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夜の香りが残る風は、僅かに冷気を纏い
山間から覗く陽光がうっすらと街道を照らす。
二頭の馬の足音だけが、夜明け前の街道に響いている。
ルティ
ルティ
ルティ
後ろにはルティがいる。
ギルドが手配した馬は大きく、二人で乗っても余裕があった。
昨晩の出来事を、ルティは覚えていた。
出発の直前までベッドの中で真っ赤になって
ひとりで七転八倒していたが、今は落ち着いている。
メルティ
メルティ
メルティ
リョウ
リョウ
リョウ
リョウ
リョウとメルティを乗せた馬が、隣を並走している。
二人には無理を言って、支援クエストに付き合ってもらっていた。
ルティ
ルティ
メルティ
メルティ
メルティ
今朝になって、ルティとメルティの仲は良くなった。
時折謎の勝負を繰り広げ
その度にリョウが被害を受けている
ルティ
ルティ
地面の穴を避けた弾みで馬の背が大きく揺れ
ルティは慌ててしがみつき、安堵のため息をつく。
背中越しに、ルティの心音が伝わってくる。
ルティ
ルティ
抗議の声が聞こえる。
突然の揺れに焦ったらしく、ルティの心音の間隔は短かった。
メルティ
メルティ
リョウ
リョウ
リョウ
リョウは華麗な手綱さばきを披露し
メルティが無の表情を浮かべる。
南の村までの道のりは
思っていたよりずっと、短く感じられた。
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そこは、山間に作られた、名もない小さな村だった。
戸数は10程度。
人口は推定で30〜50。
申し訳程度の木の柵が、村と外界を隔てている。
ルティ
メルティ
リョウ
三者三様の感想だが、意味するところは変わらない。
要は、何もない農村だった。
クリス
クリス
小さな村ということもあって、探していた剣士の少女はすぐに見つかった。
クリス
ただし、あまり友好的な雰囲気ではない。
経緯を考えれば、当然ではある。
ミーア
あとから現れた槍使いの少女も、ルティを見て察したらしい。
クリス
クリス
クリス
早々に、クリスは姿を消す。
クエストを出さなかった事を、かなり根に持っているらしい。
ミーア
ミーア
ミーア
ミーア
ミーアが申し訳無さそうに、頭を下げる。
ルティ
ルティ
気づかいなのか無関心なのかは分からないが、ルティは容赦なく話を変える。
ちなみに、案山子のクエストは、畑を守るクエストの業界用語になる。
ミーア
ルティ
ルティ
ルティに問われ、ミーアは少し逡巡し
ミーア
ミーア
肯定を返した。
ミーア
ミーア
ミーア
リョウ
勇者という言葉に、リョウが食いつく。
リョウ
リョウ
リョウ
リョウ
ミーア
ミーア
リョウ
リョウ
リョウ
さりげなく自己紹介を済ませてしまうあたり、リョウの社交性の高さが伺える。
ミーア
ミーア
ミーア
リョウ
リョウ
ミーア
リョウ
リョウ
ミーア
ミーア
リョウ
人と人との争いであっても、勇者は生まれる。
赤い血に塗れた存在であったとしても
それが人々の希望であった以上、勇者であることに変わりはない。
メルティ
リョウ
メルティが感想を告げ、リョウがそれに同意する。
ルティ
ルティ
ルティ
ルティ
対してルティは、仕事に忠実だった。
ミーア
ミーア
ミーア
不吉な言葉を発し、ミーアは村の中を歩きはじめる。
ここでクエストを受ける以上、村長の家を訪ねないという選択肢は存在しなかった。
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村長の話は、長かった。
半日ほどを費やして交渉した結果、空き家を一軒借りることができた。
空き家を借りる際に、前の住人の経歴と家族構成を長々と教えられた。
支援クエストの経費はギルドが持つという説明をすると
喜んで、村の産業と財政状況について教えてくれた。
ファールウィンドが戦争状態にあるため、村人の避難を促すと
この村の勇者が過去の戦争でどれほど活躍したのかを、だらだらと語られた。
気がつけば、日が沈んでいた。
とにかく、村長の話は長かった。
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リョウ
メルティ
リョウもメルティも、少し疲れた顔をしていた。
村の周囲に〈魔力検知〉の結界を張ることだけはできた。
逆に言えば、それ以外は何もできていない。
村長の長話が、何よりも時間を消耗した。
リョウ
リョウ
リョウの疑問はもっともだった。
案山子クエストに、〈魔力検知〉の結界は必要不可欠。
それがないということは、別の手段をとっているはずだが……。
ルティ
ルティ
リョウ
リョウ
窓の外、村の中心に篝火が焚かれ、人影がふたつ、座っているのが見えた。
協力を申し出る事自体は、難しくない。
ただ、クリスが同意しないことは、容易に想像できた。
リョウ
メルティ
ルティ
全員の意見は、一致していた。
魔物の襲撃がなければ、今日はできることがない。
リョウ
リョウ
リョウ
ルティ
ルティ
リョウが提案し、ルティが同意する。
異論もなく、今日は明かりを落とすことになった。