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代償

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代償

1 - 代償

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3,350

2022年06月30日

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こんばんはー!!!

今回は長編です。

るぅころとさとりーぬが ちょっぴしあります!

そしてなーくんが 話の中に出てくるので もし抵抗ある子が いましたら

ブラウザバックすることを おすすめ致します

人間関係に最近 疲れてしまいまして

どこかに同じ気持ちで 辛い思いしてる人がいたら

私の気持ちが届けば いいなと思いながら 作りました

すごく皮肉じみた 言い回しが多いので ご理解下さい

見る人によっては 重たっってなるかもですので お気をつけください

ハッピーエンドだし、 一応ラブストーリーでも あるので気軽に 読んでもらっても大丈夫です!

あとあと フォロワーさん 400人突破 ありがとうございます!!!

こんな駄作ばかりなのに 評価していただけて 感無量です߹ㅁ߹) ♡

ほんとに皆さん いつもいつも ありがとうございます

大好きです

ぷ。は読んでくださる みなさんの味方です

辛くなったら おいでくださいまし。

では、どーぞ!

誰にでも孤独な夜が訪れる

家族がいないとか 友達に裏切られたとか

好きな人に 別の好きな人がいたとか

そんな大きな理由はなくても 涙が止まらない夜が 誰にでもあると思う

自分が嫌になって 人と関わるのが面倒になって

余計に寂しさを感じる

僕はベッドから体を起こし 近くの海にやってきた

誰もいない海岸 波の音と髪を靡かせる風

自分ひとりしか この世に存在しないのかと 錯覚を起こすほどに

人気を感じない

るくん

はぁ...

体育座りで遠くの海を 眺めながら ため息をついた

るくん

いっそ消えてしまえたら

僕という存在が 初めからなかったことに できたらいいのに

死んでしまいたいとか そういう訳じゃない

誰にも気付かれずに 一瞬で消えてしまいたいのだ

シャボン玉のように ふわふわと浮かんで弾ける

綺麗だった、と そう思われて目を閉じたい

こくん

ねぇ〜、ほんとに
海はいるの??笑

さくん

まじでやめとけって笑

ジくん

よし、いっきまーす!!!

静かだった海に 学生たちの声が響いた

るくん

最悪...

せっかく1人になれたのに

そっと立ち上がり おしりに着いた砂を はらい落とした

暗くて顔はよく見えないが なんだか声に聞き覚えがあった

こくん

じゃあ、来れなかった
なーくんのために動画撮るから

こくん

ジェルくんなんか
面白いことやってよ笑

ジくん

その振りが1番キツイんやけど笑笑

さくん

じゃあ俺からいくわ!笑

るくん

...馬鹿みたい

心のどこかで 嫉妬していることに ちゃんと気づいてた

こんなひとりぼっちの僕に 正反対の人たちを 見せつけてくるなんて

神様も相当意地悪だ

家に帰って シャワーを浴びて

ベッドに潜り込んでみたが 眠気はやってこなかった

脳内ではさっき海で見た 学生たちの姿が いつまでもリピート再生される

あんなにキラキラ してる人たちは 僕みたいに悩むことは ないのかもしれない

悩む暇がないくらい 楽しいことで 日々が彩られてるんだろう

僕の見ている風景は モノクロの世界

同じ世界に生きてるはずなのに

僕だけ取り残されてるみたいで

るくん

透明人間みたい

たまに自分は 存在しているのか

自分が誰なのか 分からなくなる

ボーッと 天井を見つめて

ぼやける視界を 必死になって服の袖で拭った

何故泣いているのか 自分にも分からない

ピピピッピピピッ

耳障りな目覚まし時計が 朝を伝えた

支度を済ませて リビングへ入ると

お母さん

仕方がないでしょ

お父さん

じゃあ、勝手にしろ

いつも通り言い合いする 声が飛び交っていた

お母さん

あら、おはよう!

