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.....✍(・∀・*)なるほどぉ.… ..............ポケモンやん()
面白いっす……凄いなんかわくわくします!! ミアちゃん描いていいですか……!!!!
レミ
レミ
鏡に映る自分の姿を確認し、私は一息ついた。
それもこれも、情報量が多すぎるのがいけないのだ。
この世界へきて少し、常識も何も分からないのに、いきなり発展的な内容を教えられても何も入ってこないのは自明の理だ。
レミ
誰もいないお手洗いでそう呟く私。
私は今、ミティフス学園にいた。
うー、授業サボりたいなぁ。
––––それにしてもどうして、私は異世界に来たのに、学園にいるのか。
事の始まりは一週間前に遡る。
クロトに飛行船に乗せてもらったその日の夕食にて。
私は耳を疑った。
レミ
レミ
クロト
ちょ、ちょ、ちょっと待って!
ミティフス学園って何⁉︎ 名前からして学校……だよね?
私を引き取る話はどこへいったのよ……論文じゃないんだし、結論をまず告げればいいってものじゃない……。
だから理解できないのはクロトが悪いよね。うん、私は悪くない。
クロト
クロト
クロト
レミ
いいだろ、って……てっきり私は、クロトが色々教えてくれるものだと……。
レミ
レミ
クロト
クロト
クロト
クロト
レミ
クロトは食事の手を止めて、笑顔を作った。……ただし口元だけだ。目は笑ってない。怖い。
クロト
レミ
……魔法があるなんて初耳です。
クロト
レミ
怪盗捕縛法って何? 十四って……そこまで世間に敵視されてるの?
クロト
レミ
ついに聞き返してしまった。
しまったと思いつつ、クロトを窺う。
彼は呆れるでも失望するでもなく、淡々と肉を切っていた。
クロト
クロト
クロト
今、さらっと最重要案件言いませんでした?
レミ
クロト
クロトはナプキンを折り畳み、皿の上に乗せると席を立ち、私の肩をポンポンと叩いて自室へと戻っていった。
一人取り残された私。……これ、随分とまずい状況じゃない?
レミ
レミ
私は再び大絶叫。近所迷惑すみません。
……それにしても、次の卒業試験に合格できなかったら見捨てる?
さっき引き取るって言ったばかりなのに……横暴にも程度ってものがあるでしょう…………。
……まぁでも、クロトが私を引き取ってメリットになる点なんて、少ないし……もしかしたら無いし。
そう考えたら、この状況も仕方がないものだと受け入れざるを得ないのかも。
卒業試験って何ヶ月後? 試験科目は? あと夜中に色々教わるみたいだけど私いつ寝るの⁇
そう一人で考え込んでいたら、さっき大号泣してたユリちゃんが、躊躇いがちに私の服の裾を引っ張った。
ユリ
ユリ
レミ
レミ
私が誤った瞬間、ユリちゃんはそっぽを向いた。
ユリ
私、相当嫌われているのかな……落ち込む。
ユリ
ユリ
小さい子にレミさんって呼ばれると、何だか背中がむずむずする。
もっと砕けて話してくれてもいいのに……でも嫌われてるのだったら無理か。
それでも提案だけはしておこうと思って、明るい口調で話しかける。
レミ
レミ
ユリ
ユリ
レミ
ユリ
レミ
ユリ
レミ
ユリ
私よりユリちゃんの方が大人っぽい……今ユリちゃん何歳だっけ……?
小学校低学年、または中学年だろう。高学年にしては、背が小さい。
ユリ
レミ
ユリちゃんはどこからか鋏を取り出し、一言。
ユリ
レミ
レミ
まずは対話からだよユリちゃんまずその輝く凶器をしまおうっ?
ユリちゃんは表情を変えずに、まち針を取り出した。
どんどんユリちゃんが武装されていく……!
