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祭りの日はすぐにきた。

佐野さん

あー…んーハウメニー

 

Oh! 5、5!

佐野さん

オーケーディスウェイプリーズ

さくら

(近くで祭りって、海外の人増えるんだ…!)

さくらは内心怯えながら料理を運んだ

さくら

(っていうか、佐野さんいるんだけど!!)

結衣ちゃん

お客さん多いね〜、話しかけられたら怖いよ〜

さくら

ほんとに…!

結衣ちゃん

佐野くん来てくれて助かったよ〜、大学早く終わったんだってね

言いながら結衣はそそくさと厨房へ歩いて行った

さくら

(こりゃ店長も必死に頼んでくるわけだ…)

さくら

お待たせしました〜こちら…

 

あ、ありがとうございまーす!そこで大丈夫です!

さくら

あ、はい!

さくら

伝票はこちらに置かせていただきますね

 

はーい!

さくら

(楽しそうだなー…みんなこれって祭り行く前なのかな?後なのかな?)

さくら

(出店昼からあるし…どっちもだろうなぁ)

さくら

(いーな)

さくら

(…あれ?)

少しするとやることがなくなり、何かしようかと尋ねてみるも大丈夫、と返されるようになった

さくら

(なんでいきなり少なくなったんだろ)

と、端っこで制服を整えている佐野に気がついて声をかける

さくら

今日来れたんですね

佐野さん

昨日いきなり時間変えられて。だから店長に連絡してさ

さくら

なんだかんだ先輩も真面目ですね笑

佐野さん

んーや、影響されたかも笑

さくら

えぇ笑

さくら

でもなんでいきなりこんなにお客さん減ったんですかね?

佐野さん

あぁ、それは────

結衣ちゃん

おふたりさーーん♪こっちこっち!

結衣がこちらに駆けてきて、さくらたちの背中を押した

さくら

3人が窓の近くまで歩いていくのを、店に残っているお客さんに目線で追われる

ドォン!

目の前の日常の風景に、パッと花が咲いた。

夜空に輝く、明るい明るい光。

それはその日だけの、月より明るい大きな花だ。

さくら

すごっ…!

結衣ちゃん

結構ね、店からでも見えるんだよぉ

さくら

すごいです!!ほんとにめっちゃきれい!!

結衣ちゃん

ふふふ、よかった

店長

うぅ…綺麗だ、心が洗われる…

結衣ちゃん

店長、ここ職場ですよ

店長

ウッ…

さくら

あははっ

花火の規模は、そこまで大きくない。

めちゃくちゃ有名なわけでもない、それなりの地元の神社

さくらたちが初詣に行った、あの神社のお祭りである。

さくら

佐野さ───

さくら

…ん

先ほどから何も言わない佐野の方を向くと、その視線はこちらへ向く

佐野さん

ん?

瞬間、さくらの言葉は、表情は───そこで止まった。

ゆったりと目を細めて笑った先輩の横顔を、花火の明るい光が照らしている。

窓の外から、パパパパッと、何発かの花火が連続で放たれている。

─────そして、

緩やかで余裕があって、優しくて

さくらより背も歳も上の、でも、ふつうの、その男が口にしたその一言が

佐野さん

綺麗だね。

──その、表情が。

なによりさくらを釘付けにした。

このとき、さくらが抱いた感情は

決して──花火のように華やかなものではない。

花火の大きな音と人々の騒ぎ声に混じって溶けていくような、蕩けていくような

そんな、ゆったりとした恋に

最後の花火から舞う光の欠片のごとく、落ちていった。

チリンチリン。

その聞き慣れた鈴の音で、さくらは気を取り直して声を上げた。

さくら

いらっしゃいま───え!?

のあちん

やっほー♪

さかも

来ーたよ〜う

よーす!元気でやってるか!

ゆうめん

さくぴ!お疲れ様ぁ

空太

おす、今日もドジやってるか?

さくら

やってないわ!笑

さくらは声を潜めて駆け寄る

のあちん

…なんか顔赤くない?

さくら

さかも

いや照明でしょ笑

さくら

あぁ…えっと、ふつうに来たの?

のあちん

うん!出店バリバリ食べるか悩んだけどやめた!高いし!

