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数分後

春樹

皆様、本日は渚雲合同演奏会にご来館くださり、誠にありがとうございます。

春樹

冒頭にお送りいたしました曲は

春樹

J.バーンズのアルヴァマー序曲。

春樹

軽快なパーカッションが特徴的な躍動感のあるクラシック音楽でした。

春樹

さて、第一部の演奏は…

尚則

始まったな…。

尚則

(楽器の音、めっちゃ綺麗だった…さすが全国大会の常連校。)

僕が属している渚浜高校は管弦楽部の強豪校として有名だ。

そして、今回の合同相手の雲塚高校は

去年初めて渚浜を押し退け、全国で金賞を受賞したダークホース的存在で、

今は渚浜のライバル校として 演奏に磨きを入れているらしい。

尚則

(すごいなー。)

尚則

(こんなすごい2つの部に、)

尚則

(小さな大会で賞取っただけの僕らが挟まっていいのか…?)

莉央

あの、先輩…。

尚則

!、

尚則

莉央ちゃん?

莉央

あ、

莉央

あの…私

莉央

この後の第二部の司会…やるんですよね。

尚則

?、うん。

莉央

!…

莉央

や、やっぱり私…できません!

莉央

こんな大舞台でやるなんて…緊張してしまいます!

尚則

!、

尚則

大丈夫だよ。

尚則

莉央ちゃん、いっぱい練習したもん。

莉央

で、

莉央

でもぉ…

莉央

自分、自分の声キモくて嫌いだから…自信ないです!

尚則

!…

尚則

…。

尚則

尚則

それは、僕も同じだよ。

莉央

えっ?

尚則

僕も、自分の声に自信持ててないんだ。

尚則

でも、

尚則

自信が持てなくても、

尚則

沢山の人が信頼して、仕事を任せてくれてる以上は、

尚則

ベストを尽くさなきゃだめだって思ってる。

尚則

尚則

だから、

尚則

自信が持てないままでもいいから、全力で今は頑張ろ。

尚則

ね?

莉央

莉央

うう…。

「お前めっちゃ声綺麗なんだし、 放送部入れよ」

「えっ、でも… 僕この声きらいで…」

「!…お前、中学の時のこと、 まだ引き立ってんの?」

「!…うん。」

「大丈夫だって、 もしなんか言うやついたら 俺が言い返してやるよ。」

「お前、声優のカタログとか 見てたし、 本当は声使うの好きなんだろ?」

「俺も部活入るからさ、 自分の長所無駄にすんなよ」

尚則

…。

尚則

尚則

(…あの時)

尚則

(春樹がそう僕を誘ってくれたから)

尚則

(僕はこの部でまた沢山の友達ができた。)

尚則

(春樹への感謝の気持ちも込めて、)

尚則

(はやく立ち直らないと)

尚則

尚則

(あ、でも待てよ?)

尚則

(自分の声に自信を持つのは良いとして)

尚則

(表情を抑えるのは引き続きした方がいいのかな?)

尚則

(うーん…。)

莉央

…。

数分後

尚則

春樹。

春樹

!、ナオ

尚則

第一部の進行おつかれ、

尚則

大勢の前でも堂々としてたね、本当にすごいや。

春樹

いやいや

春樹

別にあれくらい俺には当然だろ、調子乗るからあんま褒めんなよ。

尚則

ふふ、ごめんね?

敬浩

敬浩

…。

春樹

春樹

おい、ナオ

春樹

雲塚のイケメンがお前と話したそうにしてるぞ。

尚則

!、えっ?

尚則

あっ、

敬浩

あ、どうも…。

敬浩

お話中のところをすみません。

敬浩

コレ、ありがとうございました。

(敬浩が腕時計を尚則に渡す)

尚則

あ、いえいえ

尚則

演奏すごかったです。

尚則

迫力があって聴いててびっくりしました。

敬浩

あ、そうですか…ありがとうございます。

敬浩

あの、放送もすごい…よかったです。

敬浩

…。

尚則

!…

尚則

(あれ、この人の手…震えてる)

尚則

(他校の子と話して緊張してるのかな?)

