無色透明と
無職童貞は似ている。
たかし
絶賛ニートな俺は昼間からそんな事を考える。
外にはきゃっきゃうふふな
リア充な世界。
安いカーテンを閉め切っているのに
漏れ出す光が眩しくて布団を被る。
たかし
外の笑い声を聞くたびに
今日も鬱々と6.4インチの画面の中へと引きこもる。
たかし
昔、校長が言ってた。
校長
校長
とかなんとか。
最初はよかったんだ。
1ページ、2ページあたりまで。
あきほ
たかし
あきほ
長い通学路を意味も分からず毎日通い
あきほ
たかし
あきほ
たかし
轢かれたレールからはみ出したりした。
先生
たかし
先生
たかし
やりたいようにやってれば
きっと何かがうまく行ってたはずだったんだ。
親方
たかし
親方
たかし
親方
うまく行くはずだったのに…
親方
たかし
たかし
たかし
たかし
世の中理不尽な事だらけだった。
お母さん
たかし
たかし
大卒じゃない俺はことごとく会社に落ち、
コンビニ、レストラン、バーテンなどアルバイトをするしかなく
夢も希望もなく
理不尽な世の中を恨んだ。
たかし
罫線のある人生ならば上手く行ってただろうか。
轢かれたレールすら嫌がっていたのに。
真っ白なキャンバスは
ただの道標すらないぽっかりとした
無色透明だった。
何もかも自分で決めなきゃいけない
何をするにも自分次第
変わるのも変えないのも…
校長
俺は無色透明。
そして無職童貞。
今日は卒業式らしい。
俺は何から卒業しようか…
コメント
1件
Amico様 いつもドキドキしながら拝読しています。問題を抱えた登場人物の描き方にズキッとしてしまいます。ご健筆お祈りしています。