転生しちゃったけど何気に楽しい件

…は？

遠くから、サラの声が聞こえる。

腰のあたりに車がぶつかってきて、私の記憶は途切れた。

あぁ、私は死んだんた。

車にひかれただなんて、情けない。

いざ死んだとなるとそこまで怖くないものなんだな。

実際

顔は男っぽいし

胸は絶壁。

バスケ部のエースだったから男みたいにガタイ良くて

夢見た恋のストーリーなんて無理だって分かってた。

生まれ変わったら、もっと可愛い女の子になりたいな。

え、これってもしかしてもしかすると

転生しちゃいました？

あいにく、私は状況整理が苦手。

けど、その場の空気の流れを読むのは得意。

私は前世の記憶が残っちゃった系の女の子。

でも、中世ヨーロッパってドレスとか着る華やかな時代じゃね！？

私、アンナ・ブルディッソ(仮)は

鮮やかな赤毛に青い目

おまけに恵まれた胸をもつ最強の美少女。

正直いっちゃうとこのイラルド少年結構好み。

なんせツンデレのショタだから。

私よりも年下だし、どんな関係かは知らないけど

弟として扱っちゃお☆

私は、鏡を覗き込んだ。

幸い、顔面は洋風になって少しはマシになった。

私は別に、媚びで言ったわけではないんだけどなぁ。

心なしか、イラルドの頬が赤い気がする。

えなんかその言い方嫌だな。うん。

メアリーは、私の手にタルトを握らせた。

なんかぎこちないな。

私の性別は女なんだけどなぁ。

前世の記憶があるって大変だな

イラルドの言った通り、私はたくさんタルトを貰うはずだった。

なぜなら、女の子達は私がいないと思い込み

私へのタルトをエミリーに渡したからだ。

イラルドの目は悲しそうだった。

なるほど、現代(？)も中世も恋は全く変わっていないんだ。

頰を赤らめたメアリーが向かった先にいたのは…

ふんっなんてキザなやつ。

…は？

あれはこの私が貰うはずだったタルトなんですけど？

家畜のエサになるだなんて正気じゃない！！！

音楽が流れ出すと、私とレオンは踊りはじめた。

こいつ、本当につまんなそうな顔するな。

なんで分かるんだよ

今気付いた。レオンの頰が赤かった。

そんなに私と踊るのは恥じるものなのか。

しょーもない男だな。

レオンが言ったことは、結構刺さった。

つまりこいつは、

私に恋したのである。