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及川 徹

本気でやるなら、ちゃんとやりなよ。

その言葉は練習後の体育館で

及川から投げられたものだった。

葵はマネージャー見習として、練習に顔を出すようになっていた。

シートの準備。水分補給。タイムチェック。

与えられた仕事は完璧にこなしていた。

けれど。

及川 徹

こなすだけなら誰でもできるよ。

及川 徹

でも見てる時、君は関わることを避けてる。

朝霧 葵

……

及川 徹

バレーはね、チームのスポーツだよ。

及川 徹

選手もマネージャーも。

及川 徹

心を開かない人が支えられるわけないでしょ。

痛かった。核心を突かれ過ぎて。

朝霧 葵

開いたら、壊れるかもしれないじゃん。

小さく漏れた言葉は、心の奥底にあった本音だった。

及川 徹

壊れることを恐れてたら何も築けないよ。

それはあまりにも真っ直ぐで、ひどく優しい言葉だった。

けれど、心の奥にある過去が葵の足を引っ張る。

中学生のころ。

頼れる優等生として評価されていた葵はグループのリーダーにされた。

でもある事件をきっかけに、裏切ったと言われ、

仲間だった子達に集団で無視された。

一言も弁明できなかった。

ただ、周りの期待に応えていただけなのに。

それ以来、彼女は人に踏み込まないことを覚えた。

ヒロインでも、人気者でもなく、

自分という存在で生きることの難しさを知ってしまったから。

(だから、怖い…)

けれど、今の青葉城西はあのころと違う気がしていた。

正面からぶつかってくる岩泉。

陽気な顔で本質を見抜く花巻。

厳しくも率直な及川。

何気なく、声をかけてくる部員の温かさ。

(逃げるか、それとも_)

その夜。

あおいは1人自分の部屋で、自問した。

朝霧 葵

もう一度、信じてみたい。

そして、翌日。

葵はいつものように、体育館へ向かった。

朝霧 葵

おはようございます。

そう言って入った体育館で、

部員がいつもと同じように迎えてくれる。

あの頃とは違う。

ちゃんと見てくれてる人がいる。

ちなんも居場所を作ってくれる人たちがいる。

そして葵は初めて自分の意思で心を決めた。

朝霧 葵

私、ちゃんとマネージャーやる。ちゃんと関わる。

その決意は誰にも聞こえないくらい小さな声だったけど、

誰よりも強く、彼女自身に届いていた。

ヒロイン失格?上等だ

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コメント

2

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及川さんに最初は、は?った思ったけどよかった

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