璃子
(前歩いてるのって、実莉?)
璃子は、学校へ向かう途中
親友の実莉の姿を見かけた
璃子
実莉──
実莉
それでさー、大樹…
実莉は1人ではなかった
璃子
一緒に歩いてる男、誰?
璃子
まさか、彼氏?
2人は、親しげな様子だ
璃子
何でも私に話してくれたのに
璃子
聞いてないよ…
璃子
付き合ってる人がいるなんて
実莉
ちょっと聞いてる?大樹
大樹
聞いてるよ
大樹
ちょっ腕組むなって!
大樹
恥ずいだろ
実莉
誰も見てないよー
実莉
いいじゃん
璃子
見てるよ…ここで見てるよ…
璃子
私よりソイツといる方がいい?
璃子
違うよね…
璃子
実莉には私が一番だよ
実莉
おっはよー、璃子ー
璃子
おはよう実莉
璃子
何かいいことあった?
実莉
え?何で?
璃子
何か、嬉しそう
実莉
そうかな?
璃子
いつもなら眠そうにしてる
実莉
ひどいなー
実莉
私だって朝元気なときもあるよ
璃子
ほんとかなー
実莉
なによー
璃子
他に理由があったりして
璃子
例えば、彼氏──
実莉
あ、それより璃子
実莉
例のドラマみた?
実莉は璃子に貸した
ドラマのDVDに話題を変える
璃子
え?まだだけど
実莉
なーんだ
実莉
早く璃子と話したいのにー
実莉
すぐ見てよー
璃子
(実莉、何で誤魔化すの?)
璃子
(アイツとのこと知られたくない?)
璃子
(私にも知られたくない?)
璃子
(アイツのどこがいいの?)
璃子の心が真っ黒に染まる
実莉
いっけなーい
璃子
どうかした?
実莉
宿題忘れちゃったー
璃子
えー?珍し…くはないか
実莉
どういう意味よ
璃子
そのまんま
実莉
くううう、嫌な奴
璃子
それにしても
璃子
昨日、忘れないようにって念をおされてたでしょ
実莉
へへ、色々ありまして
璃子
ふーん
璃子
(アイツが原因?)
璃子
(アイツと一緒に)
璃子
(遊んでたから?)
実莉
怒られちゃうかなー?
璃子
大丈夫だよ
実莉
そうかなー
実莉
もう何回目だろ
璃子
大丈夫だって
璃子
(そう大丈夫)
璃子
(私がなんとかしてあげる)
璃子
(アイツじゃなく私がね)
階段で、璃子は待ち構える
そして──
璃子
(先生、来た)
璃子
(大荷物抱えてる)
璃子
(あれじゃ、前が見えないはず…)
先生は、ゆっくり階段を降りてくる
璃子
(好都合──)
璃子
(ごめんね、先生)
すれ違う瞬間、脚をかける
先生
え?わああああ!
先生は階段を転げ落ちた
璃子
先生、足元に気をつけてね
璃子
ふふふ
微笑む璃子
その見下ろす先には──
頭から血を流す先生の姿
実莉
あ、璃子、どこ行ってたの?
璃子
ちょっとトイレに、ね
実莉
次の授業、自習だって
璃子
そうなの?よかったね
実莉
どうして?
璃子
だって実莉、宿題忘れたって
実莉
ああ、忘れてたー
璃子
実莉ぃー
実莉
冗談冗談
実莉
でも先生、いきなりどうしたんだろうね?
璃子
さあ?
実莉
まあ、宿題気にしなくてよくなったし
実莉
いいか
璃子
ふふ、そうだね
外からサイレンの音が聞こえる
実莉
あれ?救急車?
璃子
ひょっとすると…
璃子
先生に何かあったのかもね…