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#異能力
りんご夫人
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一瞬、時が止まったような気がした
さっきまで幸せだった空間が 一気に重くなる
俺は顔をあげることが できなかった
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少し間の後 宮舘さんが口を開く
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首が硬直してしまう
俺はどうしようと思い 翔太を見る
翔太はいつもと変わらない表情で 宮舘さんを見ていた
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翔太のいざという時の男気は ほんと、尊敬する
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宮舘さんの顔がだんだん暗くなる
多分…元ファンだったとしても 本人は過去を知っている人と出会うと 思うところはあるんだろう
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ガシッ
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翔太は引き止めるように 宮舘さんの腕を掴む
何か言いたげだったけど 『待って欲しい』 その思いで彼を見つめていた
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パッ
その言葉を放つと宮舘さんは 店を出ていってしまった
引き止めようとしたけど
引き止めれなかった
いや引き止められなかった
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ファンとしてはすごくすごく嬉しい言葉
そんなことを思いながら 活動していたなんて 昔の俺なら跳ねるように喜ぶな
推してて良かったな
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そこから阿部さんは 過去の炎上のことやアイドル時代の 辛く酷い過去を教えてくれた
メンバー内やファンとの関係性 宮舘さんの炎上のこと 阿部さんも続けられなかったこと
どれもこれも 胸糞悪い内容だった
当時の俺が聞いていたら 拳が出ているほど
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少し涙目になっている阿部さんを見ると 余計宮舘さんのことが心配だ
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これがラストチャンスかもしれないんだ
もう次、会えないかもしれない
躊躇っちゃいけないこの気持ちを
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彼を俺が手を差し伸べないと
そして
手に入れないと
ソファーの上で丸くなる
気がつけば家に居て
俺は涙が止まらなかった
せっかく…せっかく会いたかった人に
会えたのに
嬉しかったのに
俺の事覚えていたなんて
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アイドル時代は本当に楽しかった
だけど炎上してから人間不信になって
自分の周りが本当に怖かった
唯一頼れるのが阿部とこーじだけ
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ほんのり赤くなっていた腕は 渡辺さんが止めてくれた跡
阿部の言う通り ちゃんと話…聞けばよかったな
だが、それよりも怖さが勝ってしまった
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また身体を丸くする
俺は本当に弱い
きっと今頃阿部と話してるんだろうな
もしかすると…嫌われてしまったかも
そんなことを思うと また涙が溢れる
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独り
ただ独りで泣いてしまう
あの時もそうだったな
一緒に泣いたな
”泣いた”
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俺は起き上がり 渡辺さんや佐久間さんの顔を思い出す
俺だけじゃない
きっと応援してくれたファンは 俺よりもっと悲しんでる
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俺はスマホを見る
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俺は愚かだ
例え知っていても合わせる顔が無くても
あの時のファンは 俺の今を知りたいんだ
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俺は震える手で 阿部に電話をかけようとする
ピーンポーン
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こんな時間にインターホンが鳴った
荷物か頼んだっけ…?と思い 涙を拭き玄関へ向かう
鍵を開けてドアを開く
少し生暖かい風が俺に打ちつけ インターホンの主を見上げる
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息を切らして俺の前に現れたその人は
俺が今1番会いたかった人
そしてあの時からずっと見てくれて 応援してくれた人
俺は顔を見るなり 泣きそうな顔を隠して抱きついた
ないとん
ないとん
ないとん
ないとん
ないとん
ないとん
ないとん
ないとん
コメント
1件
読了しました……第10話、重かったです……。宮舘さんの「思い出したくない」って言葉と、引き止める翔太くんの対比がすごくリアルで胸が痛くなりました。阿部ちゃんが過去をちゃんと話してくれたシーンも、ファンとしてどんな思いで推してたかが伝わってきてグッときました。ラスト、息切らして駆けつけた翔太くんに抱きつく舘様……その流れが切なくて、この先も気になります。ないとんさんの阿部ちゃん愛も伝わってきて微笑ましかったです🥀