【BL】隠した「キモチ」

昼休みに屋上で昼寝をしていたら、幼い頃から幾度となく聞く声が聞こえてくる。

…俺の世界はここ最近で随分変わった。

口より先に手が出ると言う性格故の、これまでの俺の振る舞いにも非はあるが

つい最近まで「怒らせると何をするか分からない」と、関わろうとしてくる他人なんていなかった。

夏菜と知り合い、様々な事件がきっかけとなって

今やそれが嘘みたいに、隠していたスイーツ好きという意外性が周囲にウケたのかクラスでも部活でも女子が俺に群がってくる。

口を尖らせながら制服を確認する小柄で華奢な幼馴染みを眺める。

それは、いつもの幼馴染みに対するからかいのはずだった。

…なのに…

心を見透かされた気がして、目を伏せてしまった。

動揺を誤魔化し、その場を逃げるように立ち去った。

…あいつは昔から男女、オカマと周囲にからかわれていた。

それにショックを受けていたことも知っている。

俺が「そういう目」で見ていた事を知ってしまったら…

もしかしたらまた松島を傷つけてしまうかもしれない。

さっき抱いた思いを振り払うように俺は部室へと走った。

一人ぼっちの屋上でぽつり呟く。

…心を整理するにはまだ少し時間が掛かりそうだ。

奇異の視線から親友を、冬也を守るために

この気持ちは今は隠しておこう。