最近、妙な夢を見る。
同じ顔女の子がいる夢を…。
それに私と正反対な事を言っている事も。
晴人
月様、月様?
月
…!
晴人…。
どうしたよ?
月
(私とした事が…。
ぼーっとしているなんて)
晴人
いえ…。
体調がすぐれないのかと。
調子がお悪いのでしたら
お辞めになった方が…。
月
大丈夫よ。
やれるわ。
行きましょう。
晴人
そうですか?
月
大丈夫よ。
こんな事で休んでられないわ。
私はこの国の女王だもの。
晴人
では、行かれる前に
お食事だけでもなさって下さい。
月
食事?
そんな時間ないわ。
忙しいもの。
晴人
そのような事は言わずに…。
今日の料理は月様のお好きな苺の
スープでございます。
月
!!
晴人
食べないと
裁判中にお腹が空いて
しまわれますよ?
月
うっ…。
分かったわよ!
頂くわ。
晴人
さすがの月様でも
誘惑には勝てませんでしたね笑
月
た、体調管理も
仕事のうちの1つだから!
月
…それに
私にはこの国を
治める使命があるもの。
月
この世界に生まれてきた
その瞬間からね…。
これは王家に定められた宿命。
逃れないほどの血の掟でもあるの。
月
それに…
晴人
?
月
玉座に
私以外の人が
座るなんて絶対に嫌だもの!
晴人
!
月
…だから
こんな力抑え込んで
みせるわ、絶対に。
月
ご馳走さま!
とても美味しかったと
料理長に伝えといて。
月
さぁ、行くわよ
晴人。
晴人は床に腰を下ろし月の手を取り
手の甲にキスをし…。
晴人
仰せのままに。
女王様。
月
…!
そ、そこまでやらなくて良いわよ(照)
現女王が就任してから平和を維持してきたこの世界。
ですが最近その均衡が崩れて始めている…。
苛立つ民衆もいれば増える犯罪…
各地での暴動すら起こりつつある。
晴人
(原因があるとすれば…)
青斗
(彼女の力はいわば臨界状態。
溢れ出すのは時間の問題だ)
晴人
…だとしたら
私達に残された道は
ただ1つ。
『彼女(アリス)』
を召喚すること…。
と晴人がボソっと言っていたが
前を歩く月には聞こえていなかった。
愛梨
(さっき私達を見てた人
なんだったんだろう?)
やっぱり気のせいとは思えない…。
どうして私達を見ていたのかな…?
何か妙に存在感のある人だったし
あの瞬間、全身の血が騒いだ気もした。
それに最近感じる理由の分からない違和感…。
貴方はその違和感に関係があるの?
根拠もない関連付けするのは
不安だから…?
優花
あ、もうすぐ寮に着くよ!
急ごう、愛梨。
愛梨
う、うん…。
明日香
あ、また愛梨
ぼーっとしてるよ!
優花
本当に大丈夫?
愛梨
うん、大丈夫。
行こう。
愛梨
(同じ学校の制服だったし
もしかしたらまた会えるかもしれない…。)
愛梨
(…?
視線?
なんだろう?)
愛梨は視線と足音が聞こえた方を見てみると、
そこには…。
愛梨
(あ、あの人
この間の…!)
愛梨
あ、待って!
(行ってしまう!)
優花
愛梨!?
何処行くの?
愛梨
(あの視線…。
あの違和感と何か関係があるっていうの!?)
あ、あの!!
晴人
…?
晴人
…どうかしましたか?
私に何か用でも?
愛梨
…え。
(人違い!?)
優花
愛梨!?
急にどうしたの?
いきなり走りだして!
愛梨
えっと、その…。
(違和感と視線…。
そんな確信のない話を
説明する訳にはいかないわ…。)
愛梨
ごめんなさい。
人違いでした。
愛梨
(何で、あんなに
必死になって追いかけたんだろう…?)
優花
すみません。
この子、今日
1日ぼーっとしてて…。
晴人
いいんですよ。
気にしないで下さい。
それでは…。
優花
…ねぇ。
愛梨、今日1日どうしたの?
急に走りだしたりするし。
愛梨
…!
この間出掛けた時に
私達の事見てた人がいたでしょう?
その人と見間違えちゃって。
優花
そういえば、そんな事
言ってたよね愛梨。
でも私達見てないし
てか、そんな人居た?
愛梨
え…。
優花
前にも言ったけど
ストーカー?
それとも殺人犯とか?
明日香
ヤダ…。
優花、変なこと言わないでよ!
愛梨
(え、何で2人とも
気付かないの?
あんなに目立つ人なのに…。)
愛梨
(ううん…。
2人とも見てなかっただけかもしれないわ
そうだよね、きっと)
でも、何でだろう?
やっぱり違和感が振り切れないでいる…。
優花
ねぇ!
それより行こう。
門限に遅れるよ!
晴人
…彼女ですか?
青斗
ああ。
おそらく間違いない。
晴人
そうと分かれば
早く目的を実行しましょう。
青斗
そうだな。
青斗
…。
青斗
…ここは随分と平和な場所だな。
彼女から見たら俺達の国は酷く
恐ろしく感じるだろう。
晴人
同情ですか?
青斗
違う。
彼女には俺達の国に
来てもらわないと困るからな。
青斗
…ただ見覚えがあってな。
晴人
それは当然でしょう。
私達は長い間彼女の片割れと
一緒に居たのですから。
青斗
…そうだったな。
彼女を様子をみてあちら側へ連れて行く。
晴人
分かりました。
では私はあちら側に戻ります。
…あれから数日。
相変わらずあの不思議な違和感は続いている。
愛梨
(妙に会話が噛み合ってなかったり
記憶が少し違ったり…。)
愛梨
(…どれも些細な違和感。
けどそれは日増しに強くなっている気がする。
そうだ、あの夢…)
あの夢を見てからといもの
全てがおかしくなった…。
そんな気がする。
明日香
(このカードは
大きな変化、困難を表すの…。)
愛梨
まさか…ね。
(もう遅いし、早く帰らないと…。
それに何だか雨も降りそう。)
愛梨
(思ってるそばから
雨が…。帰らなきゃ)
1度見たら忘れられない
あの鋭い視線…。
まるで私を貫くような…。
愛梨
…!
貴方は…。
青斗
俺の名前は青斗。
お前を迎えにきた。
愛梨
!!
晴人
お疲れ様です。
次は、謁見室に参りましょう。
月
休む暇もないわね…。
晴人
少しお休みになられますか?
兵士
晴人様!
晴人
何事ですか!
女王の前で騒々しい。
月
…いいわ。
話しなさい。
兵士
…申し上げます。
例の裁判にかけて
処罰された罪人が
何者かに殺害されました。
月
!!
晴人
!!