尚則

あの…タメ口でいいよ?

春樹

敬浩

えっ…

尚則

今日は一緒に舞台盛り上げるんだし、

尚則

同い年相手にそんなに緊張しなくていいよ。

尚則

あ、別に

尚則

迷惑だったら…敬語でもいいんだけど。

春樹

…。

敬浩

…。

尚則

ん?

尚則

え?どうしたの2人とも

春樹

いや、

春樹

俺以外の人に話しかけることに物凄い時間を消費するナオが

春樹

珍しくフレンドリーになってることに対して驚いてるだけだが。

尚則

!、

尚則

あー確かに、珍しいかな…?

春樹

おん、

春樹

一体どうした?お前この方のファンなのか?

尚則

えっ、いや…うーん。

尚則

尚則

なんだろう。

尚則

演奏がすごかったからかな?

尚則

なんか、お話ししたいなって思って話しかけちゃった。

尚則

ごめんね?

(尚則が敬浩の方を見てコテンと 首を傾ける。)

敬浩

い、いや、

敬浩

別に構わない…けど。

尚則

尚則

やった!

敬浩

えっと、雲塚高校でヴィオラ担当の関谷敬浩っていいます。

敬浩

そっちは…

春樹

俺は雪原春樹、コイツの従兄弟。

尚則

吉岡尚則、よろしくね。

敬浩

あ、うん…よろしく。

敬浩

敬浩

あ、

敬浩

俺…チューニングあるから、

敬浩

タメ口になったばっかだけど

敬浩

そろそろ戻るわ。

敬浩

また舞台が終わったら話そう。

尚則

尚則

うん、またね!

春樹

じゃーなー。

後輩

後輩

あ、いたいた!

後輩

は、春樹せんぱーい!!

尚則

春樹

!、どうした?

後輩

大変です!

後輩

第二部担当の莉央ちゃんがいません!

春樹

えっ!

尚則

!?

後輩

僕ら、さっき会場中探したんですけど…どこにもいなくて

後輩

第二部まであと3分しかないです…

後輩

どうしましょう…このままじゃ…!

春樹

落ち着け落ち着け。

春樹

先生と部長には相談した?

春樹

取材受けてるとかそんなんじゃないの?

後輩

取材の方はもう全て着席されているので、それはありえません。

後輩

先生と部長にはもう報告済みです。

春樹

マジで…?

春樹

そりゃやばいな。

春樹

残りの時間、みんなで手分けして全力で探すぞ。

後輩

後輩

はい!

数分後

春樹

だめだ…どこにもいない。

後輩

どうしましょう。

後輩

もうそろそろ本番ですけど…

尚則

…はぁっ、はぁ。

後輩

!、尚則先輩、大丈夫ですか?

尚則

う、うん…ありがとう。

尚則

尚則

(莉央ちゃん、一体どうしちゃったんだろう)

尚則

(ていうか、あと1分で第二部が始まっちゃう。)

 

尚則

…。

尚則

(こうなったら…)

尚則

尚則

春樹、

尚則

僕が莉央ちゃんの代役をするよ。

春樹

!、えっ…

春樹

でもお前…

尚則

心配はいらないよ

尚則

僕、部長に頼まれるまで、第二部の司会担当だったから

尚則

セリフはほとんど頭の中に残ってる

春樹

で、

春樹

でもでも…お前自分の声。

尚則

僕の心配はいい!

春樹

尚則

…よろしくね。

尚則

 

尚則

さ、

尚則

ブザーを鳴らして始めよう。

つづく

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コメント

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ユーザー
ユーザー

執筆お疲れ様です🙇‍♂️ タグに「年下攻め」入ってて転げました(2回目) 本当に助かります捗ります……🙏 顔面偏差値が高くて常に眼福状態です。 ナオくんの可愛らしい見た目して男らしい部分に惚れました😭

ユーザー
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