桜
好きな人はね…
「いるよ────」
涼真
えっ!
俺は驚きのあまり、椅子から立ち上がってしまった
桜
な、なに?
涼真
桜、好きな人いるのか…?
桜
へ…?
桜
もしかして、聞こえてた?
涼真
あぁ、バッチリ
桜
嘘でしょ!?
桜
最悪…
律
へぇ、桜にも好きな人はいるんだな
桜
ちょっと律くん、失礼!
律
すまん(笑)
桜
私にも好きな人くらいいるよ
凛
誰なの?
凛
もしかして…涼真くん?
同時に
桜
はぁ!?
涼真
はぁ?!
凛
あ、ハモった
律
お前ら、ほんと仲良いよな~
律
やっぱり付き合ってんのか?
同時に
桜
違うよ!
涼真
違ぇよ!
凛
まぁた、ハモったよ
律
幼馴染ってすげぇな…
…………
放課後
桜
涼真~!
桜
やっと追いついたよ~
涼真
あれ、今日は凛と帰るんじゃなかったのか?
桜
先生に手伝い頼まれちゃったみたい
涼真
桜は手伝わなくて良かったのか?
桜
うん、予定があるからって帰ってきた!
桜
私には焼肉が待ってるからね!
涼真
あはは…
涼真
食い意地が張ったやつだな
桜
良いでしょ!
桜
食べるの大好きなんだもん!
涼真
昔っからそうだよな~
涼真
あ、そうだ
桜
なに?
涼真
ここから、家まで競争しね?
桜
それ良いね!
涼真
じゃあ、決まりだな!
涼真
スタート!
桜
ちょっと、ずるい!
涼真
悔しかったら、追いついてみろ!
俺は走りながら後ろを向き、桜をからかった
桜
ムカつく~!
桜
絶対追いついてやる!
…………
桜
はぁ、疲れた…
涼真
お前も、早くなったな
私達は息を切らしながら、途切れ途切れに話した
桜
涼真が遅くなったんじゃ…ないの?
涼真
それは…どうだろうな
涼真
はぁ、あっつ…
涼真は制服の裾で、顔の汗を拭いた
その時、涼真のお腹が制服の隙間からチラッと覗いた
桜
ふぇ!?
涼真
な、なんだよ?
涼真
そんな間抜けな声出して…
桜
ふっ、ふっ…
涼真
ふ?
桜
腹筋が割れてる!
涼真
なんだ、そんなこと…
桜
いつのまに…
涼真
別に昔から割れてるよ
桜
昔っていつ?
涼真
さぁ、小学生ぐらい?
桜
全然知らなかった…
桜
でも、腹筋割れてる男の人って格好良いと思う!
涼真
なっ…!
涼真はうっすらと顔を赤らめ
涼真
…格好良いとかは、好きな奴だけに言えよ
と言った
桜
私、涼真のこと好きだよ?
涼真
はぁ!?
涼真は目を見開いた
桜
だって、幼馴染でしょ?
涼真
あぁ、そういうこと…
桜
顔…赤いよ?
涼真
走ったから疲れたんだよ!
桜
そっか
桜
まぁ、良いや!早く入ろ!
涼真
あ、おう
涼真
ただいま
母
あら、おかえり~
桜
おばさ~ん!
母
桜ちゃん、来てくれたのね!
桜
はい!呼んでくれてありがとうございます!
母
桜ちゃんが来てくれると賑やかで良いわね~
桜
嬉しいです~!
母
さ!野菜切らなきゃね!
母
涼真~、手伝って!
涼真
えぇ、やだよ
母
もう、わがまま言わない!
桜
あ、私やりますよ!
母
良いのよ、お客様なんだから!
桜
遠慮しないでくださいよ~
母
じゃあ、お言葉に甘えさせて頂こうかしら
涼真
桜、頼んだぞ!
桜
任せなさい!
…………
俺はリビングでテレビを見ていたが
料理をする桜に目が行ってしまう
涼真
(いつのまにあんなに綺麗になったんだよ…)
桜
涼真~?
桜がキッチンから俺を呼ぶ
涼真
な、なんだ?
桜
さっきからチラチラ見てるけど…
桜
私の顔になんかついてる?
涼真
別に見てねぇよ…
桜
嘘だ!絶対見た!
涼真
見てない!
桜
見てた!
涼真
見てねぇよ!
桜
見~て~た~!
母
うふふっ…
母さんが口元に手を当てて笑う
涼真
なんだよ、母さん
母
いやぁ~?
何か考えているのは丸分かりだ
堪えきれていないニヤニヤが顔からこぼれている
桜
なんか言いたげですよ~?
母
2人とも仲がいいなと思ってね
母
もしかして…付き合ってるの?
涼真
はぁ?!
桜
違いますよ!
母
あら、そんなに否定しなくても(笑)
涼真
(学校でも言われたけど、そんなに恋人に見えるのか…?)
桜
もうそんな話おいときましょ!
桜
野菜切れましたよ!
母
そうね、そろそろ焼き始めましょうか
涼真
父さんは?
母
今日は会食らしいわ
涼真
ふ~ん
…………
桜
ん~、美味しい!
涼真
これ、めちゃくちゃ美味いな!
母
奮発して買った甲斐があったわ!
桜
いくらでも食べれちゃう!
涼真
あ、桜
涼真
ほっぺにタレついてる
桜
ん?どこ~?
涼真
そこじゃなくて…
俺は桜のほっぺについたタレをティッシュで取った
桜
あ、ありがと!
涼真
おう