さかも

祭りマジぼったくりエグいよな笑

さくら

おっけ、じゃあ席とりあえず案内するよ

店長いわく、友人と少しくらい話してもいいとのことで、食事の提供も任せてくれるらしい。

この日にまでそれが適応するかは分からないが、花火が終わって帰るお客さんたちもいたので許されそうだな、とさくらは思った。

さくら

注文決まってる?

店員さんオススメは〜?

さくら

あー、これとかこの辺?

さくら

あ、これマジでおいしいよ

のあちん

エグい笑それはいかなきゃ

空太

じゃあそれと…あとピザとかみんなで分けるか

さかも

ゆうめんピザめっちゃ好きだよね〜

ゆうめん

そうなの笑やったー

のあちん

じゃあとこれで!なんかある?他

さかも

私サラダも食べたい

うわマジであり得ねー

さかも

健康食いっちゃいます!

空太

一番好きな食べ物は?

さかも

ラーメン!

健康どこいった

さくら

あは、楽しそうだね、今日絶対おもしろかったでしょ

さくら

じゃ、持ってくるね

ゆうめん

ありがとう

みんなに料理を運んだあと、キッチンに戻ると結衣に聞かれた。

結衣ちゃん

友達?

さくら

そうです!

結衣ちゃん

そっかぁ!いい友達なんだね

結衣ちゃん

もうそろそろ人減ってきてるし

結衣ちゃん

10番に料理だけ運んだらちょっとくらい話してきても大丈夫だよ!

さくら

あ、ありがとうございます!

佐野とも目があったが、他には誰も特に何も言わなかった。

だからさくらも特になにか言うわけでもなく、逃げるようにキッチンからまた飛び出した。

空太

お前今日何時にあがんの?

さくら

今日22時!

のあちん

うわっバ畜〜

ゆうめん

私22時には家帰んなきゃ

のあちん

あーそっかぁ、あたしらはいけるけどふつうにまあそれなりに帰ったほうがいいよね

俺ゆうめん送るし3人22時までいたら?

さかも

あり。さっき話してた手持ち花火のことも決まったから言わないとだし

空太

あーそっか。どっかじゃあ近くで待ってるわ

さくら

いーの?ありがとう

チリンチリン、と鈴の音が鳴り、さくらは顔を上げた。

さくら

あ、対応してくるわ

やばい見とこ

さくら

ヤメロ笑

さくらが小走りで入り口に近づくと、入ってきたのは3人のお客様。

お父さん、お母さん、そして────

さくら

(うわっ、ベビーカー…いいんだっけ)

さくら

(いやいける席決まってたな、そこまで覚えてないや)

さくらがまだ話していると思ったのか結衣が表に出てきたので、助太刀をお願いする。

結衣ちゃん

あぁ!今奥の席空いてるからそっち案内だけしてもらってもいいかな?

結衣ちゃん

申し訳ないけど次レジお願いしたいんだ

結衣ちゃん

私お水持ってってそのまま代わるよ

さくら

ありがとうございます!

どうぞ、と誘導している最中、5人から痛いほど視線を浴びた

さくら

(ぜったいおもろがってる…!!)

さくらはそのままレジへ向かう。

さくら

(あ、さっきのお客さんだ)

レジ打ちをしているとさっきのベビーカーのお客さんがやってきた

ベビーカーの中にいるのは小さくて白くてほわほわした赤ちゃんだった。

さくら

(かわいいなぁ)

会計中、よそ見をしながら佐野が現れたが、ベビーカーで通路が塞がれてしまい、あ、という顔をしていた。

たぶんさくらも、あ、という顔していた。

佐野はお客さんにベビーカーで道を塞いでしまわないように誘導しつつ、

目が合ったのか赤ちゃんに笑いかけ、可愛いですね〜と感じ良く言う

そして佐野が裏へ戻っていくまでを横目で気になりながら、さくらはレジを終わらせた。

さくら

(っ〜〜、かわいい!!!)

赤ちゃんへなのか、佐野へなのか、それとも両方なのか

すべてが初めてのさくらにはもう、分からないことだらけだった。

この作品はいかがでしたか?

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コメント

1

ユーザー

待って、店長面白すぎ😂😂 しかも友達来たら少し会話していいよ〜、ってめっちゃ優しくない!?羨ましすぎるんだが!! わわ……!!さくらちゃん、ついに佐野さんに……!?でも、確かに花火を見ていると思ったら自分の方を見てて、「綺麗だね」なんて声かけられたらドキッとするよね🤭💕

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