…効いてるだろうか?
…心拍は…まだあるか…。
誰かの声がする、 この声きっとあのお兄さんのだ。
どこにいるんだろう、 声は…近いのに…暗くて…
効果を…めて 確実にしなければ…
…ここで必ずし……しな…と… ……ため…
…声がだんだん遠く…なっていく。
……に…ねるといい…
…せめて、 ……な…を………
第69話
『望むのは…』
猫船
猫船
猫船
猫船
猫船は起き上がり、 慌てて辺りを見渡した。
猫船
寝ちゃってた!?)
猫船
猫船
猫船
猫船
猫船
猫船
施設にいたよね?)
猫船
昔のだ…)
猫船
まだ生きてた時の…)
ギシッ
猫船
猫船
猫船は慌てて振り返り、 腰にある双剣を取りだし構える。
猫船
振り返るとそこには 1人の女性が静かに立っており こちらを見ている。
猫船
猫船
猫船
猫船
あるくのたのしい!
桜の母親 猫船 静美(ねこぶね しずみ)
猫船
きょうはどこにいくの?
静美
お母さんの親戚に
会いに行くの。
静美
猫船
静美
失礼致します。
猫船
よく来たね。
静美
ソティラ様。
猫船
ソティラ
申し訳ないね。
ソティラ
よかったんだけど…
猫船
かくれてて
みえない…。)
静美
猫船
さくら!
猫船
ソティラ
君の遠い親戚に
あたる者。
ソティラ
ソティラと
呼ばれている。
白鳥の大魔法使い ソティラ
猫船
ソティラ
猫船
ソティラ
ソティラ
おばあちゃんって
呼んでくれていいよ。
静美
ソティラ
孫みたいな感じだからね~。
猫船
ソティラ
猫船
ソティラ
猫船
ソティラ
猫船
おばあちゃんって
しわしわしてるでしょ?
猫船
しわしわしてない!
ソティラ
ソティラ
見た目があまり
変わらないんだよ。
ソティラ
猫船
ソティラ
お母さんも
こうみえて結構…
猫船
まほうつかえるの!?
ソティラ
猫船
猫船
ソティラ
ポワッ
ソティラ
ボワッ
猫船
ソティラ
ソティラ
私は魔法本を
扱って来たからね。
ソティラ
猫船
ソティラ
静美
猫船
猫船
だめだった。)
ソティラ
静美
静美
感知されないように
してくれてますが…
ソティラ
手貸して。
猫船
猫船
ソティラ
隠さないと狙われ
やすいだろう。
ソティラ
見せてくれない?
ソティラ
見たいな~。
猫船
おかあさんやっていい?
静美
でもゆっくりだし…
猫船
ポワッ
チャリリリッ!!
ソティラ
猫船
猫船
猫船
からまっちゃ…!)
ドタンッ!
静美
猫船
うごけないぃ~!!
猫船
ソティラ
使うのは慣れてないか。
その日から おばあちゃんと 住む事になった。
理由は分からないけど、 魔法を上手く扱えないから おばあちゃんと1週間 練習する事になった。
ソティラ
ソティラ
君の家の敷地に最近、
池を土で埋めたか?
ソティラ
住処だったみたいだ。
ソティラ
埋まってしまって
かなり怒っている。
ソティラ
畑荒らしだけでは
すまないだろう。
ソティラ
別の住処を作るかだね。
ソティラ
謝まるのが先だね。
猫船
おばあちゃんの家には 時々、知らない人が 訪れる。
着物を着た人や 耳の長い人、変わった髪の人…
ありがとうございました。
ソティラ
バタン…
猫船
ソティラ
猫船
おしごとは
うらないするひと?
ソティラ
猫船
ソティラ
助ける事だよ。
ソティラ
神から力を与えられた
強い存在だ。
ソティラ
困っている者を助け、
幸せを支えたい。
ソティラ
とは難しいがな…
猫船
みたいになれる?
ソティラ
ソティラ
使いたいならあれを
一通り読まないとね。
ソティラ
猫船
つまんない~。
ソティラ
猫船
猫船
静美
今日はここにいて。
猫船
猫船
いっしょがいい~~!
