テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
だいぶ病み表現が含まれます 。
そのため 、 センシティブを 付けさせて頂きました 。
よくあらすじを読んだ上で 自己責任のもとお進みください 。
こちら 、 私が主催のノベルコンテスト 「 菜々音 、 ノベコンやるらしい 」 の参考作品となります 。
ピチャ … ピチャ … ピチャ …
とっくに日は暮れ 、 その道には雨水を踏む 一つの足音だけがあった 。
… そう 。
足音 「 だけ 」 が 。
その足音は 、 徐々に 人気のある方へと向かい 姿を現す 。
夏の熱気が漂う 小さな神社の夏祭り 。
そこにぽそりと 、 冷たい言葉が吐き捨てられる 。
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夏の終わり 。
夏ならではの騒がしさが 、 彼の声をも攫って行った 。
又足音は移動する 。
海辺で寂しい音を立て 、 それすらも波音に消され乍も 音は荒がってゆく 。
ザ、 サー …… ザザー
ジョリ … ジョリ …… ジョリ …
しかしながら 、 その寂しい音は静かに 海の方へ消えてゆく 。
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漆黒の海へと 、 その影は溶けて逝く 。
見つけられた頃にはもう 、 彼は此の世界にはいない 。
9月1日 。
一年を通して最も ……
自殺が多い日だそう 。
空に星が 、 ちら ほら と見える中 。
あの音はもう一度 、 此の残酷な世界に 誕生する 。
9月9日に 。
目が覚めた場所は 、 見覚えのない自室 。
それなのに迷いもなく 、 その音は動き出した 。
カチ … カチカチッ ……
数枚のモニターが連なる 、 ゲームデスクに向かい 恐らく自分のであろうPCを 慣れた手つきで立ち上げた 。
次第にその感覚と 体の中に眠った感覚は鮮明になり 、 此方が現実 、 彼方が夢だと 錯覚し始める 。
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それでも微かに残っていた 、 「 夢 」 の記憶と一致する 見覚えのある名前が4つ程 。
ズキッ ……
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脳に突き刺さるような 、 鋭い痛みが襲う 。
その瞬間 、 彼はまた彼方の世界に 引き戻される 。
9月9日 。
音が別の世界で奏でられた日 。
未来の世界へ来た日 。
今度目が覚めた場所は 、 薄暗くアルコールの匂いが漂う 一面白に覆われた部屋 。
ドンッ
その音と同時に 、 発せられた感情に満ちた声 。
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身近な人に対する嫌悪感なのか 。
惨めさに向けられた劣等感なのか 。
家族に向けた罪悪感なのか 。
感じられない幸福感へなのか 。
得たことのない満足感へなのか 。
生死を彷徨った恐怖感なのか 。
それとも全く違う 、
何かなのk ___ 。
記憶の奥底に残る 呑まれてしまいそうな漆黒とは 打って変わって 。
澄んだ青色と優しさ溢れる砂色が 俺ら4人を包んだ 。
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彼が奏でる音は濁りなんてない 。
まるで別人かのように 、 美しく澄んだ音だった 。
しかし海は 、 追憶の中にある記憶を 呼び起こすトリガー 。
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刹那 、 呼び込まれるかのように 海へと駆け出す 。
その音を止めるように 、 4人の男が音を掴み 力強く離さなかった 。
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そんな音はまた濁り始める 。
10月の砂浜に 、 汚れた声が響いた 。
次第に視界は暗転して行く 。
10月19日 。
本当の輪廻転生をした 。
無邪気な笑い声は 、 部屋いっぱいに響く 。
やはり悪夢なのだろうか 。
現実と夢の境界線が みるみるうちに壊れて行く 。
ただその場に出てくる人々は 、 皆同じ名前 。
それに加えて同じ顔 。
画面の眩しさに目を瞑る 。
そのひと時で 、 眠りについた 。
1月1日 。
彼らは仲間となる 。
花の咲く場で 、 また皆と出会う 。
花のざわめく音 。 鳥の囀り 。
俺ら4人の 、 俺ら4人だけで奏でられた 幸せと笑顔のハーモニー 。
今まで見てきたものが全て夢でも 、 全て現実でも 。
間違いなく俺らが歩んだ軌跡で 、 救われた 。
皆も俺と同じように 、 夢だか現実だかわからない世界を 数回彷徨ったと言う 。
同じ世界に同じ記憶が存在した 。
いつでも俺らは仲間で 、 頼り頼られる 。
その事実と 、 今までの軌跡に
ありがとう ... を 。
4月2日 。
彼らはまた ___ 。
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そこにある音は 嘘偽りない 、 幸せの音 。
その音は綺麗な音だけではなく 、 灰色だった景色までをも色付けた 。
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瞳の奥には 、 優しい色の水色とエメラルドが 光り輝いていた 。
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