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アセビと、アネモネ。ー4ー

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アセビと、アネモネ。ー4ー

1 - アセビと、アネモネ。ー4ー

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2019年12月10日

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窓から見える青空を見上げた。

もう少しでこの景色も見えなくなるなんて、少し、悲しい。

きっとこの青空はこの地球上なら どこまでもつながっていて、

その瞬間ずつ表情が変わっていく。

だから面白い。

それを見るから生きていると感じる。

私は…

この空を見上げて、自分自身の存在を問う。

朝起きると見慣れない部屋にいた。

一瞬首をかしげ、思い出す。

そうか、ここは、

榊の家だ。

昨日、泊めてもらったんだっけ。

用意して部屋を出ると、 榊が朝ごはんを準備してくれていた。

おはよう。

あ、おはよう。

朝ごはん、食べる?

うん、ありがたくいただくことにするよ。

さ、榊って…料理できたんだ、ね…。

あぁ、まぁ。

全然イメージがなかったものだから、驚いた。

いただきます。

それは美味しくて。

なんだか、家に帰りたいと思った。

でも、分かっている。

私に帰る場所などない、ということは。

ごちそうさまでした、美味しかったです。

それは何よりで。

榊は、変わってないなぁ…。

改めて思った。

じゃあ、お大事に。

うん、あの、榊。

思わず声をかけた。

榊は優しくて、私が言うまで 待ってくれる。

私、家族がいないの、

え、あ、それは…。

そりゃ、誰だってこんなことを 急に言われれば返答に困るよね。

死んだときにいろいろ大変だから、

榊に、任せていい?

え、別にいいけど。

榊は、優しいね。

なぜこんな話をしたのか分からないが、たぶん、

私が一番信頼しているのが榊だから、任せたんだと思う。

僕は、優しくなんかないんだよ、
山田香凛…。

去り際、そんな榊の声が 聞こえた気が、した。

朝陽

俺さ、好きな人がいるんだ。

初恋の朝陽の声。

あなたのその名のような笑顔が好きでした。

胸の中に葬った言葉。

胸の中に葬った過去。

胸の中に葬った初恋。

あぁ、これは…、

はぁ、はぁ、はぁ、、、

どうやら、うなされていたようだ。

あれは、私の初恋だ。

なぜ何十年もたったのに 今更こんな夢を見るのか。

朝陽に、会いたい。

あの太陽のような笑顔をもう一度見たい。

もう一度だけでいいから…。

そんなの、もう無理だと分かっているのに。

馬鹿らしい。

自分の中でそう決めつけて、 朝のしたくを始める。

残り少ない人生の、 一日の始まりだ。

今日もまた、何気ない日常を 過ごしてゆく。

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