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闇の存在を初めて知った時、 どこか怖さを感じた。
しかし成人も近くなると 闇とはただの暗さでしかないと 気付いて 怯えなくなった。
僕はある夜に散歩をした。
恐怖などないと思いながら、 街灯のない真っ暗闇に 差し掛かった時だ。
寸前で足が止まり、進めなくなった。 内なる恐怖に 足がすくんでいるようだった。
もう進めないと悟り、 手だけを伸ばした。
僕の手に、 ぬらりとした感覚が走った。
熱くも冷たくもない、 気持ちの悪い温かさに、 吐き気をもよおした。
僕は逃げ出すように家に帰り、 闇に触れた手を執拗に洗った。
まるで、 あの温度に触れたことを 無かったことにするかのように。