あれから何日経ったのだろう
元々日付感覚など 殆ど無いが
雪と出会ったことで 身体に染み付いてきていたそれが
また消えていく気がした
白來
白來
白來
前と同じだし…)
白來
白來
触れてたい)
白來
短いんだよね…)
白來
どうしよう)
白來
やりたいこととか)
白來
白來
日が昇って、沈んで
これまでは 一瞬だと思っていたそれが
嫌気がさす程 長く感じるのと同時に
雪の存在の大きさと 膨らんでいく不安を感じる
目を閉じた
白來
雪に逢えるかな…?)
雪
雪
かなり森の奥深くまで来た雪は 近くの木にもたれかかった
頬を汗が伝う
雪
雪
雪
雪
依存してたのかよ)
治療する上で心掛けてきたのは
“依存させないこと”だった
いつかは元の場所へ帰る以上
治療を受けるその場所に 依存させないこと
ヒトに依存させないこと
それなのに
雪
俺じゃねぇか
自嘲的な声と共に
雪
小さな呟きが落ちた
???
ちょっと良いか
雪
背後からいきなり声を掛けられ 慌てて木から背を離した
雪
雪
???
???
紅い髪の男は 動揺する雪に苦笑すると
困ったように頭を掻く
雪
???
???
雪
俺は薬師で…
雪
探してます
???
???
???
気付いてるのではないか?
雪
雪
だけはわかります
???
???
???
薬師だと言ったな
雪
???
雪
得体の知れない男に 警戒しながらも
薬師として 治療を始めることにした
男は着ている着物を ハダケ 上だけ肌蹴させる
雪
深い刀傷が、簡易的に巻かれた 包帯で覆われていた
左肩の付け根あたりから 背中の真ん中辺りまで
それは長く走っている
???
雪
取り敢えず 雑に巻かれた包帯を外し
沢で汲んであった水を 傷口に掛けた
???
雪
何度も見てますから
雪
雪
雪
簡単に済みそうです
???
自分の傷なのに あまり感情が揺れない姿に
どこか納得する
雪
雪
雪
あるんですね
???
小さく、男が 息を呑んだ…気がした
???
雪
雪
???
治療をすると?
雪
そっち専門の薬師です
雪
雪
雪
長い前髪が 雪の瞳を隠す
吹き抜けた風が 短くなった髪を揺らした
???
???
???
雪
???
世話になったらしくてな
雪
???
???
縋られた
???
何も出来ぬがな
???
雪
???
雪
無言の中 丁寧に包帯を巻いていく
束ねられた男の髪が その首筋で揺れた
???
???
???
???
もらえぬだろうか
雪
雪
???
???
知らぬが
???
天狗
魔道へと誘うモノだとか
天狗
天狗
仕方がな…
雪
天狗
天狗
混同されがちだが
天狗
ようなことは出来ぬぞ
雪
もう…かなり厳しいです
雪
天狗
その態度……
天狗
天狗
天狗
教えてくれぬか
第16話【依存】
続く