TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

注意事項

この作品は BL(男性同士の恋愛)作品です。

苦手な方はブラウザバックを 推奨します。

それでは、どうぞ。

ドサッ!

尚則

!?

尚則

た、敬浩くん…?

敬浩

…ナオさ。

敬浩

ほんっっとに

敬浩

俺の気持ちぐちゃぐちゃにするの好きだよね?

敬浩

俺のこと、試してんの?

尚則

!?、へっ?

尚則

な、なんのこと…?

敬浩

!、

敬浩

敬浩

まだとぼけるつもりかよ…。ボソッ

敬浩

もう無理、かわいすぎ

敬浩

今からお前のことめちゃくちゃにするから。

尚則

え、や…待って!

尚則

たかひろくん、やだ…あっ!

尚則

待って、お願い…っ!!

それは、今から1ヶ月ほど 前の出来事だった。

僕が初めて彼と会った日は、 僕が通う高校の 合同演奏会があって、

放送部でその演奏会の 司会を任されていた僕は、

アナウンスの準備に 取り掛かっていた。

尚則

皆様。

尚則

本日は渚雲塚高校の合同演奏会にご来館くださり

尚則

誠にありがとうございます。

尚則

開演に先立ちまして、会場の皆様にお願い申し上げます。

尚則

客席内での飲食はご遠慮ください。

尚則

携帯は電源を切るかマナーモードに設定してくださるよう、お願い申し上げます。

尚則

プチッ(マイクの電源を落とす)

尚則

(これでよし、と…。)

春樹

相変わらずイケボだなぁ、ナオは。

尚則

!?

尚則

春樹…。

春樹

あ、驚かせちゃった?

春樹

ごめんね。

春樹

それ、第一部の台本?

尚則

あ、うん…そうだけど。

春樹

へぇー、ちょっと見せて

春樹

春樹

!、あれ?

春樹

ナオ、裏方になったの?

春樹

舞台の仕事任されてたんじゃなかったっけ?

尚則

初めはそうだったんだけど。

尚則

部長にそう頼まれて、後輩に任せた。

尚則

部長曰く、

尚則

「後輩は早いうちに目立つ経験をさせたほうがいいだ」って

春樹

なるほどねぇ。

春樹

…でも、残念だな。

春樹

冒頭のイケボ(ナオの声)の主がどんな子なのか気になる人、

春樹

結構多いと思うけど…

尚則

そんなの想像に任せとけばいいよ。

尚則

尚則

むしろ、

尚則

僕がその声の主だと知ったら、がっかりするんじゃないかな。

尚則

ほら、僕…

尚則

地味でチビで…イケメンでもないし。

春樹

ナオは謙遜してばっかりだなぁ。

春樹

そんなことねぇよ。

春樹

自信持てって。

尚則

尚則

ありがとう…。

僕が自分に自信を無くしたのは 中学生の時からだ。

 

尚則くんって、お芝居か何かしたことあるの?

尚則

えっ?、いやないけど…

うそっ!あんなに文章読むの上手なのに?

尚則

ええ、上手じゃないよ…。

上手だよ!

声すごく綺麗だし、声優さんが読んでるみたいだもん。

真世

声優の〇〇さんに声質が似てるよね。

真世

アニメキャラの声真似とかできそうじゃない?

できそう!

ねぇねぇ、何か知ってるアニメとかある?

尚則

え、えーっと…

当時、僕は見た目とは正反対の… 女子曰く大人っぽい声を持っていて、

その声を聞こうとよく 色んな女子に声をかけられていた。

地味で根暗な性格だった僕は女の子からチヤホヤされるのが嬉しくて…

つい、ニコニコ笑顔で 彼女達に対応していた。

すると、

男子

おい、また吉岡、女子に媚売ってるよ。

男子

女子達、あの声が作り声ってことに気づかねぇのかな。

男子

人の彼女だと分かっていながらヘラヘラするとかアイツ最低だわ。

男子

ボルボフィッシュみたいな顔してるくせにチヤホヤされやがって。

男子

ほんっとムカつくわ…。

そんな僕をよく思わない人が 沢山でてきてしまった。

尚則

(媚び売ってないんだけどな)

尚則

(元々この声なんだけどな)

尚則

(向こうからグイグイ来てるんだけどな…)

そのうち、僕は仲良しだった 男子達から遠ざけられて

女の子と話してばかりの 学校生活を送るようになった。

沢山告白もされて、 ちやほやされて嬉しかった一方で

僕は同性からはとてつもなく 嫌われるようになってしまった。

それが僕はとても悲しかった。

尚則

尚則

うわ…。

尚則

(今日も机に落書きが…。)

尚則

尚則

(…やっぱり、)

尚則

(僕がこんな声して、ニコニコしてるのがいけないのかな。)

尚則

(僕が…悪いのかな。)

それからは、 僕は自分の声が 好きになれなくなった。

加えてニコニコしないように

唇を噛んで、 表情を押さえつけるのが くせになった。

そしてそれは

従兄弟の春樹の懇願で放送部に 入ってからも継続している。

春樹

なぁ。

春樹

中学のことはもう忘れろよ。

春樹

俺は本気でお前に入ってほしくて放送部に誘ったんだぞ。

尚則

尚則

ご…ごめんね。

尚則

励ましてくれてるのに、立ち直れなくて。

春樹

謝るんじゃねぇ。

春樹

俺の話を聞いて

春樹

放送部に入ってくれただけでも、お前は前向きになっている。

春樹

ただ。

春樹

自分への自信が足りなさすぎるだけだ。

春樹

とっとと自信つけて、はやく立ち直れ、な?

尚則

う、うん…。ありがとう。

尚則

尚則

(自信…。)

尚則

(そんなもの、持てるかな…)

尚則

(いや、)

尚則

(そんなもの、持って大丈夫なのかな?)

尚則

(中学の時みたいに、ヘラヘラしちゃわないかな。)

尚則

(また誰かに嫌われたりしないかな…。)

尚則

 

 

敬浩

敬浩

…あの、

尚則

尚則

尚則

(バイオリンを持った 他校の男子高校生が尚則を見つめる)

尚則

(うわ…かっこいい。)

尚則

な、

尚則

な、なんですか?

敬浩

今何時か教えてもらえますか?

敬浩

ちょっと腕時計が壊れちゃって

尚則

あ、はい。

尚則

今は…12時52分ですね。

尚則

開始時間まで、あと8分です

敬浩

あ、そうですか。

尚則

尚則

尚則

あの、

尚則

よかったら僕の腕時計貸しましょうか?

敬浩

えっ、

敬浩

いいんですか?

尚則

はい、全然。

尚則

僕、予備で鞄にもう一個時計つけてるんで…

敬浩

そうですか…

敬浩

では、お借りします。

敬浩

敬浩

ありがとうございます。

尚則

いえいえ。

尚則

演奏頑張ってくださいね。

敬浩

敬浩

かわいい…。

尚則

へっ?

敬浩

あ、いや、

敬浩

なんでもないです。すみません。

敬浩

では、

尚則

あっ、は…はい。

 

 

 

春樹

…。

尚則

(今さっきの人、)

尚則

(かっこいい人だったなー。)

尚則

(スタイルいいし、バイオリンがよく似合う…)

春樹

さっきの人、めっちゃイケメンだったな。

尚則

うん。

尚則

衣装も相まって王子様みたいだったね

春樹

うん、雲塚高校の衣装、ちょっと特殊だもんな。

 

 

 

敬浩

…。

敬浩

(王子様みたい…か。)

つづく

コンプレックス・クライシス

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

556

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