俺は、この異質なゴブリン達を襲えば何か手掛かりを掴めるかも知れないと思い すぐに仲間の元へ報告に向った
若
お、戻ってきた
若
そろそろ、また歩き出そうと思ってたんだ
桃色のオーガ
周辺警備ありがとうございます
桃色のオーガ
何か異常はありませんでしたか?
この桃色のオーガは若の妹の巫女姫だ
青いオーガ
姫様、それが…
俺は先程目にした異様な魔物達のことを皆に話した
若
やけに見てくれの良いゴブリンと牙狼だと…?
青いオーガ
あぁ
青いオーガ
牙狼の背にゴブリンがまたがり仲良さげに話していた
白いオーガ
うぅむ、にわかには信じられませんな
若
そんな事あり得ない、牙狼族とゴブリンの力の差は圧倒的だ
巫女姫
魔物とは、弱肉強食
巫女姫
牙狼がゴブリンを襲う事はあっても対等に渡り合うことなど…
紫のオーガ
お前、疲れて幻覚でも見たのでは無いですか?
青いオーガ
いや、嘘偽り無い事実だ
仲間達はそんな事あり得ない。と俺の話を半信半疑で聞いていた
青いオーガ
確かに異常だ。信じられないのも分かる
青いオーガ
だが俺達は、このような魔物の常識から外れた異様な光景を見た事がある
里を襲った豚ども
そう口にした瞬間、皆の目の色が変わった
青いオーガ
あいつらは鎧を身につけ軍を率いてやってきた
白いオーガ
確かにアレは異常事態じゃった
巫女姫
オークは知能があまり高くはありません。あのように統率を取るなど決して…
紫のオーガ
馬鹿な豚どもには出来うるはずもないッ
青いオーガ
そしてやはり裏には豚どもを操っている者がいた
若
ッッ…!まさか!
青いオーガ
あぁ、俺はあのゴブリン達がそいつと繋がっているのでは無いかと思っている
こんな異常事態そうほいほい起きるものでは無い。ならば手引きしている者が同じなのではなかろうか
そう伝えると皆目を伏せ考え始めた
若
もし、本当にそうなら
白いオーガ
そ奴らから何か手掛かりが掴めるかも知れませんな
紫のオーガ
そのゴブリン達にちょっかいを出して黒幕を引きずり出してやりましょう!
巫女姫
危険ではありませんか?
巫女姫
敵の力は未知数、今のボロボロな我らでは…
若
俺達はこの命をかけて仇を取ると決めたのだ
若
例え敵わなくとも挑まぬ訳にはいかない!
若
まぁ、負ける気は毛程も無いがな
白いオーガ
若が決めたなら我らはついて行くまでですじゃ
紫のオーガ
我らが里に手を出した事、後悔させてやります!
巫女姫
……分かりました
巫女姫
ゴブリンの元まで案内してください
青いオーガ
御意
俺はゴブリン達がいた方へ皆を案内した
幸い、ゴブリン達はさほど移動しておらずすぐに見つける事ができた
青いオーガ
居ました、あれです
俺達はゴブリンに気付かれぬよう、少し離れたとこで様子を伺っていた
若
本当にゴブリンと牙狼が…
巫女姫
あの者達は普通の個体より魔素量が多いようです
白いオーガ
じゃが、我らなら倒す事は容易じゃな
紫のオーガ
さっさと切り掛かりに行きましょう!
巫女姫
待ちなさい
巫女姫
全て倒してしまってはダメです
巫女姫
全滅すれば主人に見限られ、様子見にすら現れないかも知れません
巫女姫
それに、相手はゴブリンです。襲撃しても下っ端だからと上の者が来ず、放置されるかも知れません
巫女姫
そうなった場合、倒してしまっていてはゴブリン達に話を聞く事も出来ません
青いオーガ
ではどうしましょう?
巫女姫
そうですね…
少しの沈黙ののち、巫女姫が再び口を開いた
巫女姫
私が魔法で相手を眠らせます
巫女姫
魔法にレジストした者や、万が一に他の者が出てきた場合、対応お願いいたします
若
分かった、それでいこう
若を始めとし、全員が頷いた