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「見付けた」と 小さく呟く

恐らく部下には 見えていないであろう

ヒトの姿を真似た黒い妖狐と 群れる狐たち

黒狐

……

化野明衡

…!

目が合う

黒狐が殺気を纏った

化野明衡

(……まずいかな、これは)

陰陽師

……明衡様?

陰陽師

何かいるんですか…?

化野明衡

……やっぱり
 見えてないんだ?

陰陽師

す、すみません!

化野明衡

いいよ別に

陰陽師

……え、

化野明衡

ただ…そうだね

化野明衡

帰りなよ

陰陽師

あ、いえ、それは

化野明衡

妖の姿も見えないで
何が出来るのかな

陰陽師

ですが

化野明衡

次期当主の言葉が
聞けないと?

陰陽師

そういう訳では…!

化野明衡

じゃあ帰りなよ

陰陽師

しかし私は…

化野明衡

護衛のつもり?

化野明衡

……ナメるなよ

陰陽師

ひぃっ

低い声で詰めよれば 部下は半歩後ろに退る

化野明衡

僕は帰れと命じた

化野明衡

どう動くべきかは
わかると思うけどね

陰陽師

す、すみませんでした!

陰陽師

失礼しますっ!!!

脱兎のごとく駆けていく その後ろ姿を

化野明衡

(…まだ早いでしょ、
 こういうのはさ)

化野明衡

(どちらかが死ぬのは
目に見えてるし)

化野明衡

(アイツが僕みたいになる
必要なんてないんだから)

自分でも驚くくらい冷静に 見詰めてから

シュリョク そっと札に呪力を流し込む

化野明衡

……ふぅ

化野明衡

気付いてるんだろ
出てきなよ

声を掛けると

群れていた狐たちを逃がしてから 黒狐がこちらに向かって

ゆっくりと歩いてきた

黒狐

部下の手は借りねぇってのか

化野明衡

そうだね

黒狐

ナメてくれるじゃねぇか

化野明衡

ナメてる訳じゃないさ

黒狐

何しにきやがった

化野明衡

僕が何者か
わかった上で

化野明衡

それを聞く?

黒狐

目的次第だからだ

黒狐

アイツらに
危害を加えないなら

黒狐

今は見逃してやるよ

化野明衡

…それなら残念

化野明衡

僕は君を祓いに来た

黒狐

1人でか?

化野明衡

1人の方が
動き回れるからね

黒狐

はっ、なるほど

こちらの目的が分かっても尚

目の前の黒狐は 変化を解かない

化野明衡

変化解かないなんて
ナメてくれるね

黒狐

ヒト相手なら
こちらの方が楽なだけだ

相手の妖力が高まったのを感じ 札を構える

強い風が

自身の長い髪を乱した

瞬間

化野明衡

縛(バク)
キュウキュウニョリツリョウ
急喼如律令

黒狐

妖術 幻影

互いの術が空中でぶつかり 四散する

黒狐

呪力で押し切るタイプかよ

黒狐

めんどくせぇ

化野明衡

そういう君は…

化野明衡

妖力は少ないけど、妖術の
精度で持ってくタイプだね

黒狐

お前が白來と同じタイプなの
本気で胸糞悪ぃ

化野明衡

君は僕の弟と
タイプが同じだよ

化野明衡

…嫉妬するよね、そういうの

2人、同じ屋敷で 暮らしていた頃を思い出し

目を伏せてから

札に再び、呪力を込めた

化野明衡

バンマチョウブク
万魔調伏

化野明衡

急喼如律令

黒狐

チッ

黒狐

セイダツリョクシュ
生奪力取――

こちらの生力を 奪おうとしたのか

黒狐は両手を宙にかざした

術に込めた呪力が 吸い取られていく

化野明衡

なるほどね

化野明衡

1つ教えてあげようか

黒狐

…あ?

尚呪力を奪い取る黒狐に

化野明衡

万魔調伏 急喼如律令

今度は先程よりも 多くの呪力を込めて

術をかける

黒狐

何度やっても無駄だって
わかんねぇかなぁ!

黒狐

次はお前の生力を…

化野明衡

(“今”だね)

軽く地面を蹴って

黒狐の間合いに飛び込んだ

黒狐

な…

化野明衡

縛 急喼如律令

1拍遅れて

黒狐

っぐ、?!

黒狐の身体が硬直する

化野明衡

君は確かに
妖術が上手い

化野明衡

妖力が少ないのを
上手く補っているよ

黒狐

は…?

化野明衡

でもそれが通用するのは

化野明衡

対 妖の時と

化野明衡

君と同じ質(タチ)のヒトが
相手の時だけだ

化野明衡

僕みたいに
呪力量が多い者なら

化野明衡

量でねじ伏せることは
簡単だよ

黒狐

てめぇ…!

化野明衡

これが僕の仕事

化野明衡

悪く思わないでね

術を解こうと力を込める 黒狐を見据え

破邪の術を掛けようとした

その時

???

なに、してるの…?

白來

…!

白來

っ、黒夜!

叫んで

気付けば その場に飛び出していた

化野明衡

……!

化野明衡

…どうしてここに

化野明衡

雪と仲違いでもしたの?

白來

黒夜に何してるの

内側から滾るのは 忘れかけていた熱と怒り

化野明衡

仕事をしているだけ

化野明衡

…どきなよ

白來

……やだ

冷たい、殺気を纏った呪力が こちらに向けられる

白來

黒夜が何かしたの?

白來

何かヒトに危害を加えたの?

化野明衡

僕は父上からの指示で
動いてるだけだし、

化野明衡

妖は悪

化野明衡

考えを変えるつもりは
無いって

化野明衡

言った筈だけど

長い髪で表情を隠し

明衡は 再び術を掛けようと

白來

(いやだ)

白來

ッ生奪力――

怒りに任せて 妖術を使おうとした、刹那

???

駄目だ白來ッ!

白來

…ッ?!

自分と明衡の間に入り込んだ 声の主を

制御出来なくなった妖術が 包み込んだ

化野明衡

…っ、なんで

第17話【滾るもの】

続く

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コメント

2

ユーザー
ユーザー

昨日の夜寝落ちてましたごめんなさい 個人的に雪と明衡の呪力量の差の話は書きたかったので、書けて満足です() わかりやすく書くと 呪力は少ないが技術が上→雪 呪力は多いが技術が劣る→明衡 なのです 明衡の心情とか過去とかを徐々に出したいなって感じっすね!

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