お母さん

朝食できてるわよ

さっきまでのお母さんは どこへ行ったのか

優しく笑顔のお母さんが 僕を見つめている

お父さん

今日は雨が降る
かもしれないから
傘を持っていきなさい

新聞を広げながら こちらに目線を向ける

るくん

うん、分かった

2人は僕の前では いつもこんな感じ

もう僕は子どもじゃない

いや、子どもの頃から 2人が喧嘩していることなんて 気づいていた

2人が嘘ついてることなんて 分かりきっている

ただ、必死に隠そうと しているから

その嘘に付き合っている

るくん

ご馳走様

るくん

美味しかった

お母さん

ありがとう!

お母さん

今日は何時に帰ってくるの?

お父さん

もう、るぅとも大人なんだから
そこまで聞かなくてもいいだろ

お母さん

親なんだからいくつに
なっても心配になるのはっ...

るくん

9時くらいには帰るよ

また喧嘩が始まりそうに なったので口を挟んだ

お母さん

あら、そう...

お母さん

ごめんなさいね笑
あんまり聞かないようにするわ

お母さん

自由に好きにしていいからね

るくん

うん、心配ありがと

るくん

じゃあ行ってきます

家にいるというのに こんなに気を使わなきゃ いけないなんて

家族というのは とても厄介なものだ

これから雨が降るなんて 感じさせないくらい 外は晴れていた

イヤフォンをして 学校に行くこの時間は 好きだ

音楽に浸って 誰にも邪魔されない

僕だけの世界

りくん

るぅとくん!

後ろから肩を2回ほど 叩かれて振り向くと

クラスメイトのりいぬが 立っていた

りくん

おはよっ

るくん

おはよう

もうひとつ 好きなことがある

りくん

昨日の夜ね、テレビ
みてたんだけどさ...

りいぬとの時間だ

りいぬといるときは 素でいられる

無理に気を使わなくていいし 自分の存在を感じる

でも最近それが 悩みの種だったりする

りくん

そしたら、さとみくんが
急に電話してきてさ...笑

りいぬに恋人ができた

友だちと恋人は 比べるものでもないし

どちらが上とか下とか 天秤にかけていいものではない

そんなこと分かってるけど

りいぬから恋人が出来たと 伝えられた時 素直に喜べなかった

もちろん幸せでいてほしい

りいぬが幸せなことに 嫉妬してる訳ではない

ただ、りいぬには もう僕の代わりとなる 僕以上に大切な人が できてしまった

それがとてつもなく 僕を寂しくさせた

僕が居なくなってもいい 理由ができてしまった

そんな風に捉えてしまう 天邪鬼な自分にも嫌気がさした

僕は侘しい人間だ

僕の席は窓側の1番後ろの席

恋愛漫画じゃ必ず 何か起こる人が座る 特等席だけど

現実じゃただの根暗が 本を読むのに相応しい 何の変哲もない席でしかない

りくん

じゃあ、今日も
1日頑張ろうね〜

りいぬは僕の席から 2つ前の席で 地味に遠い距離だ

こくん

おっはよ〜!!!

ジくん

朝からうるさ笑

今日も学校の人気者が 登場すると 空気が一気に明るくなる

さくん

オールだから
やけにテンション高いな笑

こくん

絶対今日の授業爆睡だわ笑

ジくん

でも5限の先生で寝たら...

僕はここで気がついた

昨日の夜海にいた 学生の正体を

1人になりたかったのに センチメンタルな気分を 壊してきた犯人たちが

目の前のクラスの 人気者たちだったことを

るくん

あ、準備しなきゃ...

一限の課題をするのを 忘れていたことに気づき

急いでロッカーに向かった

るくん

教科書...あれ

ロッカーの中を 覗き込んでいると

こくん

ねぇ、るぅとくん??

突然後ろから名前を呼ばれ 驚いて振り返る

るくん

な、なんですか

こくん

ごめんごめん笑
驚かすつもりはなくてさ

笑いながら僕の落とした 教科書を拾って差し出してきた

軽く会釈をして 教科書を受け取る

こくん

昨日の夜のこと
なんだけどさ...??

こくん

もしかして海にいた??

るくん

え??

こくん

いや、人違いだったら
謝るんだけど

こくん

なんか後姿似てるなって
思う人がいてさ

るくん

えっと...

まさかあの場に僕が いた事に気づいていたとは 思っていなかった

こくん

夜遅かったし、1人で
海にいたから

こくん

心配でさ

るくん

...嘘つき

こくん

え??

