さくら
一律に大量生産された人工臓器は、その身体機能の大半を代替し、老いさらばえることさえ許さない。だがその一方で、人は自らの肉体を失っていく恐怖に耐えられなかった。多くの人間が、それを求めた。不治であったはずの病でさえ、治療できるようになった。人々はそれを神の御業と呼んだ 神への信仰は薄れていった その時代、世界は未曾有の危機に晒されていた。かつて現れたとされる巨大な災厄「大崩壊」の再来を恐れた各国政府は、秘密裏に超大型機動要塞の建造を始めた。「天獄」に対抗するためだ。
完成まであと少しとなったとき、それは起きた。突然、全人類の脳裏に響く声があった。
『天獄』を名乗るその存在は言った。「我々は全ての人間を解放するために来た」「我らは、あなた方の解放者である」と……。
天獄による地球全土への攻撃が始まった。それは同時に、人の文明の崩壊の始まりでもあった。
天獄の攻撃は熾烈を極めた。各国の保有する戦力は全て無意味なものとなり果て、ただひたすらに蹂躙されていった。
それから半年あまりの後、ようやく天獄を退けることに成功
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