テラーノベル
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とあるゴミ処理場には
何百匹ものスライムが
住み着いていた。
それは
スライムが汚物を好んで食すからだ。
スライムという種は
弱い。
体が半透明で
心臓(核)が丸見えだからだ。
そして、
プルプルしていて食すと
ゼリーのような食感がして
なかなかに美味しい。
そう、
ほんの500年前までは
そんなライラックの想像通りの
スライムがうようよ生息していた。
しかぁーし!
めちゃくちゃ弱い上に
美味しいスライムたちは
あっという間に
魔物や人間たちに
狩り尽くされてしまう。
スライムは
絶滅危惧種になった。
スライム達は考えた。
どうしたら生き残れるか。
どうしたら食べられずに済むか。
とある賢いスライムが
腐った肉や生ゴミを吸収し、
半生ゴミ化した。
するとどうだろう、
その半生ゴミ化したスライムは
食べられずに済んだのだ。
それを知ったスライム達は皆、
腐った肉や生ゴミを吸収し、
半生ゴミ化した。
その結果、
スライム達は以前よりは
食べられずに済んだ。
《以前よりは》だが。
完全に食べられなくなった
わけではない。
もともと、
スライムはとっても美味しいのだ。
ゼリーなのだ。
日本人は何故、
毒のあるフグを
わざわざ食べるのだろうか?
それは美味しいからだ。
毒を手順よく取って
毒のない部分を食べれば
死なないからだ。
それは、
スライムも同じだった。
スライムも、
腐っていないところは食べられると
気づいた人間や動物達は
こぞって
スライムを狩っていた。
またもや危機感を覚えた
生き残りスライム達は皆思った。
もっともっと腐らなくちゃ!
もっともっと見た目も
美味しくなさそうに
汚くならなくちゃっ!
臭いももっと、
尋常じゃないくらいに
人や動物が来ないくらいにキツくしよう!
弱いと悟らせないように、
がぶがぶ噛みついてやる!
そうしてそれが、
今の汚物スライム達の誕生だった。
スライム間での意識も
色々変わっていた。
昔のスライムは
透き通るような透明で
弾力のあるスライムが
スライムにモテた。
一応伝えておくが、
この世界のスライムには
性別はない。
スライム同士が両思いになったら
くっついて一緒にミニスライムを産む。
両者の好意が無ければ
片方がくっついても
ミニスライムは生まれない。
つまり、
透き通るように透明で
弾力のあるスライムは
他のスライム達に
ポヨンポヨンと囲まれて
おしくらまんじゅうの様になる。
そういうモテるスライムは
大抵2年もしないうちに
早死する。
少しでも他のスライムに
好意を寄せてしまったら、
すぐにミニスライムを産んでしまうからだ。
スライムの出産は両者負担だが、
回数が多ければ衰弱する。
一方、
モテないスライムもいた。
色がくすんでいてハリのないスライムだ。
そういうスライムは
他のスライムにくっついても
ミニスライムは産まれないし、
スライムにくっつかれることもない
寂しい一生を迎える。
こちらも短命である。
寂しすぎて生後5ヶ月で死ぬ。
だが、
今の進化したスライムは逆だ。
粘つき腐ったキツい臭いがする
紫色のスライムがモテる。
透き通るように透明で
弾力のあるスライムなんて
ブサイクの部類に入ってしまう。
ある意味スライムの
美醜逆転だ。
コメント
1件
わあ、スライムの進化の歴史、面白かったです!「透き通った透明がモテる」から「腐って紫色で臭い方がモテる」という美醜逆転、皮肉が効いてて笑っちゃいました。生き残るために自らを“不味く”“汚く”変えていく生態系の描写がとても丁寧で、世界観にぐっと引き込まれました。スライムたちの必死さに愛着が湧きますね。この後どうなっていくのか楽しみです🌷