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後夜祭

歌織に話しがあると言われて屋上に来た

そしたら「寿命が短くなった」と言われた

奏達

ーーは?

奏達

え、どういう、こと……?

歌織

あ、えっと余命が短くなったの

奏達

なんで

歌織

……えっとね

歌織

6月に病気がわかったでしょ?

歌織

その時に医者に言われたの

歌織

過度な運動と無理は控えてって

奏達

……うん

歌織

でもあと一年しかないから

歌織

どうせなら好きなことをしたいと思って

歌織

体育も全力でやったの

歌織

そしたらね、この間の定期検査で

歌織

病気の進行が速くなってるって言われたの

歌織

だから、余命が短くなったの

奏達

具体的には、どれくらい?

歌織

早ければ3月、頑張れば4月だって

奏達

(そんなに、短いのかよ)

奏達

(なんで、こうなんだよ)

奏達

(せめて最後までは楽しい思い出だけにさせたかったのに)

奏達

(なんで、なんで)

奏達

歌織

だから、修学旅行も行けるかわからないんだ

奏達

(そっか)

奏達

(俺らは今高校2年生)

奏達

(12月には修学旅行がある)

奏達

(それすらも怪しいって)

歌織

だからさ、奏達

歌織

これだけは約束して

歌織

もし私が修学旅行に行けなくても

歌織

奏達は行くこと

奏達

でも、それじゃ歌織が!

歌織

私はいいの

歌織

わかりきってたことだし

歌織

だからお願い!いいでしょ?

奏達

奏達

……わかった

そして希望と絶望を味わった文化祭は終わりを迎えた

文化祭後の昼休み

奏達

はぁ

歌織は友達とお昼を食べているので俺はいつも1人屋上で食べている

しかし今日は食が進まない

奏達

(文化祭から2週間が過ぎた)

奏達

(歌織は今までと変わらない)

奏達

(今という時間を謳歌している)

奏達

(だけど俺は)

奏達

寿命がなくなればなくなっていくほど歌織の体は弱っていく

きっとそのうち入院生活が待っているんだろう

まだ信じられない、受け入れたくない

そう思えば思うほど歌織と上手く接することが出来なくなってくる

奏達

はぁ……

奏達

(このままじゃダメなのはわかってる)

奏達

けど、

歌織

あ、奏達やっぱりここにいた〜

歌織

いつもここにいるよね

奏達

歌織……何でここに、友達は?

歌織

先に食べて抜けてきた

歌織

最近奏達が元気ないから励まそうと

奏達

そ、そうか?

奏達

いつもと変わらず元気だけど

歌織

何年も一緒にいた幼馴染を欺けると思うな

歌織

さくらちゃんからも聞いたよ

歌織

あの日からお兄ちゃんが元気ないって

歌織

ごめんね

歌織

あの日私が余計なことを言ったせいで

奏達

歌織は悪くない

奏達

むしろ隠さず言ってくれて嬉しい

歌織

そっか

歌織はゆっくり歩いてきて 静かにゆっくりと俺の隣に座った

奏達

(動きが鈍い?)

歌織

ここ最近体の節々が痛いの

歌織

だからゆっくり動かしているの

心の中を見透かしたのか俺の疑問に答えるように独り言を呟いた

奏達

大丈夫か?ベンチあるからそこに

歌織

ううん

歌織

ここがいい

奏達

そうか?歌織がいいなら

歌織

ここが1番落ち着く

空をぼーっと眺めながら呟いた

しばらくお互いに何も話さず座っていると昼休みが終わるチャイムがなった

歌織

わわ、まだ授業の準備してないや!

歌織

急いで戻ろう、奏達!

奏達

あぁ

歌織

やっばい

歌織

次の授業移動教室だ

歌織

遅刻確定だ〜

奏達

焦って転ぶなよ

歌織

転ばないよ〜うわっ!!

と、注意した側から転んだ

奏達

おいおい、行った側から転ぶなよ

歌織

……

奏達

歌織?どうした?

歌織

ごめん、ちょっとお手洗いーー!

擦りむいた傷に触れずに近くのトイレに走っていった

奏達

・ ・

歌織

ごめん、お待たせ

奏達

大丈夫か?

歌織

大丈夫!

と、ニコッと笑った歌織の制服に何かを拭き取った跡が付いているのを見てしまった

奏達

(まさか)

奏達

なぁ歌織。無理なら保健室で休んだ方が

歌織

大丈夫大丈夫

歌織

ほら、授業行くよ!

そう言って俺の手を引いて教室に向かって行った歌織は無理をしているように感じた

それからしばらくした放課後

歌織が体育の授業の途中に体調を崩したと先生から聞いてやってきた

奏達

失礼します

奏達

(先生いないのか)

奏達

歌織、大丈夫か?

歌織

……

奏達

歌織?あ、寝てるのか

寝ている歌織を起こさないように近くにあった椅子に座った

奏達

……

奏達

歌織の寿命が少ないのはわかってる

奏達

だから全部を全力でやるのもわかる

奏達

だけどさ

奏達

何も体調崩してまでやるなよ

奏達

ただでさえこっちは不安なのに

奏達

いつ歌織が倒れるのかわからない日々の中で

奏達

全力でいつかくるその日まで

奏達

楽しませようとしてるけど

奏達

まだ、心の準備が出来てないんだよ

奏達

だから無理をしないでくれ

奏達

体調を崩したって聞いただけで

奏達

怖いんだよ

奏達

今この瞬間に

奏達

歌織と別れたんじゃないかって

奏達

不安になるんだよ

奏達

だから、お願いだから

奏達

俺のそばからいなくならないでくれよ

歌織

ん、そう、た?

奏達

あ、歌織?気が付いたか?

ゆっくりと目をあけ、辺りを見回した歌織は自分の状況を察知したらしい

歌織

あ〜あはは

歌織

全力でやりすぎちゃった

歌織

今ってもう放課後だよね?

歌織

じゃあ早く帰ろ。ゲームしたい

そう言ってさっさと起き上がって帰り支度を始める歌織

奏達

動いて大丈夫なのか?

歌織

大丈夫大丈夫

奏達

……なぁ歌織。さっきの

歌織

ん?何?

奏達

いや、何でもない。帰るか

そう言って俺は保健室を足早に出た

歌織

(心の準備が出来てない、か)

歌織

歌織

(それは私も同じだよ)

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