母親
ちょっと、二人とも?

宏
ん?

洸
何?

母親
ちょっと買い物行ってくんない?

宏
えー?母ちゃんが行けばいいじゃんか

母親
こっちも大変なのよ!

宏
分かったよ、行くよ

洸
行って来まーす!

宏
行って来まーす

母親
行ってらっしゃい

宏
よし、着いたぞ!

宏
えーと、確か、紙には...じゃがいもとカレーのルーと後...

洸
そう言えば、お金はどうするの?全部兄さんが払うの?

宏
.........

洸
.......え?

宏
金貰ってねぇぇぇぇ!!!!

洸
えー!?

宏
ど、どうしよう!?今まで貯めてた三万円が!必死に、ようやく貯めてた貯金が!!

宏
うわぁぁぁぁ!!

洸
ど、ドンマイ

宏
はぁ...貯金が、俺の三万円が...うううう...

洸
いつまで落ち込んでるんだい?さっさと買って、早く帰ろうよ?

宏
そ、それもそうだな

二人はじゃがいもやニンジン、カレーのルー、その他諸々買い集め、レジに向かい会計を済まし、ショッピングモールから出ようとした時
?
ん?

宏
ん?

?
あ、

宏
お前は!!

杉
よう、宏!久しぶりだなぁ!!おい!

宏
それはこっちのセリフだ!小学校卒業以来か?会ったのって?

杉
いやー久しぶりだなぁ、宏!お母さんから頼まれたのか?買い物?

宏
ああ、そう言うお前もだろ?

杉
yes!うちのBB...母ちゃんから買い物頼まれたんだよ、俺も

宏
やっぱりな!いやーこんなところで会うとはな、

杉
修学旅行のホテルに泊まった時、クラスの仲間と色々話したよな、クラスの女子で付き合うのは誰がいいかとか誰々が噂で一番の美紀が片思いで誰が好きか、とかさ

宏
そうそう、そして美紀とクラスの女子の部屋で話を聞いたら、まさかの俺だったとかね

杉
そうそう、マジで悔しかったなぁー...

宏
今更だけど、ごめんね?

杉
HAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHA!!!!!!

宏
HAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHA!!!!!!!!!!

洸
(仲いいな...てか、うるさ!)

杉
それじゃ、俺帰るからまたな!

宏
おう、じゃあな

宏
じゃあ俺らも帰るか!

洸
うん!

洸
にしても、仲良しだね、杉先輩と兄さんって

宏
まあ、小学校の頃、「仲良しコンビ」とか「アイツらコントできんじゃね?」ってよく言われてたからな

宏
アイツはもう俺の相棒的な存在だしな。

洸
へぇー

アパートへと着き、103号室のインターホンを鳴らす
宏
あれ?寝てるのか?

洸
玄関の扉も開いてる?何でだろ?

宏
母ちゃんー!帰ったよー!

宏
うーん、どっか出掛けたのかな?

洸
どうだろ?

何も話さず、何も喋らず、ただ、二人を見下ろしていた。
宏
......

洸
...お母...さん...?

宏
う...あ....

宏は目の前の光景が何が起こっているのか理解出来なかった
もしくは理解したくなかった。理解してしまったら、自分が壊れそうになるから、理解しなかった。
洸はいきなりこの光景と、この状況で、「本当」に理解が追い付かなかった。ただ驚きと不安と恐怖だけが、流れて自分の精神を壊そうとしていた。
宏は自分のスマホを取りだし、警察に110当番をした
警察

警察
はい、こちら○○警察です。どうかなさいましたか?

宏
は、早く来て下さい!!

警察
落ち着いてください、場所はどこですか?

宏
○○三丁目の○○アパートです!!

警察
分かりました、すぐに行きますので、落ち着いて冷静に待っててください

警察
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通話
00:40

宏
すぐに警察が来るって...!!警察が

洸
...兄...さん...

宏
落ち着け!今は冷静になるんだ!

刑事
それで帰って来たら突然あったと...他は?

宏
ないです...

刑事
そっか...辛かっただろうね、怖かっただろうね...可哀想に...

洸
...

杉
宏?

宏
...何の用だよ?

杉
いや...大丈夫かなぁって...

宏
大丈夫だと?この状況で?そんなわけねえだろうが。

杉
あ、そう..だよな...ごめん...

宏
今はもう疲れたんだよ...早く帰ってくれ...

杉
.......

宏
どうせ俺なんて...最低なヤツさ...俺なん...

宏
!?

杉
...ッ!!

杉
どうして...

杉
どうしてなんだよ...

杉
何で、一人で...自分を...抱え込むんだよ....

杉
何でいつも、自分で抱え込むんだ!!

宏
!!

杉
俺はな...宏....

杉
昔、俺が辛くて泣いてる時、いつも話し相手になってくれた...

杉
そして、お前はこう言ってくれた

杉
「お前が何かを失ったら、俺がその何かを埋め合わせてやる」ってな...!!

杉
俺は思った、お前が俺の光だって...俺の本当のダチだって...

杉
そう思ったんだよ...

宏
........

杉
だから今度は俺が救ってやるって

杉
お前が何かを失ったら、俺がお前に何か得させてやるって

杉
そう思ったのに...

杉
お前は、いつも、辛いことは、何も喋らず、偽りの笑顔を、作り、一人で悩み込んでる!!

杉
俺はなぁ!!その笑顔を見るたび、俺も辛くなるんだよ!!!!

宏
杉...!

杉
何でなんだよ...何でいつも自分ばかり背負い込むんだよ...!!

杉
俺は...お前に...ダチとして...頼って欲しいのに...!!

宏
........

宏
なぁ

杉
...え?

宏
ごめん...ごめんな...!!

宏
そんなに俺の事を...

宏
信頼してくれて...心配してくれて...

宏
ありがとう...!!

杉
宏...!

杉
もう...一人で抱え込むんじゃねえぞ...

杉
一人じゃあ...ねえからよ...

宏
そっちこそ、俺をもっと頼ってくれていいんだぜ...?

杉
そのセリフ、そっくりお前に返すぜ...宏
