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テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで

あれから何日経ったのだろう

元々日付感覚など 殆ど無いが

雪と出会ったことで 身体に染み付いてきていたそれが

また消えていく気がした

白來

はぁ…

白來

(別に、嫌じゃない)

白來

(黒夜と一緒なのは
前と同じだし…)

白來

(でも…雪と逢いたい)

白來

(雪のあったかさに
触れてたい)

白來

(ヒトの時間は
短いんだよね…)

白來

(もう逢えなかったら
どうしよう)

白來

(雪と一緒に
やりたいこととか)

白來

(見てみたい景色とか)

白來

(いっぱい、あるのに)

日が昇って、沈んで

これまでは 一瞬だと思っていたそれが

嫌気がさす程 長く感じるのと同時に

雪の存在の大きさと 膨らんでいく不安を感じる

目を閉じた

白來

(夢の中なら
雪に逢えるかな…?)

(白來の気配は無し…か)

(こっちじゃねぇのか)

かなり森の奥深くまで来た雪は 近くの木にもたれかかった

頬を汗が伝う

(白來…)

…はは

(俺はこんなにも)

(白來に、白來の存在に
依存してたのかよ)

治療する上で心掛けてきたのは

“依存させないこと”だった

いつかは元の場所へ帰る以上

治療を受けるその場所に 依存させないこと

ヒトに依存させないこと

それなのに

…依存してたのは
俺じゃねぇか

自嘲的な声と共に

……逢いてぇ

小さな呟きが落ちた

???

すまない、
ちょっと良いか

…ッ?!

背後からいきなり声を掛けられ 慌てて木から背を離した

(気付けなかった…)

(コイツ、どこから……?)

???

っはは

???

そんな警戒しないでくれ

紅い髪の男は 動揺する雪に苦笑すると

困ったように頭を掻く

…貴方は

???

旅の者だ

???

お前は…

クスシ
俺は薬師で…

今は大事な奴のことを
探してます

???

そうか

???

…ちなみに

???

お前は私の正体、
気付いてるのではないか?

……

怪我をしていること
だけはわかります

???

……ふむ

???

珍しい

???

確かお前は
薬師だと言ったな

はい

???

治せるか、私の傷を

……見せてください

得体の知れない男に 警戒しながらも

薬師として 治療を始めることにした

男は着ている着物を ハダケ 上だけ肌蹴させる

これ、は…

深い刀傷が、簡易的に巻かれた 包帯で覆われていた

左肩の付け根あたりから 背中の真ん中辺りまで

それは長く走っている

???

…戦でな

……なるほど

取り敢えず 雑に巻かれた包帯を外し

沢で汲んであった水を 傷口に掛けた

???

…驚かないのだな

このくらいの傷なら
何度も見てますから

それに、包帯は雑ですが…

きちんと止血はしてあるし

思ったより
簡単に済みそうです

???

そうか

自分の傷なのに あまり感情が揺れない姿に

どこか納得する

……それにしても

貴方のような存在が

戦に出るなんてこと
あるんですね

???

小さく、男が 息を呑んだ…気がした

???

やはり気付いていたか

はい、まあ

…薬つけますね

???

私がそれと知った上で
治療をすると?

俺は基本
そっち専門の薬師です

それに…

救えないのは

――絶対に嫌なんで

長い前髪が 雪の瞳を隠す

吹き抜けた風が 短くなった髪を揺らした

???

なるほど

???

…縋りつかれたのだ

???

私を慕ってくれている妖に

?…どういうことですか

???

その妖は1人の武士に
世話になったらしくてな

…その武士が戦に?

???

ああ

???

手助けしてくれないかと
縋られた

???

ヒトの姿では
何も出来ぬがな

???

その武士だけは無傷で帰した

そういう…

???

どうしようもない話だな

……いえ

無言の中 丁寧に包帯を巻いていく

束ねられた男の髪が その首筋で揺れた

???

治療もしてもらったし

???

話も聞いてもらった

???

探し人がいるのだろう

???

協力させては
もらえぬだろうか

え、いや…

まだ傷もあるし

???

問題ない

???

気付いているか否かは
知らぬが

???

私はヒトが言う天狗だ

天狗

ヒトを
魔道へと誘うモノだとか

天狗

散々に言われている分

天狗

信用無いなら
仕方がな…

お願いします

天狗

……ほう

天狗

私は猿田彦大神と
混同されがちだが

天狗

それと違い道祖神の
ようなことは出来ぬぞ

俺1人だと
もう…かなり厳しいです

お願いします

天狗

私の正体を知っても尚
その態度……

天狗

言い出したのは私だ

天狗

出来るだけのことはする

天狗

その者を詳しく
教えてくれぬか

第16話【依存】

続く

玉響の刻は縁の果てに【BL】

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コメント

2

ユーザー
ユーザー

書くの楽しい けど脳内の妄想?を文章とかに書き表そうとすると逃げてくのなんなんだろうか……( ´ཫ`) 離れててもちゃんとお互い同じこと思ってるから雪白はラブラブだよな(え?) 次回もよろしくお願いします!

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