対して私は丸腰だ。テーブルクロスが何とか目眩しに使えるといった具合だろうか。
ユリちゃんは澄んだ青色の瞳で私を見上げた。
どんな脅迫にも、私は屈しない……っ!
ユリ
レミ
ユリちゃんの小さな唇からこぼれ落ちたのは、私が予想だにしていなかった言葉だ。
レミ
ユリ
ユリ
そうしてユリちゃんに案内されたのは、彼女の私室だった。
明るい目の茶色を基調とした部屋で、床にはいくつか毛糸の玉が転がっている。
地球にあった私の部屋より、何倍も女の子らしい部屋だ。
ユリ
レミ
レミ
ユリ
ユリ
ユリ
レミ
ユリ
ユリちゃんはスケッチブックに服の細かい部分の詳細を書き込むと、少しだけ目を輝かせて私に言った。
ユリ
そうやって楽しそうにしているユリちゃんは、年相応の女の子のようだ。
基本無表情だけど、たまに見せるそういった仕草が可愛いなぁ。
ユリ
へぇ、そうなんだ。私銀髪––––⁉︎
レミ
ユリ
私は慌てて、ユリちゃんの部屋にあった鏡で髪色を確認した。
そこに映ったのは、見慣れた黒髪……ではなく。
レミ
それだけではなかった。目の色も青紫に変色している。
私の身に何が起こっているのか。
それを問いただすため、クロトの元へと走った。
レミ
レミ
リビングにクロトの姿は無かったので、大声で彼の名を叫ぶ。
クロトは目を擦りながら出てきた。
クロト
煩わしそうなクロトの反応を気にすることなく、私は端的に問いたいことを問う。
レミ
クロト
レミ
クロト
クロト
私はこの場所で意味もなく、くるくると回る。
私は純粋な日本人ですよ?
言うまでもなく黒髪でしたよ?
レミ
性懲りもなく絶叫して、クロトに頬を抓られたが(そして痛かったが)気にする余裕はなかった。
……どうして急に、髪と瞳の色が変わったのだろう。
臨死体験で細胞の質が変容したとか? 私の色素どうなっているの。
驚きすぎて、その日の晩だけでなく、しばらく眠れなかった。
回想を終え、寝不足の脳を叩き起こそうと冷たい水をかける。
鏡に映る私は、相変わらずの銀髪と、紫の瞳だ。
ここまで違うと、まるで自分が別人かのように思える。
それから、次の日になると早速、ここに編入させられることになった。
……あの時も思ったけれど、クロトって色々と急じゃない? どういった思考回路で生きてるの?
私が物思いに耽っていると、お手洗いの入り口にある女子生徒が息を切らして立っていた。
ミア
ミア
レミ
レミ
ミア
彼女はミアといって、私と同じ部屋で寝ている。
ミティフス学校は全寮制で、二人で一つの部屋が与えられる。
成績が優秀であれば個室も与えられるらしいが、私一人は絶対嫌だ。
楽しく無いもん。
この学園で初めてできた、友達と呼べる存在に私は飛びついた。
レミ
レミ
私が急に飛びついても、ミアちゃんは動じない。
ポケットからハンカチを取り出し、私の髪から滴る雫を拭った。
ミア
ミア
レミ
ミア
レミ
先に歩き出したミアちゃんの背中を、私は見失わないよう歩く。
––––次の卒業試験で合格できなかったら、クロトたちに見捨てられてしまう。
そんな不安を胸に抱いたままの学園生活は、思いの外疲れるものだった。
ミティフス学園の教室は、日本の学校の教室に良く似ている。
一教室に三十程の机が並べられ、先生が教卓で話すのだ。
昼下がりの教室は温かく、生徒の眠気を誘っている。
ちらほら寝ている者の姿を見かけた。
スピム先生
スピム先生
スピム先生
スピム先生
私はふむふむと頷く。
半分も理解してないけど……火が草に、草が水に、水が火に強いのはイメージがつきやすかった。
某有名な電気ネズミが登場するゲームのタイプ相性がそんな感じだった気がするからだ。
