翔太
殺したいなら殺せよ。
暗い部屋に2人
1人の男が呟いた
涼太
それは、こっちのセリフ。
1人の男は
震える体を抑えながら答えた
翔太
今まで、すげぇ楽しかった。
涼太
俺も楽しかったよ。
2人は見つめ合うと
優しく微笑んだ
翔太
んじゃ、選ぼうぜ
翔太
俺が死ぬか、お前が死ぬか
涼太
.....
翔太
って、選べねぇよな...笑
翔太
...俺が死ぬよ。
涼太
...っ、
1人の男は
吹っ切れた笑みを零し
1人の男は
悔しそうに下唇を噛み締める
翔太
じゃあ、またどっかで会おうぜ
涼太
...会えるといいね、
翔太
会えるだろ、俺らって運命だし
涼太
...それもそうだね、
翔太
...んじゃ、また来世で
涼太
...うん。
1人の男が
拳銃を自分の頭に当てる
1人の男は
瞬きもせず、男をじっと見つめている
翔太
ばいばい、涼太
翔太
___。
涼太
...!!
涼太
...バカ、
銃声が部屋に鳴り響く
銃から放たれた弾は
男の頭を通り抜ける
真っ赤な液体が吹き出す
涼太
.....
それをじっと見つめる男
涼太
...この世界は不平等だ
涼太
俺達はただ
涼太
___だけなのに。
残された男はそう呟くと
鍵の開いた扉から外に出た
お疲れ様でした
1人の男が男に話し掛ける
涼太
...茶番はこれで終わり
涼太
もういいでしょ?
呆れの表情を見せる男
えぇ、そうですね
死体はこちらで処分しておきます
涼太
うん、頼んだよ
男はまた歩き出した
男が向かった場所は__
涼太
.....翔太
涼太
しょうた、...しょうた!
涼太
っ、なんで、止められなかったんだ、
涼太
今、行くから...
男は声を荒らげて泣き叫んだ後
1人で冷たい海の中に進んでいく
自然と冷たさは感じなかった
彼にとってはその冷たささえ 心地がよかった
涼太
.....翔太、
海に浮かぶ男
息を吸って思いっきり力を入れる
涼太
.....
男がどんどん海に沈んでいく
けれど慌てない
それを待ち望んでいるかのように
男はとても冷静だ
沈んでいく中で
男はうっすらと笑みを浮かべ
ゆっくり瞼を閉じた
次に目を開けると
そこには男が一番会いたかった人が そこに立っていた
涼太
...!翔太、!!
翔太
...あれ、涼太、
翔太
来るの早かったな。
涼太
...翔太に会いたくて、
涼太
ごめんね...?
翔太
別に、俺も会いたかったし、
翔太
...涼太、
翔太
あの返事、聞かせてよ
涼太
うん。
涼太
...俺も
涼太
___よ。
翔太
ふはっ、うれし...
涼太
...ねぇ、翔太
涼太
俺の事、許してくれる?
翔太
許す?
翔太
別に涼太はなんもしてないだろ
涼太
...それでも、翔太を死なせちゃった...
翔太
いいんだよ笑
翔太
...逆にお前が死んだ所、
俺見てられねぇと思うし...
俺見てられねぇと思うし...
涼太
...そっか
翔太
まぁいいじゃん
翔太
これから2人で幸せになろーぜ
涼太
ふふっ、そうだね
2人の男は手を繋いで
橋を渡って行った
実験体M、失敗です
やっぱり、お互い
庇い合ってしまうのか...
庇い合ってしまうのか...
まぁいいか。
奴らは実験の1部でしかない。
...ボス、この実験成功するんですかね...
成功するよ、きっと。
さぁ、次の実験を始めよう。
翔太
殺したいなら殺せよ。
涼太
それは、こっちのセリフ。
何度だって繰り返す