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今回すこし長めです

読むのに時間がかかってしまうかもしれないので、時間があるときに読んでください

それでは本編へ行ってらっしゃい!

それからボクと君の2人で

色んな場所を歩いて回った

少し歩き回って、ボクは 君が行きたいと言っていた場所に居た

そこは星明かりですごく明るくて、 駅のような場所だった

君は、何かを考えているように 黙ったままだ

   

……あの、

カーン、カーン…

すると突然、遠くから鐘の音が聞こえて 君は小さく呟いた

   

……もう帰らなきゃ

   

え…っ?

   

ど、どうしてですか…?

   

今の音、もうすぐ夜になる

   

夕日が完全に落ちたら、俺はここで留まり続けられないから

   

俺は『俺が元いた場所』に還らないといけない

   

(そ、そんな……折角会えたのに…)

   

嫌だ!お願い、行かないでください!

ボクは咄嗟に君の袖を掴んだ

そんなボクを見て、君は困ったように 微笑んだ

   

しょうがないじゃん、こればっかりはダメなんだよ

   

なんで…っ、なんで……?

   

ここは元々、お前の夢の中だから

   

現実と時間が同じこの世界だと、もうそろそろこの夢は終わる

   

この夢が無くなったら、当然この世界は無くなっちゃうし、俺もここにいられない

   

だから還らないといけない

   

っ!!…そんなの……っ

そんな事って……

   

何でそんなに泣いてるの…?

   

っ…だって、だって……!!

貴方は、ボクに何も話さずに この世界から消えてしまった

ボクが悲しむところを見たくないからっていう理由で、何も言わないまま いなくなってしまった

きっと、君はずっと前から 自分がいなくなることに気がついていたんだ

知ってて、ボクには話さなかった

ボクはそれが悲しくて悲しくて

何日も部屋に籠って、布団の中で1日を終える日々を過ごしていた

そんな時、夢に君が出てきて すごく嬉しかったんだ

今ボクが見ているのは明晰夢

明晰夢は、自分で夢だと自覚しているから、夢を自分の好きなようにできると 何処かで聞いた

だから君と会話が出来たし、君とこんな経験が出来た

さっき君が寝た時に、立場が入れ替わって始めとまったく同じ状況になったのも

『ずっとこの夢が続いていたい』っていうボクの願望のせいなのかもしれない

ずっとずっと、この綺麗な場所で 君と過ごしていたいって思っていた

それなのに…

   

ボクが今ここで目を覚ましてしまったら、ボクはもう2度と貴方に会えません…

   

それに夢なんて、起きてしまったらほとんど忘れてしまうものです…っ

   

こんなに幸せだった思い出が、ボクの中に一欠片も残らないんですよ!

ボクは気づいたら涙を流していた

あまりにも沢山溢れてくるものだから、ボクは下を向いてしまった

   

貴方はそれが寂しくないんですか…っ?

   

っ……俺が……!

   

俺がっ!寂しくない訳ないじゃん!!

   

っ!!

力強く、だけど震えている君の声に、思わず顔を上げた

   

俺だって、お前と別れたくないよ…っ!

   

…っ本当だったら、夕日が落ちる前にはここに来て戻らないといけなかった…っ

   

でもっ、お前がさっきみたいに頼んできたら!

   

…帰りたくないに、決まってるだろ…!

目の前には、目に涙を溜めた君が見えた

   

っ…そう頼むに決まってるでしょう!

   

っだって!!貴方が今から乗ろうとしてる列車が、どこに止まるのかも、どこに行くのかもっ、ボクには分からないです!!

終点も決められてなくて、夜空の中を渡っていく列車は、きっと君しか乗らない

   

貴方がっ、闇の中に消えてしまうのが…

   

貴方がっ!1人きりの列車で帰って行くのが……

   

すごくすごく怖いんですよ…っ!

ボクは涙で目の前が見えなくて、その場にうずくまった

   

本当は、っ…貴方がいずれ帰ってしまうのが分かっていました…

   

だから笑顔で送り出したかったのに…っ

   

…!!

