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及川 徹
その言葉は練習後の体育館で
及川から投げられたものだった。
葵はマネージャー見習として、練習に顔を出すようになっていた。
シートの準備。水分補給。タイムチェック。
与えられた仕事は完璧にこなしていた。
けれど。
及川 徹
及川 徹
朝霧 葵
及川 徹
及川 徹
及川 徹
痛かった。核心を突かれ過ぎて。
朝霧 葵
小さく漏れた言葉は、心の奥底にあった本音だった。
及川 徹
それはあまりにも真っ直ぐで、ひどく優しい言葉だった。
けれど、心の奥にある過去が葵の足を引っ張る。
中学生のころ。
頼れる優等生として評価されていた葵はグループのリーダーにされた。
でもある事件をきっかけに、裏切ったと言われ、
仲間だった子達に集団で無視された。
一言も弁明できなかった。
ただ、周りの期待に応えていただけなのに。
それ以来、彼女は人に踏み込まないことを覚えた。
ヒロインでも、人気者でもなく、
自分という存在で生きることの難しさを知ってしまったから。
(だから、怖い…)
けれど、今の青葉城西はあのころと違う気がしていた。
正面からぶつかってくる岩泉。
陽気な顔で本質を見抜く花巻。
厳しくも率直な及川。
何気なく、声をかけてくる部員の温かさ。
(逃げるか、それとも_)
その夜。
あおいは1人自分の部屋で、自問した。
朝霧 葵
そして、翌日。
葵はいつものように、体育館へ向かった。
朝霧 葵
そう言って入った体育館で、
部員がいつもと同じように迎えてくれる。
あの頃とは違う。
ちゃんと見てくれてる人がいる。
ちなんも居場所を作ってくれる人たちがいる。
そして葵は初めて自分の意思で心を決めた。
朝霧 葵
その決意は誰にも聞こえないくらい小さな声だったけど、
誰よりも強く、彼女自身に届いていた。
コメント
2件
及川さんに最初は、は?った思ったけどよかった