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そう意気込んだが
どっぺちゃは思いもよらぬ反応を見せた
どっぺちゃ
どっぺちゃ
紫
どっぺちゃ
どっぺちゃ
どっぺちゃ
どっぺちゃ
どっぺちゃは悪戯っぽく口元を緩ませて
俺の顔を覗き込んだ
ああ
そうか
桃は俺を知っていたので
同じ脳を共有するどっぺちゃも俺を知っているのか
どう返答すべきかと迷う俺をよそに
どっぺちゃは
どっぺちゃ
と問うてくる
紫
紫
どっぺちゃ
どっぺちゃ
紫
どっぺちゃ
どっぺちゃはそう言いつつも
嬉しそうに茶々丸のリードを引っ張った
どっぺちゃ
どっぺちゃ
紫
紫
驚くほどスムーズに事が運ぶ
文字通りに無駄死にした翠を思考から切り離し
どう会話を展開しようかと考える
沈黙が訪れる
茶々丸がハァハァと息を荒らげ
俺の足元で飛び回る
蹴飛ばさないように注意しながら歩いていると
唐突にどっぺちゃが口を開いた
どっぺちゃ
どっぺちゃ
どっぺちゃ
どっぺちゃ
衝撃が俺を貫いた
打ち合わせしたわけでもないのに
桃と同じ言葉選びである
改めて
どっぺちゃの存在が夢や幻の類ではないと知った
俺は気を引き締めなおし
どっぺちゃと当たり障りのない会話を続ける
鴨川沿いをゆっくり歩いていると
神宮丸太町駅の近くまで辿り着いていた
1時間弱とはいえ
蒸し暑い夏の夕方に散歩をするのは重労働だ
俺たちは橋の下で少し休憩する
茶々丸はどっぺちゃが差し出した水をぺろぺろと舐めまわしていた
人よりも嗅覚が鋭い犬でさえ
本物の桃ではないと気がついていない様子だ
どっぺちゃ
どっぺちゃ
紫
紫
どっぺちゃ
どっぺちゃ
どっぺちゃ