人は大抵善良な自分が好きだ

元気のない友達を 励ましてあげている自分とか

誰かのために 優しさを振りまく自分とか

人のため、だと すぐに錯覚するが

自分自身のエゴに過ぎない

だから思ってもないことを 簡単に口にできる

心配してるだとか いつでも頼ってだとか

それが自分のためだとも 気づかずに

ころちゃん

昔はそう呼んでいた

家に泊まったり 毎日のように遊んでいたのに

いつしか挨拶すら 交わさなくなって

見えない大きくて高い 分厚い壁が僕らの間に建てられた

でもそれは当たり前のことだ

生きていれば色々な人と 出会って変わっていくもの

隣にいる人も 自分自身も

なにもかも変わっていく

ただ、僕は変わりたくても 変われなかった

周りがどんどん 進んでしまうのを

遠くから見つめることしか できなかった

いつの間にか叫んでも 届かないほどの 距離が空いてしまった

孤独

人はこうやって 1人になっていくのだろう

先生

おい、2人とも
教室入れ〜

先生

HR始めるぞ

るくん

はい

僕はロッカーの扉をしめて 目も合わせず教室へ戻った

先生

今日も暑いから
熱中症に気をつけるんだぞ

先生

ちゃんと水分取れよ〜

考え事をしていると あっという間に 時間が進んでいて

早送りをしている気分だ

りくん

ねぇ、一限の先生
夏バテで休みだって〜

るくん

え、そうなの??

いったいどこから その情報が出回ったのか 分からないが

クラスメイトの騒がしさから 事実らしいことが伺える

僕とりいぬの間を挟む 席は今日も空いていた

学年一の優等生の なーくんの席だ

りくん

今日もお休みなんだね

僕の視線に気づいたのか りいぬが席を詰めて座ってきた

名前を出さなくても 彼のことだと分かる

りくん

噂によるとジェルくんと
なんかあったらしいけど

りくん

真実は分かんないよね

スマホをいじりながら 小声で僕に問いかける

るくん

そうだね...

るくん

仲良さそうだったけど

学生のうちの会話の ほとんどはこれで成り立っている

しかしどの噂にも 大した確証は得られないし

だいたい話が盛られていたり 捏造だったりする

もしかしたら、 それが本当なら、

そうやって 誰かの創造が独り歩きして 最終的には 全く違う姿に変わっている

きっと他人事だから 楽しいのだろう

その好奇心が 時に誰かを傷つけてしまうとは 考えもせずに

そうと分かっていても 間に受けてしまうのが 子どもなのだろう

子どもの集団とは 恐ろしい

しかし大人の世界にも 子どもが溢れかえっている

いつまでも抜け出せない のかもしれないと思うと

急に繋いでいた手を 振りほどかれて 下へ落ちていく感覚になる

りくん

...くんっ...るぅとくん!

るくん

え!?

名前を呼ばれて顔を上げると りいぬが心配そうに 僕を見ていた

るくん

ごめん...考え事してた

りくん

大丈夫??

りくん

最近...るぅとくん
ボーッとしてること多いよね

るくん

夏バテかな?笑

笑って誤魔化してみたけど りいぬの顔は歪んだままだった

キーンコーンカーンコーン

僕にとっては都合よく チャイムが鳴った

りいぬは何か言いたげな 顔をして自分の席へ 戻って行った

なんだかあの後から りいぬと気まづくなって

6限の授業が終わった後 先に帰るとだけ伝えて 急いで教室を飛び出した

ドンッ

るくん

あ、すみません

周りが見えておらず 階段で誰かにぶつかった

さくん

るぅと??

さくん

なんか顔色悪いぞ??

るくん

大丈夫です

そのまま階段を下がろうと した時に何かが 変なことに気がついた

るくん

あれ、どうして...

多分僕が1番に 教室を出たはずなのに

なぜ同じクラスのさとみくんが 下の階から上がって きたのだろうか

そういえばHRに さとみくんの姿が なかった気がする

さくん

ちょっと友だちと
話してたから

さくん

HRすっぽかした

るくん

あぁ...なるほど

心做しかさとみくんの 表情は寂しそうだった

片手にはスマホを握っていた

恐らく電話をしていたのだろう

相手はなーくんだろうか

るくん

明日は会えると
いいですね

思わず呟いてしまった

るくん

あっいや...

