深夜2時、コンビニ袋を片手に裕の部屋の扉を開ける
挨拶などはなく、もう日常に溶け込んでるようなものだ
うな
ストゼロと赤マル買ってきた
今回は特別にカートンだぞ

裕
まじか、セッター切らしてたから助かる

うな
そうだろうと思ったよ
お前気づいたら1箱開けるくらいだろ
感謝しろよな

裕
本当、主人に従順なやつだ
ご褒美にまた焼いてやるよ

うな
え、やったぜ

狭くて古いマンションの一室
吸殻の山と散らばった酒の空き缶や瓶で散乱した部屋で2人はそんな軽口を叩く
うな
えっとね、ここまだ焼いてないとこあるかも

裕
あった、あんだけいっつも焼いてるのにまだ焼くとこあるんだな

うな
もっと観察眼を磨きな、裕くぅん?

裕
うるせぇ、マゾ

うな
マゾなのは自覚してるよ
じゃなかったらこんなことしてねぇ

裕
しゃーねぇな、分かった、動くなよ

早速開けた赤マルに火をつける音。
うなの皮膚に火の熱が当たる。
うな
うぁ………最高だな………

裕
お前本当にイカれてんな

うな
分かりきってた事だろ
後、お前もな

笑い合う。
普通だったらかなりドン引きするようなやり取りをなんの違和感や疑問もなく日常として受け入れていた
うな
あーあ、まじで世の中もっと生きやすかったらこんなことなってねーんだろうな

裕
発達障害持ち、社会不適合者
学生の癖に飲酒喫煙
処女は失いかけ

裕
ほんとどうしようもねぇな

うな
誰のせいだと思ってるんだよ
これでもっと生きづらくなったじゃねぇかよ

裕
もう社会出なくていいんじゃね

裕
この家で一生カスみたいな生活して
飽きたら一緒に死のうぜ

うな
あー、それいいかもね
どうせおれ生きてたところで貢献できるもの無さそうだし

うな
下手に社会出て鬱病パルクールするくらいなら一生閉じ篭ってた方がいいかもな

裕
鬱病パルクールとかただの飛び降り自殺だろ

うな
へへ、ばれたか

うな
でも障害は別にしたっておれが処女喪失しかけとマゾなのはお前のせいだからな

うな
責任取れよ

裕
一生取ってやるよ

うな
そういうと思った

その後2人はただ、煙草の煙や匂いが充満するこの部屋で、こんな会話をずっと続けて笑いあった。
ふざけてはいるが、お互い心は本気だ。