にーと達の短編集

今日は運が悪い。

好きな人と体育で ペアになってしまった。

普通はラッキーなことだろうけど、

あたしにとっては正反対。

あたしは運動が苦手だし、ドジして怪我なんてしたら相手が心配してしまう。

心配してくれるのはもちろん嬉しい

だけど、心配かけるなんて 迷惑だよね…

彼があたしを褒めて、 慰めてくれ…て…る、多分。

これは貴重なデレだ。大事に記憶に刻んでおこう。

辺りを見回すと飛び交っているボールが見えた。

みんな楽しそうだし、すごく仲がいい。 男女のペアなんてカップルみたいに見えてくるほどだ。

あたし達も、もしかしてカップルに見えたり…？

ぶっきらぼうに あおじるがボールを投げる。

まぁなんとかキャッチできたけど…

そう言って、全力でボールを投げる

空中で綺麗な曲線を描いて、 あたしとあおじるの真ん中くらいで落ちていった。

そう言い切らないうちに、あたしに誰かがぶつかってきた

彼の途切れ途切れな声を聞きながら あたしの意識はなくなった

目が覚めると、天井

と、好きな人の顔。

「やっと」ということは、ずっと見ていてくれたのだろう。

下校時刻をとっくにすぎた時間を指す時計が鳴る静かな空間。

きっと帰りたいだろうに…先生に押し付けられでもしたんだろう

つまらないことこの上ない。

いつもは興味無い振りしてるのに、ちゃんと心配はする。

こういうツンデレなところも愛おしくて仕方ない

小さな言葉が聞こえた

…す、好きな人？ ここには、あたししかいないよね？

照れる彼がかわいくて、ついからかってしまった

改めて、両思いってことなんだよね

これは、付き合えたってこと…✨

幸せを共有できていることが嬉しい

本当に、あたしは幸せ者だなぁ…

でも正直、思い返してみると結構クサいかも…w///

本心でそんなこと言えるのかっこいいよぉもう…////

カップルみたいな会話じゃなくて

本当にカップルなんだもんね、もう

彼は手をあたしに差し出す。

世界がちょっとだけ輝いて見えるのは、

気のせいか、君のせい。