焦って言い直そうとすると

さくん

無理そう笑

さくん

じゃ、また明日な!

さとみくんは笑って 行ってしまった

帰り道、さとみくんの なんとも言えない 空元気な笑顔が 頭から離れなかった

階段を駆け上がっていく 後ろ姿が悲しかった

みんなそれぞれ悩みを 抱えているんだ

あんなに輝いて見えても 近くで見ると 傷ついていたりする

るくん

ころちゃんにひどい
こと言っちゃったな...

僕は過去を 気にしすぎている

心の寂しさを 人のせいにしているだけだ

1番醜いのは 僕自身なのに

自分の弱さを 受け入れきれない

人に期待しすぎるばかりに すぐに裏切られた気になる

るくん

はぁ...

るくん

僕って最低

コンクリートからの 熱を感じながら

僕は遠くの海に 目をやった

誰か助けて

そうやって素直に 言えていれば

僕も変われたかな

みんなと同じように 笑えただろうか

るくん

ごめんなさい...

トラックのクラクションが 全身に響き渡る

どこか遠くへ

ジくん

何してん!?

急に後ろから腕を 引っ張られた

目の前にはすごい勢いで トラックが通り過ぎた

心臓がはち切れそうだ

怖くて怖くて 体から一気に力が抜けた

ジくん

後ろ乗って

僕の体を持ち上げて 自転車の後ろに乗せた

頭が真っ白で 何も話せなかった

それでもジェルくんは 何も言わずに 優しく背中を撫でてくれた

ジくん

ほら、ここ座って

何も考えずジェルくんの家に ついて来てしまったが

こんなにしっかり話すのも 久しぶりな気がする

るくん

...すみませんでした

ジくん

謝らんでええから笑

ジくん

怪我はなさそうやな

頭を優しく撫でて

どこかへ行ってしまった

部屋を見渡すと1番 目に入る棚の上に 写真が飾られていた

ジェルくんの隣には 満面の笑みのなーくん

やっぱりあの噂は 嘘だったと確信した

こんなにも幸せそうに 笑うふたりに 亀裂が入るなんて有り得ない

ジくん

はい、紅茶飲める??

るくん

わざわざ
ありがとうございます...

甘い香りのする 紅茶を口へ運んだ

るくん

美味しい...

ジくん

良かった

ジくん

やっぱりるぅちゃんの
笑顔はええなぁ!!

るくん

え...??

ジくん

最近眉間に
シワよってんで笑

そう言って僕の眉間を つついてきた

思わず吹き出してしまう

るくん

ははっ笑笑

ジェルくんは驚いた顔をして 嬉しそうに笑った

ジくん

人を笑わせるのが
俺の唯一の得意技やねん

優しい人だと 心から思った

るくん

素敵ですね

るくん

ジェルくんが隣にいたら
みんな笑顔になりますよ

ジくん

ほんまに??

目を輝かせて笑う ジェルくんは少年のようで 眩しい

ジくん

その笑顔りいぬとか
ころんにも見せてあげたいわ

るくん

どうして??

ジくん

あの2人ずっと
るぅちゃんのこと心配してんで

知らなかった

僕が誰かに気にかけて もらえてるなんて

思ってもいなかった

ジくん

変にしつこく聞くのも
うざったがられそうで

ジくん

声掛けられへんって

ジくん

でも、見てるだけなのは
辛いって苦しそうやった

るくん

そんな...

じゃあ、今日2人が 声掛けてくれたのは

きっと相当な勇気を出して くれていたのだろう

それなのに僕は...