猫船
ソティラ
静美
桜をお願いします。
ソティラ
猫船
親戚の集まりがあって 私はおばあちゃん家に 留守番させられた。
一緒に行きたいと言っても その日は了承してくれなかった。
猫船
ソティラ
猫船
ソティラ
ソティラ
お話ばかりで
つまんないと感じる。
猫船
猫船
つまんなくないもん。)
ソティラ
猫船
ソティラ
勝手な事をした。
ソティラ
だろう。
猫船
ソティラ
猫船
いつもよりげんきない。)
猫船
猫船
いうから?)
猫船
猫船
わたしへいきだよ!
猫船
おおきくなる!
猫船
しゅうかいにいけるでしょ?
猫船
いっしょにいく!
猫船
いこうね!
ソティラ
おばあちゃんと一緒に お母さんが帰ってくるのを 待ってた。
夜中になっても 寝ないでずっと待ってた。
でも、帰ってきた お母さんは遺体だった。
お母さんは向かった集会所の 火災事故に巻き込まれて… 亡くなった。
猫船
ここにいるの?
猫船
死んじゃったでしょ?
寂しかった?
猫船
寂しかったんだよ。
猫船
お母さんが帰ってくるの
ずっと待ってたのに…
猫船
見たのはあれが
最後だったんだ。
猫船
見たら駄目だって
言われてね、
猫船
泣いて我儘言わないで
見送れば良かった。
猫船
ちゃんと言えば
よかったって…
猫船
止めれば良かったのかな?
猫船
お母さんは死ななかった
よね?
猫船
そっちにいるの?
猫船
死に顔もね、
見れなかったの。
猫船
葬式が済んで既に
火葬されてて…
猫船
最後に見たかったのに…
猫船
猫船
行きたいよ…。)
猫船
猫船
ひとりじゃないし…
寂しくない…)
猫船
もう辛い思いもしない…)
こっちに来たら、 いいんじゃない?
無理して頑張ったって 辛いだけでしょ?
猫船
猫船
もうないよね?)
猫船
私も一緒に…
猫船
猫船
猫船
猫船
怖い…でも…)
猫船
ガチャンッ
猫船
2年前の夜中の 2時ぐらいかな。
扉の音がして、 慌てて振り向くと 夜桜と目が合った。
夜桜
猫船
ひ、紐の丈夫さの点検!!
猫船
ちゃんと使えるの
かなって…えへへ…
夜桜
猫船
猫船
あの時は凄い驚いた。 手首当たりから結構な血が 出てたから…
猫船
ちち血が出てるよっ!?!?
夜桜
ガシッ!
猫船
夜桜
猫船
凄い出てるから!!
夜桜
猫船
夜桜
夜桜
猫船
夜桜
病院に連れていくの 大変だった。
私より力強いから 引っ張ってもびくとも 動かないし、話を聞かないし…
夜桜
ドンッ!
猫船
ガタンッ!
夜桜
猫船
猫船
ポタッ…
猫船
夜桜と引っ張り合いを してたら、引っ張っられた時に 飛んじゃって…
物にぶつかって 私も軽く頭を切っちゃったんだ。
それでようやく 夜桜が行く気にやって 病院に行けたんだ。
猫船
やってて良かったね。
夜桜
猫船
大丈夫だったでしょ?
夜桜
猫船
働いてるのかな?)
猫船
診療所通えるかも…)
夜桜
猫船
夜桜
思わなかった…。
猫船
猫船
だけだから
全然大丈夫!
夜桜
猫船
前からやったの?
猫船
最近のもあるって…
言ってた。
夜桜
猫船
夜桜
カチカチって音
する道具。
猫船
猫船
全然気づかなかった…)
猫船
もうしちゃ駄目だよ?
猫船
そのカッターは
私に渡してね!
夜桜
猫船
場所に隠しておこう。)
猫船
隠しておいた方が
いいかな?)
夜桜
猫船
夜桜
あれだろ…吊るやつ…
猫船
夜桜
猫船
猫船
亡くなったんだ。
夜桜
猫船
ソティラって
名前の人に会いに
行ったでしょ?
