家臣
信長様
家臣
信長様に会いたいと美里姫という者がいらしております
家臣
お通ししてよろしいですか
織田信長
美里姫?
聞いたことない名じゃ
聞いたことない名じゃ
家臣
何でも信長様の側室だと言っておるそうで
織田信長
われはそんな者呼んどらんわ
織田信長
帰ってもらえ
家臣
かしこまりました
家臣
ひとつだけ気になったことが
織田信長
なんじゃ
家臣
何だか洋服とか言う変な着物をお召しになっているそうで
家臣
隣町から信長様に見せるために来たとか
織田信長
ほう
織田信長
ちと見てみるか
家臣
使用人が全て調べましたが防具等は持っていなかったと
家臣
持っていたのは何やら小さな薄いガラスと書物だそうで
家臣
書物には信長様のこれまでのことが書いてあったとのことです
織田信長
ますます興味深い
織田信長
その美里姫とやら
織田信長
通してよいぞ
家臣
そなた入れ
家臣
はよう入らぬか
美里
あ、はい
会いたくて会いたくて
堪らなかった歴史上の人物は
模写の何十倍も格好良かった
美里
夢なら醒めないで
家臣
先程から何を小さな声で申しておる
家臣
信長様にご挨拶を
美里
はじめまして
美里と申します
美里と申します
美里
信長様に会いたくて
織田信長
われに会いたかったと?
織田信長
そなたはわれを見たことがあるのか?
織田信長
本当に見たこともない着物を着ておるな
美里
それはもちろん
美里
あなたの似顔絵を毎日眺めてましたから
美里
似顔絵以上にたくましくて格好良い
織田信長
似顔絵とはなんじゃ
家臣
信長様に先程から訳の分からぬことを言いなさるな
織田信長
まあまあ良かろう
織田信長
われが聞きたいのじゃ
織田信長
ちと2人にしてくれぬか?
家臣
失礼ですが信長様
家臣
このようなどこの馬の骨やも分からぬおなごと2人きりなど危険では
織田信長
見ての通りこのおなごは刀など何も持っておらん
織田信長
安心せい
家臣
かしこまりました
失礼致します
失礼致します
織田信長
それで美里殿
織田信長
その洋服とやらはどこで手に入るのじゃ
美里
えっと・・・
美里
(どうせ夢だしこの際言っちゃえ)
美里
私は2020年の未来から来ました
美里
そこでは着物はもう着てる人は少なくて、みんなこの洋服を着ています
織田信長
2020年・・・
織田信長
そんな時代があるのか
織田信長
そなたは未来から来たと・・・
織田信長
面白いおなごじゃ
ますます気に入った
ますます気に入った
織田信長
それで?
われはどうなるのじゃ
われはどうなるのじゃ
美里
本能寺の変で亡くなります
織田信長
本能寺?
織田信長
なぜそれを知っておるのじゃ?
織田信長
われの家臣にしか話してないことぞ
織田信長
やはりそなたは侵入者か!
織田信長
おい!すぐに来てくれ!
家臣
信長様どうされました?
織田信長
こやつは敵の方じゃ
織田信長
本能寺のことを知っておった
美里
違います!違いますから
家臣
何だと!
織田信長
すぐに城と城下町を閉鎖しこの方を抜け出せないように
家臣
かしこまりました
美里
本当に違うの!
美里
やめて、触らないで
美里
待ってー
バサッ
織田信長
なんだこれは?
織田信長
やつが持っていた書物とやらか
織田信長
われの似顔絵・・・
織田信長
われの歴史?
織田信長
なぜこんなことまで書かれてるんじゃ
家臣
ここから出るでないぞ
美里
いや!
待って!
待って!
ガチャンッ
美里
痛っ
美里
さっきの雪さんに手当てしてもらったところ
美里
押さえつけられた時に包帯が取れちゃった
美里
血が出てる
美里
血が・・・?
美里
もしかしてこれって
美里
夢じゃない!?
美里
いやーーーーーー
使用人
何やら大きな叫び声で来てみたら
使用人
反逆者か
美里
違う
違うの
違うの
美里
2020年に帰りたい
使用人
本当に寝ぼけたことを言っておる
美里
そうだ!
この町にいるお雪さんって方を連れてきて欲しいんです
この町にいるお雪さんって方を連れてきて欲しいんです
美里
その方なら私の無実を証明できます
美里
どうかお願いします
使用人
そなた今なんと?
美里
お雪さんって方を連れてきて欲しいと
使用人
雪姫をご存知なのか?
美里
雪姫?
使用人
雪姫にお会いになったのか
美里
はい
ただの民だと言ってましたが
ただの民だと言ってましたが
使用人
そなた何と失敬な
使用人
雪姫は信長様の妹君よ
使用人
信長様は敵の手が雪姫に及ばぬよう正体を家臣や使用人にしか明かさず
使用人
ひっそりと町で暮らしておる
美里
だから城には近づけないと
使用人
そなたまさか雪姫にまで反逆の手を
美里
そんなわけないでしょ
美里
どうすれば信じてもらえるんだろう
雪姫
下がりなさい!
使用人
雪姫!
雪姫
その者は解放されます
使用人
失礼致しました
美里
お雪さん!
美里
何でここに?
雪姫
兄上から反逆者が町に入ったと聞きました
雪姫
兄上に事情を説明しそなたを助けに参ったのです
雪姫
兄上が失礼なことを
美里
いえ、私の方こそ
雪姫
兄上は少々気が立っているのです
雪姫
しばらくはわらわの家で過ごすと良いでしょう
美里
お雪さん
それが・・・
それが・・・
美里
歴史書を落としてきてしまって
雪姫
それなら心配無用です
雪姫
兄上が拾っておりましたゆえ
美里
ありがとう
お雪さん
お雪さん
雪姫
そなたの大切な書物であろう?
美里
お雪さんこれって?
雪姫
先ほど読ませてもらった時に少しな・・・
歴史書の空白のページに
手書きで書いてあった
兄上へ もしもこの書物を見たならば これを書いたのは美里姫である
美里姫は少々風変わりだが 兄上のことを恋慕っているようじゃ
美里姫を信じてやって欲しい 雪より