ジくん

ころんさ、あほやから
誤解されやすいんやけど笑

ジくん

ほんまに良い奴やねん

るくん

分かってます...グスン

1番近くにいた僕だから

ころちゃんのこと よく分かってる

言葉が足りないから すぐ誤解させるけど

素直で悪気なんかなくて むしろみんなを大切にしてて

1人ですぐ我慢する

泣き虫で感受性豊かな 真っ直ぐな人

ジくん

ころんは何も
変わってへんよ

その一言で堰き止めていた 涙が一気に溢れた

ジくん

いつもるぅちゃんの
話してるんよ笑

ジくん

そんなに大事な人なら
話しかければええやんって
言ってるんやけど

ジくん

毎回、大事だから
話しかけられへんって

ジくん

るぅちゃんは僕なんか
嫌いやと思うからって

ジくん

きっところんなりに
考えてるんやと思う

るくん

うん...グスン

過去の自分を ものすごく恨んだ

ずっところちゃんは 僕のことを置き去りになんて していなかった

見捨てていたのは 僕の方だ

ずっと逃げていた

笑いものにされて しまったらどうしようと 自分のことばかり心配して

ころちゃんのことなんか 考えずに自分勝手だった

ジくん

るぅちゃんは自分の
こと責めたらあかんで

ジくん

それが1番
ころんを傷つけるで

るくん

でも...グスン

ジくん

俺の口からは
言えへんけど

ジくん

ころんがるぅちゃんと
距離を置いた理由は
ちゃんとある

ジくん

いつになるかは
わからんけどその時は

ジくん

ちゃんと聞いて
あげてやってな

るくん

分かった...

あれから時間が経って 僕がジェルくんの家を 出た時には

あたりは真っ暗だった

ジくん

なんか久しぶりに
話したな

ジくん

話せてよかったわ

るくん

僕も...

るくん

本当にありがとう

るくん

助けてくれて

ジくん

もっと早く
助けるべきやった

るくん

みんな自分のことだけで
精一杯なんだから

るくん

当たり前のことですよ

口にした後に しまった、と思った

ジくん

自分のことか...

きっとなーくんのことを 考えているだろう

触れないようにしていたのに つい口が滑ってしまった

るくん

ごめん...

るくん

デリカシーなかった

ジくん

なんで笑

ジくん

るぅちゃんは
すぐ謝るな笑

笑っているのに悲しそう

放課後のさとみくんの 表情と重なる

ジくん

なーくんのこと
気になってるんやろ

るくん

いや、別に無理に
話さくていいよ??

ジくん

喧嘩したんよ

ジくん

殴り合いになるくらいの

るくん

え!?

ジくん

嘘!笑

るくん

ブラックジョークにも
程がありますよ

ジくん

ごめんて笑

少し息を整えて ジェルくんは口を開いた

ジくん

もうなーくんには
会えへんかもしれん

るくん

...どうして

ジくん

引っ越すんやって

ジくん

色々家の事情が
あるらしいんやけど

ジくん

なーくんひとりじゃ
解決出来ひんらしくて

るくん

最近学校来てないのは

るくん

引っ越す準備
してるってこと??

ジくん

...うん

世の中には 解決できない問題が 山ほどある

戦争はなくならないし 自殺もいじめも 環境問題も

ひとつ解決したところで 次の問題が発生して

モグラ叩き状態だ

人を傷つける人は 一生信頼を取り戻せないし

人に傷つけられた人は 一生傷を負わなければ ならない

日常には沢山の 問題が溢れている

誰かの幸せの代償に 誰かの不幸がある

残酷な世界だ

それは悲しくもあるが どうしようもない

ジくん

いつか人は忘れる

ジくん

どんなに悲しい別れでも
新しい出会いを繰り返して

ジくん

記憶を塗り替えていく

ジくん

そうやって
なーくんは言っててん

きっとなーくんは みんなに進んで欲しかったんだ

いつまでも過去に囚われず 新しいものに希望を持って

悲しい別れじゃなくて 新しいスタートとして

みんなを想って 言った言葉なんだろう

だけど

るくん

忘れちゃいけない

るくん

過去を忘れて新しい
ものを手に入れて

るくん

それじゃ最後に何も残らない

過去の失敗を なかったことにしてたら

いつまで経っても 進めない

るくん

なーくんは
寂しいんだよ

るくん

本当のことを
言ってしまえば

るくん

余計に自分の置かれた
現状が辛くなるだけだから

るくん

強がってるんだよ

ジくん

でも、俺らには
何もできんかった...

