計り知れない恐怖に襲われ、 思わず後退りしてしまう。
監督生
ツ、ツノ太郎…?皆さん…どうしたんですか…?
ずさり ずさりと 近づいてくる寮長たち。
いきなりの圧迫感に心臓の鼓動も息をするかのように速い。
どくん、どくん。
汗がひとつきらりと滴り落ちた。
_瞬間であった。
扉が雷のごとく勢いよく破壊される。
もくもくと経つ煙の中に見えるは テラコッタ色の髪。
ハート型のスート。
あれは_
2人+1匹
エース!!
エース
っはぁ、上手くまけたっ…ユウ!!…ああっ、クソ…逃げるぞ!!!
右頭部から 軽く血を流すエースがいた。
鈍器で殴られたような流れ方で 既に血は固まっていた。
エースは得意の風魔法を使い、 僕たち二人(+一匹)を引き寄せる。
監督生
ちょっ、どこに逃げるの?!鏡に入るんじゃ…
エース
結界が張られた!だから無理!とりあえず逃げろ!!!!
どたどたと長い廊下をかけていく。
監督生
結界?!!ごめん、これどういう状況?!?!
エースは僕の手を引っ張りながら 簡潔に説明する。
エース
だ〜か〜ら!!言ってただろ、要は寮長も学園長も皆!お前を帰したくないわけ!鏡のあの結界を特別な方法で壊せばお前は元の世界に戻れる!
エース
壊したけど今学園長が結界張り直してるから無理!ハッピーエンドかなんだか知らないけど…二回目の今は結末が違うみたいだしさ!!!
監督生
何で帰したくないの?三回目?結界はどうやって壊せるの?やばい、頭こんがらがってきた...。
エース
なんでかは知らねえよ!!ループしてんだよこのツイステッドワンダーランドが!!!お前とは以前に二回も会ってる!結界は…レオナ先輩が壊す方法を知っていればの話だけどね!!!
監督生
ループ?!?!レオナ先輩はその事知ってるの?!
エース
知ってるからああやって言ってたんだろうが!!…いやぁ、俺もまさか先輩まで気づいてたとは思わなかった…。
エース
ッッグリムにデュース!お前らもわかったか!!
デュースもグリムも目が点だ。 二人ともハテナが浮かんでるのがすぐにわかる。僕だってそうだ。
グリム
わからないけどわかったんだゾ!
デュース
...名残惜しいが、とりあえず監督生が元の世界に戻れるように先輩たちから守ればいいんだな!!
エース
そーゆーこと!理解できるなんて珍しいなデュース!!
デュース
ばっ、バカにするな!僕だって…
ずぎゃんっっ!
目の前に凄まじい魔法が飛び出る。
リドル先輩の魔法だ。
先輩たちが僕たちを追いかけている。
エース
っ!!…流石にお前を殺すなんてことはしないけど、気絶させて捕まえる可能性は大アリ!魔力の格差からして俺たちは逃げるしかねー!
監督生
どうして皆そこまでして…僕のこと…
エース
どうしてだろうなぁ!!そういう悪い先輩ばっかの学園だからなんじゃねーの!!
そう言いながら、追っ手の足止めのために後ろに炎を放つエース。
デュース
じゃあ真っ向勝負じゃダメだってことか!
グリム
オレ様の炎で足止めなんだゾ!
辺りに道を作るように一直線に 青い炎を吐くグリム。
オバブロ後だからなのか魔力が一段と磨きあげられてるように見える。
寮長たちの足が止まる。
彼らにほんの少し隙ができた。
エース
おい陸上部と猫!全速力で走れ!
デュース
お前もなバスケ部!
グリム
だからオレ様は猫じゃないんだゾ〜!
いつも通りふざけるエースたちに笑みがこぼれながらも、追いかけてくる先輩たちの方に目をやる。
彼らは皆、 どこか虚ろで正気には見えない。
まるで緻密に作られた人造人間のようで僕は思わず眉を顰めた。