ありがとう電気ネズミ。もし会うことがあれば、トマトケチャップを向こうが望むだけ進呈しようと思う。
スピム先生
スピム先生
ミア
ミアちゃんの髪は薄い黄色がかった色をしていて、赤と青のオッドアイを持っている。
ユリちゃんとランくんと、瞳が同じ色だと気づいたのはつい最近だ。
……授業には関係無いけど。
ミアちゃんは目を閉じ、深呼吸をして詠唱する。
ミア
ミア
そると、火の球がミアちゃんの手のひらに浮かんだ。
本当、魔法はどういう原理で発動しているのだろう。
この世界では科学と同じくらい発達したもののようだし、地球にあっても良かったと思うんだよね……。
ただ、魔法は才能の有無により、使える人と使えない人に分けられる。
だからこそ、地球にはなかった差別も生まれているのも現状だそうだ。
スピム先生
スピム先生
スピム先生
スピム先生が手をじっと見つめると、ミアちゃんの時よりも大きな火の玉が出てきた。
スピム先生
先生は持っていた杖を勢いよく教壇に叩きつけた。
パキッと音を立て、杖が真っ二つに裂けた。
怖……温厚な先生は一体いずこへ……?
スピム先生
スピム先生
後からミアちゃんに聞いたけど、先生は一年間ずっとこのような授業をやっているらしい。
そりゃあ寝てしまう生徒が出るのも仕方がないよね……。
そうぼんやりと思いつつ、私はあくびを必死で噛み殺していた。
次の授業は同じ教室で行うらしく、移動に迷うこともなかった。
非常にありがたい。
というか全ての授業ずっと同じ教室でして欲しい……。
インクリア先生
インクリア先生
インクリア先生
インクリア先生
そう楽しそうに話す先生は『個人体質』を教える先生だ。
ただし、自他共に認める変人で、話が脱線しやすい。
おまけにその話で出した、個人体質に関係のないことまで筆記試験に出るらしい。
恐るべし……真面目に受けなければ。
インクリア先生
インクリア先生
インクリア先生
インクリア先生
インクリア先生
インクリア先生
インクリア先生
さ、最強技って……。
私は先生のネーミングセンスに少々呆れながらも、しっかりと教科書を確認。ペンで線を引く。
えーと、一番すぐ覚えられそうなのは……これかな。
光の属性の最強技は“フランド・ラーレラ 光よ怒れ”。
正確な呪文はもう少し長いらしいが、この記録を残した人が聞き取れたのはここまでだそう。
その効果は、『自分自身の中にある光を具現化し、相手の目を眩ませ、脳にダメージを与える』だそうだ。
何だか物騒。どんな状況で使うのだろう。
私は他の呪文を流して読んでいく。どの魔法にも、それを初めて使った人の名が書かれていて、非常に覚えにくそうだ。二つ名まであるし……。
すると、神の化身という単語がぽつんと出てきた。
何だろう、これ?
レミ
レミ
インクリア先生
インクリア先生
インクリア先生
インクリア先生
インクリア先生
インクリア先生
インクリア先生
その言葉を聞き、私は猛スピードでノートを取ることにした。
これらが午前の授業で、午後は体育。夜は怪盗学だ。
睡眠時間は六時間ほど。夜がある分始業の時間が少し遅めに設定されている。
頭の中に学んだ色々なものを必死で詰め込んでいたら、あっという間に二週間が過ぎた。
体力の方はまだまだだけど、気力の方は来た時よりも成長したと思う。
寮生活にも慣れ、この調子なら卒業試験も無事受かるだろうと、私はそう楽観していた。
この日までは。
先生
先生
レミ
う、嘘でしょ……。
卒業試験がこんなに早く訪れるなんて、そんなこと何一つ話してなかったよねクロト––––っ⁉︎
ミア
レミ
––––––––そんなこんなで、卒業試験はもう目前まで迫っていたのだった。