ジくん

俺らだって
一緒にいたい...グスン

僕はジェルくんを 優しく抱き寄せた

るくん

その気持ちを伝え
続けることをやめないで

るくん

確かに離れてしまう
かもしれないけど

るくん

会わなくなったら
終わる関係なんかじゃ
ないでしょ??

ジくん

うん...グスン

るくん

それでも我慢できない
くらい寂しくなったら

るくん

絶対みんなで
会いに行こう

ジくん

うん...グスン

子どものように 泣きじゃくるジェルくんを見て

きっと今まで沢山 我慢してきた人なのだと 痛いほど分かった

人を笑わせる代償に 自分を犠牲にしてきたのだろう

家に着いて ベッドに横になった

昨日と同じだ

眠れそうにない

そう思っていると 体が勝手に 海へ向かっていた

るくん

夜は長いなぁ...

1人の夜は 永遠と続く気がする

でも心のどこかで 僕はひとりじゃないと 感じていた

世界のどこがで 僕みたいに 眠れない夜を過ごす人は

きっと山ほどいる

僕だけじゃない

こくん

るぅとくん!!

後ろから大きな声で 名前を呼ばれた

朝ロッカーで 僕のことを呼んだ人だ

るくん

ころちゃん...

こくん

やっぱり
るぅとくんだった

るくん

よく分かりましたね

こくん

だって...

こくん

るぅとくんの背中は
小さな時からずっと見てるもん

るくん

確かに笑

少しの沈黙が続いた

波の音と風が 砂浜を揺さぶる音がする

小さい頃よく2人で こっそり夜に家を抜け出して

こうやって2人並んで 海を見ていたっけ

今日みたいな満月の日に

君が泣いたのを 覚えている

でも、どうして 泣いてたんだっけ

こくん

あのさ、

こくん

今までごめんなさい

るくん

どうして謝るんですか??

君とは目が合わない

ずっとずっと遠くを見つめる 君の横顔は

決意を固めたような そんな目をしていた

こくん

るぅとくんにずっと話さなきゃいけないことがあったんだけど、言えなかった

るくん

はい...??

こくん

ずっと...

こくん

好きだ

思い出した

君があの日に泣いた理由

君からはずっと 恋愛相談を受けていた

その日もいつものように 君の好きな人の話を 聞いていた

ただ、誰なのかは ずっと教えてくれなかった

だから気づかなかった

君の好きな人が 僕だなんて

もし気づいていたなら 僕と君がすれちがうことなんか なかったのだろう

るくん

ころちゃんがここで
泣いた日のこと

るくん

覚えてますか

こくん

...え??

こくん

あぁ...忘れたくても
忘れられないよ笑

るくん

僕にも好きな人がいるって

るくん

だからお互い
頑張ろうねって

るくん

僕がそう伝えた瞬間
ころちゃんいきなり
泣き出して

あの時僕は 片思いが辛くて 泣いたのかと思ってた

好きな人となかなか 結ばれないとか

好きな人が他の人と 喋ってるのが辛いとか

そういう思いが 込み上げたのかと 思ってたけど

こくん

びっくりしたよ笑

こくん

るぅとくんは僕の相談
のってくれてる間に

こくん

知らないところで恋をしてて

こくん

正直僕浮かれてたんだ笑
もしかしたらるぅとくんも
僕のこと好きかもって

こくん

夜中に抜け出して
2人きりで海に行くとか
ロマンチックじゃん??笑

こくん

だけどしっかり
初めての失恋だったね笑

恥ずかしそうに笑う君は 幼い頃と変わらない

るくん

僕だって辛かったんですよ??

るくん

好きな人の恋愛相談
受けてるなんて

るくん

大失恋の確定演出
みたいなもの
じゃないですか

るくん

だからやけになって
僕にも好きな人がいるって

るくん

伝えたんです

るくん

これ以上聞いてたら
泣くの堪えられない
気がして

こくん

え??

こくん

それって...

るくん

僕...

るくん

ころちゃんが
ずっと前から
好きでした

君が泣いて帰った日 僕は1人で海に残って泣いた

お互い頑張ろうなんて 強がったばかりに 苦しくなった

応援なんか出来ない

君が好きだったから

こくん

じゃあ、お互いが
好きだったってこと??

