この作品はいかがでしたか?
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泉
窓の向こうが青い。
それは自分の髪色と同じ色だった。
その空の中に、雲はまんべんなく広がっている。
泉
泉
泉
泉
泉
泉
校庭で3年の先輩が体育を行っているようだ。
その中に、雲によく似たその人は居た。
泉
泉
そんな彼でも、サッカーをしている集団の中で1番輝いて見えた。 そう、泉には見えた。
白く輝く髪と清く色白な肌は、 もはや雲というより、雪だ。
泉
泉
泉
少年のような顔をする彼は、空に向かって期待の目を向けた。
1か月前~
泉
パシャッ
持参のカメラで撮った写真を眺め、ほっと一息つく。
写真部の僕は、綺麗な植物を見つけてはシャッターを切っている。
泉
1度立ち上がり、ふと窓の方を見た。
そこには美術室。 がらりとした教室。
…だが、奥の方の席に誰か居る。
泉
泉
泉
泉
白い髪が揺れている。
青い瞳は太陽の光を映す。
灯りはなく薄暗い教室の中で 彼は輝いて見えた。
__パシャッ
泉
泉
美術室に居る彼から身を隠すように 急いでしゃがみこむ。
泉
泉
泉
泉
「写真を削除」という項目に触れる直前で指が止まる。
消すのもためらうくらいそれは美しく撮れていた。
泉
もう一度、おそるおそる窓を除く。
彼と目が合う。
泉
急いで隠れる。
泉
泉
泉
泉
泉
地面にしゃがみこむ彼には、背徳感と原因不明の喜びが混ざり合ったような気持ちが残った。
その日も、その次の日も、彼を忘れることはなかった。
部活時間。
泉
カメラを持ちながら美術室前でウロチョロする青年が1人。
泉
泉
泉
カメラに残った、この前の先輩の写真をこっそり眺める。
泉
泉
泉
泉
泉
泉
泉
泉
泉
泉
泉
泉
泉
泉
泉
泉
泉
泉
雪入先輩
泉
雪入先輩
泉
雪入先輩
泉
やばい……盗撮バレてた……!?
雪入先輩
泉
雪入先輩
雪入先輩
雪入先輩
雪入先輩
泉
泉
……一旦整理しよう。今僕の目の前にいるのはあの雪入先輩。
急に話しかけてきて、僕が盗撮していたことを知っていて、そしてとても距離が近い。
うん。ただそれだけ。
泉
いや、全然それだけじゃない。
雪入先輩
雪入先輩
雪入先輩はどこか気まずそうな顔をして僕から離れる。
雪入先輩
泉
唐突に申し訳なさそうになる先輩に僕は咄嗟のフォローを入れる。
未だにこの展開を理解出来ていない…
ど、どういう状況だこれは…?()
雪入先輩
泉
そう言うと、先輩は悲しそうな目でその場を去ろうと立ち上がる。
……理由はわからない。その時僕は、何故か先輩のシャツの裾を掴んでいた。
先輩を引き止めるような自分の行動に僕は少しの間思考停止していた。
雪入先輩
泉
雪入先輩
泉
頭に「図星」という言葉がよぎる。
雪入先輩
先輩は咄嗟に僕の隣に座り直す。 なんならさっきよりも距離が近い。腰と腰がくっついている。
雪入先輩
泉
何が起きているのか分からず、僕は先輩にされるがままに手を繋ぐ。
先輩……こんないい匂いするんだ。 手、すべすべしてるし…爪も綺麗。綺麗すぎる。 思考停止する僕の頭の中でも、しっかりと下心は働いていた。
雪入先輩
雪入先輩
雪入先輩
雪入先輩
雪入先輩
雪入先輩
雪入先輩
泉
あ、今ので僕の脳みそぶっ飛んだ。
雪入先輩
雪入先輩
「本当は離れて言って欲しくない」…… というようなことを言いたげな顔で、先輩は僕の手を握った自分の手元を見て俯く。
なんて素直で可愛い先輩なんだろう。 僕の本心のまず第一声はそれだった。
雪入先輩
泉
泉
雪入先輩
ギュッ
泉
先輩のひんやりとしたシャツが僕の頬に触れる。
先輩は細い身体をしているが、それはどこかしっかりとしていて、 僕より一回り大きい感じがした。
まあ、つまりは、 そろそろギャップで萌え死にそう。
雪入先輩
……ら、LINE……!?!?
それはつまり………四六時中先輩と話すことが可能ということ……!?((
泉
僕は震える手でLINEのQRコード画面を差し出した。 ちなみにそこまでにたどり着く操作は今までで1番早かったと思う。
ピコンッ
雪入先輩
雪入先輩
泉
雪入先輩
かわいいかよ………
雪入先輩
泉
雪入先輩
泉
一緒に帰れる…!? 先輩と!?
そんなことがあっていいのか……!?
雪入先輩
雪入先輩
僕は先輩に向かって小さく手を振る。 心の中では肩が外れる勢いで振っていた。
泉
泉
部活後、先輩と合流し、他愛もない会話をしながらいつもの通学路を進む。 つっても、僕は緊張しちゃって先輩が一方的に話しかけてくれてる感じだけど……
雪入先輩
泉
先輩の前では少し猫を被る。
女でもないのに。 ”手芸”が趣味とか事実はさすがに言えん。
雪入先輩
泉
趣味が一緒と知った瞬間、僕は先程の弱気を吹き飛ばして興奮の声を上げる。 もうこれ運命でいいだろ。 僕と先輩。
雪入先輩
先輩が手を繋いでくる。
それで気づく。先輩の指には絆創膏。
やはり手芸をマジでしているといことだろうか。 僕も趣味ではあるが得意ということではないので、指に絆創膏をよく貼る。
……いや待てよ。その前にだ。 僕、今先輩と恋人繋ぎしてるじゃないか。
僕は言葉にならない声を必死に押し殺し、心の中で手汗が出ないようにと必死で念じる。 多分無意味。
雪入先輩
雪入先輩
泉
泉
雪入先輩
先輩は、天然というか、幼いというか………
尊いとはこのことか……
泉
泉
雪入先輩
雪入先輩
泉
泉
時が一瞬にして流れたようだ。
泉
僕はまだ16歳。 まだまだ知らないことなんて山ほどある。
でも今日僕は、 人生におけるとても大事なことを知ってしまったようだ。
泉
泉
初めての、恋。
続く
コメント
2件
ウワァァァ尊いの極み!!! もしやこれが今の泉さんになるまでのお話だったり…?(俺氏大興奮) 先輩も泉くんもかっこかわいい💕