大森元貴side
朝日が窓から差し込み、小鳥の声も聞こえてくる
雨はもうすっかり止んで、雲一つない青空が広がっている
外からは人に話す声や歩く声が聞こえてくる
若井はもうこの世界にいないのに、世界はいつも通り進んでいく
なんで?
どうしてなの?
もう若井はこの世界にいないのに
もう“いつも通り”じゃないのに
俺たちは“いつも通り”なんかじゃないのに
止まりかけていたはずの涙がまた溢れだしてくる
結局、昨日は寝ずに泣き明かした
だから俺の体に涙なんてもうないはずなのに
涙を抑えようと目を押さえていると、携帯がぶるりと震えた
涙で霞んだ視界で携帯を見つけ、メールを開く
🍏
fjsw.
fjsw.
fjsw.
涼ちゃんからだった
きっとたくさん悩んで悩んで送ってくれた
omr.
素っ気なく送った返信はすぐに既読がついた
でも返信はいくら経っても返ってこない
涼ちゃんは既読がついたらすぐに返信してくれるのに
ソファから右をみると、若井の部屋のドアがある
そこで若井は毎日ギターの練習をしたりしていた
俺が不安な時は、そこから顔を出して励ましてくれた
大森元貴side
wki.
omr.
wki.
起きてきたばかりの俺に若井はそう言った
ちょっと寝不足なだけだし。
別に大丈夫なのに
若井は俺の手を引いてソファに座らせた
wki.
omr.
wki.
omr.
wki.
若井は俺の顔を見て言った
wki.
omr.
wki.
俺はうんともすんとも言ってないのに
若井は携帯を取り出してどこに行くか楽しそうに選んでいる
若井にその笑顔につられて少し笑ってしまう
若井は俺の不調に敏感だった
俺の不調に気づいてくれて、さりげなく声をかけて励ましてくれた
若井さえいれば、俺は生きていけた
大森元貴side
俺を幸せな記憶の中から引っ張り出したのは俺の手の中で再び震えた携帯だった
涼ちゃんからだった
今から家に行っていいか、と言う内容だった
若井と一緒に住んでいた家に、もう涼ちゃんは向かっているみたいだった
俺と若井が付き合っていたこと、涼ちゃんだけは知っている
若井と俺が、涼ちゃんにだけは伝えておきたいって思ったから
涼ちゃんは自分のことのように喜んでくれた
俺と若井が喧嘩した時も呆れながらも仲を取り持ってくれた
若井が殺されたあの日
俺たちは三人で洋服を買おうって約束していた
お互いに似合う服を話し合って、その後は三人でご飯を食べて。
そんな“当たり前”が壊れないって
信じて疑わなかった
でも、もう若井はいない
誕生日も迎えないまま
50歳にもならないまま
予定していたライブもデートもできないまま
ああ、なんで?
なんでだよ
なんで若井が殺されないといけなかったんだよ
この世界はいい人から死んでいってしまう
なんでだよ
なんで悪い人は滅びないからいい人だけ犠牲になっていくんだよ
ねぇ、どうして?
こんな世の中にしたのは、誰?
ピーンポーン
流れるような思考を断ち切ったのは、チャイムの音だった
こんにちは✨
いいねと感想ありがとうございます😭 とっても嬉しいです✨
この作品もいいねと感想よろしくお願いします🤲
それではまた!
※お知らせ※ 投稿頻度が少なくなるかもです、すいません💦 でもいい作品をかけるように頑張ります!
コメント
6件
やばい、泣きすぎて、、。 もう部屋が塩水すぎる、、 みのりさんこんな泣ける最高の作品をありがとうございます、!
うぅ…辛い😭 当たり前が壊れるって辛いですよね…
ぬぁぁ………… 本日もお美しい文章でございます…… 投稿頻度把握です! 無理ない程度で更新まってるよ!