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委員長を任命されたあの日
○○は正気じゃ居られなかった
ぼーっとしたまま廊下を歩いていると
松永
という大きな声が響き渡った
吉田
呼ばれたのは隣のクラスの吉田くん
ジュースを飲みながら松永先生に叱られている
松永
松永
松永
吉田
吉田
松永
松永先生は吉田君の肩を叩くと
そのまま職員室へ戻って行った
“留年”の危機って本当にあるんだ
そんなことを考えていると
吉田
吉田
目が合ってしまった
吉田
○○は軽く視線を上げたが
返事はしない
それに
足も止めなかった
吉田
吉田
吉田
○○は足を止めた
○○
○○
吉田
吉田
○○
吉田
吉田
悪気のない
明るいノリ
吉田
吉田
吉田
吉田
○○は吉田くんの顔をじっと見つめた
吉田
吉田
○○
吉田
吉田
○○
そういうと吉田くんはケラケラ笑った
○○
吉田
吉田
吉田
○○
○○
○○はそのまま足を進めた
吉田くんはそんな○○を見送ってから
吉田
と呟いた
夕方
下校の生徒たちの声が遠くに滲む中
○○は1人で駅に向かっていた
その後ろから
誰かが歩いて追いついてくる気配
黒尾
黒尾
振り向くと
黒尾くんだった
制服のネクタイが緩くて
手にはスマホ
黒尾
黒尾
○○
黒尾
黒尾
黒尾
○○
黒尾
黒尾
黒尾
黒尾
とニコッと冗談交じりに言って
そのまま歩きだした
○○は少し眉をひそめた
○○
○○
黒尾
黒尾
それだけ残すと
黒尾くんは軽く手を振って先を歩いていった
○○
掴めないんだよね…あの人
その日の夜
ネオンが瞬く雑踏の中を歩く○○
けれど今の彼女は“蝶野○○”ではない
髪は緩く巻かれ
メイクも昼より濃い
目元のアイラインが強調され
リップは深い赤
夜の名は「ナビ」
その名を知る物しか
彼女を知らない
ビルの影でスマホを確認してから
ゆっくりと人波に溶けていく
露骨に声をかけて来る人には無視を決め込みながら
ふとカフェのテラス席に座る
若いサラリーマン風の男に
視線をとめた
あの人…いいかも
そして視線があう
数秒の沈黙の後
男は気がついたように軽く会釈をし
「座る…?」というジェスチャーをした
○○
○○は少し唇をあげ
言葉はなく微笑みだけで応じた
彼女か腰を下ろした瞬間
男は軽口を投げてくる
○○
○○
そう言って柔らかく笑った
○○
○○
○○
軽く言った○○に
男は苦笑をしながらもグラスを傾けた
○○
○○は目を見開いた
○○
○○
○○
○○
その夜○○は笑っていた
でもその笑みの奥に
誰にも触れられない孤独と
疲れが潜んでいることを
隣の男は気が付かない
黒尾
黒尾
武田
武田
ここ最近はいつも通りだ
いや、
まぁ文化祭の副委員長になったことくらい
松永
黒尾
その声が聞こえた瞬間
益若は教室から逃げだし
武田は避難訓練のように机の下に入り
吉田は十字架をきっていた
松永
黒尾
松永
松永
そう言って1枚の紙を机に置いた
松永
松永
黒尾
黒尾
松永
吉田
松永
松永
それを言ったきり松永は教室から出ていった
この光景を見た他の3人は
早速ざわついた
武田
吉田
黒尾
益若
黒尾
武田
石井はニヤつきながら言った
黒尾
黒尾
黒尾
そう言って立ち上がり
そのままゆらの席へ向かった
ゆら
黒尾
ゆら
黒尾
ゆら
ゆら
渋々席を離れゆらはロッカーの前へ来た
黒尾
ゆら
ゆら
黒尾
黒尾
黒尾
ゆら
ゆら
ゆら
黒尾
黒尾
ゆら
ゆら
小さくため息を着くと
ゆら
黒尾
ゆら
ゆら
黒尾
ゆら
ゆら
ゆら
黒尾
黒尾
ゆら
ゆら
ゆら
ゆら
ゆら
黒尾
黒尾
黒尾
ゆら
ゆら
ゆら
そう言いながらプリントを俺に押付け
そのまま元いた席に戻った
口パクで「頑張れ」と言ってる顔には
少しだけ腹が立った
武田
武田
吉田
黒尾
吉田
黒尾
黒尾
益若
黒尾
黒尾
益若
黒尾
益若
黒尾
メモ用紙を手に持ち
俺は隣のクラスへと向かった
チャイムが鳴って
生徒たちは一斉に購買へ走っていった
○○は誰にも告げず
そっと教室を抜け目指したのは中庭
この前猫を見かけたあの場所
だけど今日は
○○
ベンチに腰を下ろして
○○は制服の裾を直した
ほんの少し吹いた風が
木漏れ日を揺らしていた
ふうさん今日はいないって言ってたんだよな…
あのバーの柔らかい音楽も
ふうさんの明るい声も
今日は無い
○○
○○
手持ち無沙汰に制服の裾をいじる
予定がないという事実が
急にずしりと胸に落ちてくる
思わず自分でも気が付かないうちに
唇が動いていた
○○
○○
真っ白な壁
無音の空気
気を抜くと、呼吸すら忘れてしまう
静かすぎて
心臓の音だけかやけに響く
あの部屋
“ただいま”って言っても誰もいない
“おかえり”なんて誰も言ってくれない
分かってる
それが普通で
当たり前だった
“蝶野○○”を探してくれる人は
誰もいない
寂しさなんて慣れっこだった
だから色んな男の人に手を出したりして
気を紛らわしていた
気が付かないフリをした
でも時々こうして
ぽっかり時間が空いてしまった時
どこにも自分の居場所がない気がして
…怖くなる
黒尾
○○
急に聞こえた声に
○○は肩を竦めた
黒尾
黒尾
そこには何かを手に持った黒尾くんがいた
○○
黒尾
黒尾
その何気ない一言に
○○は思わず瞬きをした
今…この人なんて言った?
黒尾
○○
○○
黒尾
黒尾
黒尾
○○
○○
黒尾
同じクラスってことは…
ゆらちゃんって子か
黒尾
黒尾
黒尾くんは少し気まずそうに
笑って言った
○○
黒尾
黒尾
黒尾
黒尾
○○は数秒沈黙してから
ふっと目を逸らして立ち上がった
○○
○○
平然を装いながら返したけど
胸の奥のどこかが
少しだけ暖かくなっていた
分かってる
ただ“委員長”だからってだけで
そんなに意味はないってことも
でも
少しだけ嬉しかった