猫船
衰弱死で亡くなったん
だって…
猫船
知り合いの人から
手紙が届いてたんだ。
夜桜
猫船
その人に頼んだで
済ませたみたい…
猫船
死に顔見られたく
なかっからって…
猫船
見たかったのに…
夜桜
猫船
分からなくなったんだ…
猫船
寂しいし…胸が
苦しくてしんどいの…
猫船
思いするなら、
死んだ方が楽に
なるのかなって…
猫船
おばあちゃんにも会えるから…
夜桜
喜ぶと思うか?
猫船
夜桜
あいつも
悲しむじゃないか?
夜桜
今まで大切に
してたんだろう。
猫船
猫船
そうかもしれない。)
猫船
一人は寂しいよ。)
夜桜
止める癖に自分は
いいんだな。
猫船
猫船
猫船
死んじゃうの嫌だもん。)
夜桜
分かった気もする。
猫船
夜桜
死んでほしくない
と思ってる。
猫船
他人に無関心だったから 言われた時は驚いた。
猫船
夜桜
響かんだろう。
夜桜
夜桜
こうする。
夜桜
生きるなら、
夜桜
俺も一緒に生きる。
猫船
夜桜
やめる訳ではないからな。
夜桜
保留にするだけだ。
猫船
夜桜
関係ないだろう。
猫船
やっぱり最後まで
生きててほしいよ。
夜桜
夜桜
果たしたなら…
可能性はある。
猫船
夜桜
夜桜
俺はそうするからな。
夜桜
俺も死ぬ…以上だ。
その時の言葉は本当で 以降はする事はなくなった。
出会った時は食事や 処方された薬を一切口に しなかったけど、
それもちゃんと食べたり、 飲んだり規則正しい生活を するようになった。
今では家事はほとんど 夜桜がやってる。
私達が生きてるのは お互いに生かす為だった。
でも、今はどうかな?
それに 夜桜猫、青影君、闇桜、 診療所の先生達…
優しい人達に出会って、 楽しい日々を過ごしてる。
夜桜はどうかは 分からないけど、
私は別に 頑張って生きていない、 自然と生きている。
お母さんとおばあちゃんが いた頃のように…
猫船
猫船
今の私は辛くない。)
猫船
お母さん達の所へ
って思ったんだ。
猫船
死んだ時、
寂しかったから…
猫船
思い出す度に辛くて…
苦しかったから…
猫船
まだ一緒に行けないや。
猫船
約束した事があるんだ。
猫船
苦しんでたから
助けたいって思って、
猫船
笑顔になれる日々を
作ってあげる。』って…
猫船
果たしたい。)
猫船
気持ちだからじゃない。)
猫船
約束した以上に今は…)
猫船
猫船
乗り越えて、
猫船
人生が終わるまで
夜桜と、皆と生きたい。
猫船
バキンッ!
猫船
猫船
突如和室の景色が割れて消え、 白い光の空間が広がる。
猫船
猫船
猫船
猫船は静美の方を見て驚く。
目の前の彼女の身体が 下から次第に 薄くなっていた。
猫船
分からないけれど…
猫船
猫船
またお別れか。)
生きててくれて
良かったわ。
それだけが心残り
だったから…
猫船
静美は少し 寂しげに微笑む。
猫船
ありがとうっ!
猫船
一緒にいて幸せだった!
猫船
分まで生きるからね!
猫船
伝えておいてほしい!
猫船
ありがとう!
猫船
負けないくらい
立派な魔法使いに
なるって!
静美は嬉しそうに ニッコリ微笑む。
必要はないわ。
猫船
トンッ
猫船
頭の上に何かが乗り、 撫でるような感覚がする。
ソティラ
なかったみたいだね。
猫船
猫船
ソティラ
見れなくてすまないな。
ソティラ
上で見守ってるよ。
ソティラは猫船から離れ、 静美の方の隣で立つ。
ソティラ
静美
猫船
分からないけど、
幻かもしれないけど…)
猫船
猫船
行ってらっしゃい!
猫船はいつもの 元気な笑顔を見せ手を振る。
それを見て 微笑えみながら 手を振る静美とソティラ。
そして、二人は 静かに消えていった。
猫船
お見送りできた。)
猫船
元の場所に戻れるかな?)
…ザザッ…
猫船
おい、…………か?
猫船
…ど……た?
下は…づいたか?
猫船
あのお兄さんの…)
猫船
ダッ!
猫船は決意を固め、 声のする方へと走って向かった。