るくん

みたいですね笑

こくん

今まで避けてたのは
僕がるぅとくんのこと
これ以上好きにならない
ためだったのに

こくん

意味なかったってこと??

君は目を大きく開いて 驚きを隠せずにいる

るくん

意味ないことなんて
ないです

るくん

ころちゃんと離れた間も
ずっところちゃんのこと
考えてて

るくん

あぁ、やっぱり好きだなって

るくん

忘れられないなって

るくん

思い知ることが出来ました

こくん

るぅとくん...

こくん

僕もだよ

こくん

ずっと話したくて
近づきたくて

こくん

だけど大事な人だから
傷つけたくなくて

こくん

こんな気持ち初めてだった

君は大事な人代償に 自分の好きという気持ちを 消そうとした

とても優しい人だ

こくん

ねぇ、るぅとくん

るくん

なんですか??

こくん

僕と付き合って
くれますか??

るくん

...はい

満月の夜

僕らは初めて 愛を知った

初恋は実らないと 誰かに言われたことがある

過去の自分に 教えてあげたい

噂話に耳を傾けるなと

次の日の朝

僕はりいぬにきちんと 感謝を伝えようと 決心した

りくん

おはよう、るぅちゃん!

りくん

あれ、なんか
いい事あった??

何故かりいぬは 嬉しそうに笑った

るくん

大事な話があって

りくん

え、なあに??

るくん

最近ずっと悩み続けてて
りいぬに心配かけて
本当にごめんなさい

るくん

だけど、ずっと
気にかけてくれてて
ありがとう

るくん

おかげでひとりじゃない
って気づけたよ

りくん

え...

りくん

急にどうしたの!?笑

るくん

ちゃんとお礼を
伝えたくてさ

りくん

るぅちゃんが
元気でいてくれるなら
俺はそれだけで十分だよ!

りくん

るぅちゃんが寂しくなったら
いつでも連絡して!

りくん

俺が1番に助けに行く
自信があるから

りくん

どんなに遠くにいても
誰かと一緒にいても

りくん

るぅちゃんのためなら
走って駆けつけるから

りくん

るぅちゃんの代わりなんか
誰にも務まらないからさ

るくん

りいぬ...ありがと

僕は涙をこらえて 笑った

ちゃんと愛されていた

りいぬは周りの人を守ることを代償に 自分の時間や苦労を使える人だ

学校に着いて 階段を上っていると

さとみくんが階段を 降りてきた

さくん

おはよう!

るくん

さとみくん、おはよ

りくん

あ、おはよう〜

るくん

そういえばなーくんと
連絡とれたんだって??

さくん

おう!ジェルと昨日の夜2人でなーくんの家行ってちゃんと話したんだ

さくん

そしたら、引越しの準備
終わるまでは学校来れないけど

さくん

放課後とか会える日は
会おうって約束できて

普段クールなさとみくんだが 無邪気な笑顔を見せた

りくん

良かったね!

さくん

良かったら2人も
一緒にどう??

るくん

行きたい!

なーくんはみんなの幸せの代償に 自分は孤独な道を選んだ

さとみくんは周りへ心配をかけないことを代償に無理して繕うことを選んだ

誰しもが自分を犠牲にした

僕は傷つかないことを代償に 期待することをやめた

どんな人にも 悩みがある

眠れない夜もある

ただひとつ言えるのは 必ず夜明けはやってくる

今この物語を 読んでいるあなたに

どうか光が 訪れますように

生きていてくれれば それでいい

あなたがあなたで いられる場所が

必ずあることを わすれないで

この作品はいかがでしたか?

3,350

コメント

61

ユーザー
ユーザー

感動🥺🥺🥺🥺 えなんでこんな天才なもの(?)かけるんですか?

ユーザー

最後のセリフとっても素敵です(T^T)私も人間関係や、いじめで悩んでて、本当に苦しかったんです、「私の居場所は無い」って、でもこの物語を読んで元気が出ました!ありがとうございます( ´•̥̥̥ω•̥̥̥`)

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