顔を上げて悲しそうに微笑んだ。

空の月を写してキラキラ輝く瞳は、 涙に濡れていて、なんだかとても儚い。 今すぐに、ここから 消えてしまいそうやった。

流星くんの目と同じやな。

手放せば、消えてしまいそうな危うさを感じ、咄嗟に大橋くんを抱きしめた。

大橋和也

⁉︎
きょ、へい?

少し戸惑ったような大橋くんの声を 背に、俺は腕に力を込める。

高橋恭平

…大橋くん?
どこにも、行かんでな?
ッ、俺を、置いていかないで、グスッ…

大橋和也

、?恭平、どうしたん?
なんで、泣いとるん?
ごめん。ごめんな?

大橋くんは俺の背中に手を回し、 全身で俺を包み込んでくれた。

高橋恭平

大橋くん?
大橋くんは、大丈夫ですか?
さっき、苦しそうやったから…。

大橋和也

ん〜?俺は、大丈夫やで?
ありがとうな、恭平…。
さっき、皆んなに指示出せて、すごかったな?怖かったやろうに、頑張ったな?

大橋くん、見ててくれたんや。

高橋恭平

はいッ…、怖かった…。
りゅちぇが、死んでしまうんやないかって。

大橋和也

そうやんな?俺も、怖かった…ッ。

俺と大橋くんはしばらく 抱きしめあって、 お互いの震える体を温め合った。

 

どちらからともなく体が離れ、 大橋くんと見つめ合う。

高橋恭平

ねぇ、大橋くん?
ほんとは何で、さっき、苦しくなったん?俺に、教えて欲しい…。

大橋くんが抱え込んでしまって いたものを、俺にも半分分けて欲しい。 そう思った。 俺は大橋くんより年下やけど、 1人の人間として、大橋くんを 大切に思ってんで?

大橋和也

そう、やなぁ。

大橋くんは、困った顔しとる。 右手で鼻の頭をかくその仕草は、 大橋くんが迷った時によくする癖や。

大橋くんは、今、迷ってる。 俺に話すべきか、そうじゃないか。

大橋和也

俺、な。
知っててん。流星の病気のこと。
流星が、皆んなに言う前に。

高橋恭平

え?

何の話か分からんかった。

大橋和也

少し前に、遊園地で撮影があったやろ?
そん時に、恭平と流星が話してるの聞いててん。

高橋恭平

⁉︎

あの時や。 俺が、りゅちぇを追いかけて 1人で先に病気を聞いたとき。 きっと、あの時、大橋くんは俺を 追いかけて来てくれてたんや。

高橋恭平

気が付かへんかったな…

大橋和也

なかなか言えへんくて、ごめんな…

大橋和也

でも、俺。
みんなより早く、りゅちぇの病気について知ってたのに、さっき、何もできへんかったッ…。

高橋恭平

大橋くん…

悔しそうに拳を握り締める大橋くんに かける言葉がみつからへん。

大橋和也

恭平が一生懸命指示出してくれてんのに、俺はそれに従うだけ…。ほんまに情けない…っ。悔しい。
大切なメンバーが、あんなに苦しんでるのに、何もできへんかった自分が許せへん。
それに、怖いねん…。もしりゅちぇが、俺と2人の時にあんな風になってもうたら、俺はりゅちぇを助けられるか分からへん…。どうしよう、って、凄く怖かった…。

再び呼吸が乱れた大橋くんを 座らせて、俺はもう一度 大橋くんの背中を摩った。

高橋恭平

大丈夫やで、大橋くん。
怖かったな?

高橋恭平

でも、大橋くんは何もできへんかったわけじゃないよ?
暴れるりゅちぇを抑えられるのは、大橋くんしかおらへん。大橋くんが抑えてくれたから、りゅちぇも安心したと思う。やから、大橋くんは、ちゃんとできてたで?

大橋和也

ん。ありがとう、恭平…!

子供のように大きな声を上げて 涙を流す大橋くんの瞳は、 パンパンに腫れてしまっていた。

流星くんが倒れてから半日。 彼はまだ眠ったままで、 一向に目を覚さない。

長尾謙杜

流星くん…?大丈夫やで。
きっとまた、こっちに戻って来てくれるよな?僕、ずっと待ってんで?

静かにベッドに横たわる流星くんの 顔色は、紙みたいに真っ白で、 血の気がなかった。

放っておくと、どこか遠くに行って しまいそうな危うさがある。

流星くんをどうにかこの場に 留めておきたくて、サラサラで 癖のない髪の毛を優しく撫でてみた。

長尾謙杜

流星くん、起きてや?

昨日の晩からずっと流星くんに 付き添っていた丈くんや大吾くんは、 今は仮眠室で休んでもらっている。

病室にいるのは、俺と流星くんだけ。

みっちーは、恭平と大橋くんを 迎えに、マネージャーさんと一緒に あの場所へ行った。

長尾謙杜

流星くん?
辛かったなぁ…。よく頑張ったね、、、今は、ゆっくり休んでええんよ?
流星くんが起きるまで、俺らが流星くんの居場所を守るから…。安心してな?

僕がどんなに話しても、 流星くんからは何も返ってこない。

そんなこと、分かってる。

分かっている、けど。

長尾謙杜

僕じゃッ…、頼りにならへんかもしれへん…。でも、僕だけじゃない。流星くんには、大吾くんがいるでしょ?流星くんのことが大好きで、…流星くんがおらんとおかしくなってまうくらい、あんたを愛してくれる人がおるッ‼︎
丈くんも大橋くんも、恭平も、みっちーも!………、みんな、ここにおるよ。

涙が止まらなかった。

病室のことは長尾に任せて、 俺は恭平と大橋くんを迎えに行った。

半日ぶりに会った2人の姿は なぜだか眩しくて、 とても暖かい気持ちがした。

やっぱり、なにわ男子は7人や。

コレだけは、絶対に譲れへん。

道枝駿佑

恭平、大橋くん。
ここです…。この先に、流星くんがおる。

2人と話をしていると、あっという間に 流星くんの病室の前にたどり着いた。

高橋恭平

ここに、おるんやな…。

恭平が、心配そうな顔で 大橋くんの腰に手を添えた。

高橋恭平

大橋くん、大丈夫?

きっと昨日、 あの後に何かあったんやろう。

俺には分からへんかったけど、 大橋くんは深呼吸をしてから 大きく頷いた。

大橋和也

…。大丈夫。
もう、大丈夫や。

一言一言を噛み締めるような 大橋くんをみて、俺は流星くんが 待つ部屋の扉に手をかけた。

長尾謙杜

…。ッ流星くん‼︎
流星、くん…、、、

謙杜が、泣いとる。

声を押し殺して、静かに、 悔しそうに涙を流す謙杜を見ていたら、 俺は扉を開けられへんかった。

高橋恭平

…謙杜、

大橋和也

ッ‼︎

恭平も大橋くんも、 苦しそうな顔をしとる。

道枝駿佑

あと少し、ここで待とうか…。
謙杜が落ち着いたら、みんなで、流星くんに会おうな。

流星くん。 もう少しで、みんな揃うで? 流星くんのことが大好きな なにわ男子全員で、会いに行くからね。

僕が君を忘れても

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