せめて君だけでも、笑顔でいてほしくて

それなのに、結果的に君も泣かせてしまって

2人とも、もう涙でボロボロになっちゃってる

   

(ボクが泣くのを我慢できてたら…)

   

っ…お願いだから、もう泣き止んで

   

お前が此処での事を忘れても、俺がその分覚えてるから

   

だから、そんなに沢山泣くなって…

そう言って、君はボクの涙を 袖で拭ってくれた

嗚呼、そうか

ボクが覚えていられないのなら、君が覚えていれば良い

   

(そんな簡単なことだったんだね…っ)

それからボクは、自分の目に溜まった涙を拭った

   

っ…じゃあ、ボクは貴方を待ち続けます

   

え…?

   

何年でも、何十年でも、たとえ来世のことになろうとも

   

生まれ変わって、現世に来た貴方を

   

ボクは…ずっと探します

   

だから、貴方もボクを探して…?

   

っ……分かった

   

どれくらいかかるか分からないけど、
絶対会いに行く

だから待っててー…

 

 

それから貴方は、ボクの手を離して 列車に乗った

貴方のおかげで泣き止む事が出来たから ボクは笑顔で貴方を送り出せた

それからボクは、列車が見えなくなるまで手を振り続けて

夢から覚めた

  

  

   

ん………?

スマホの画面をつけると、ロック画面は2:00の文字が浮かんだ

確か寝たのが 13:00くらいだったから…

   

あれ、少し寝過ぎたかな…

   

…なんか変な感覚だなぁ

何だか不思議な夢を見たような気がするのに、何にも思い出せない

でも…

   

…えっ?ボク、何で泣いて……

視界が歪み始めたと思ったら、突然ボクの頬を、涙が伝っていった

何か悲しいことがあった訳じゃ無いのに 涙がポロポロと出てきて治らない

   

っどうして……?

『寂しくなったら、俺のこと思い出してね』

『頑張って、そっちに行くから』

   

え…っ?

聞いたことがない言葉が、突然流れ込んだ

ただ、誰が言ったのかだけは分かった

…そっか、もしかしたら夢でボクに会いにきてくれたのかな

   

…ありがとう

   

『そらるさん』

星空でできた列車の線路は、どこまでも続いてゆく

どこに行くのかは俺も知らない

ただ、『また生まれ変わって、大切な人を探す』

その時まで、俺はずっと 1人きりでこの列車に乗り続ける事は分かる

あいつ、大丈夫かなぁ

俺の後を追って…なんてことはしないでほしいけど

   

……きれいだなぁ、此処は

ふと窓に目をやると、見えたのはたくさんの星の中に、一際大きく輝く『白色』の星

それはまるで『大丈夫だ』と言うように キラキラと輝いていた

   

……多分、大丈夫だよね

あいつはきっと現実でちゃんと幸せになる

 沢山幸せを貰ってから、こっちに来る

俺じゃなくたって、あいつを笑顔にできる人はいるんだ

今まで俺が支えてきた分、きっとそいつらが支えてくれる

   

(この先、どうしても不安になることがあると思うけど)

   

(寂しくなったら、俺を思い出してね)

   

(俺がきっと支えになれる)

   

(……また、いつ会えるのかは分からないけど…)

   

(何年かかっても、頑張ってそっちに行くから)

   

また会おうな

   

…『まふまふ』

そう俺が呟くと、二つの彗星が尾を引いて流れて行く

今なら、あの時言いそびれてしまったことも言えるかもしれない

そらるさん、ボクは ずっと貴方のことが…

まふまふ、俺はまふまふの事が ずっと、ずっと…

大好きだよ

   

 

 

曲パロ『彗星列車のベルが鳴る』

エピローグへ続く

曲パロ『彗星列車のベルが鳴る』

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コメント

4

ユーザー

あああ…めちゃくちゃ素敵でした。 そうだったのか…確かに夢は覚めたら どんどん忘れて薄れていく……それなら ずっとその幸せな夢を見ていたいよね… でも帰らなきゃ行けない… 覚めなきゃいけないんだよね…… またいつかふたりが出会えますように… また2人で笑い会えますように…… エピローグ楽しみに待ってます✨

ユーザー

そっか…ループしてるように見えたのは、まふくんがこの夢をずっと見ていたかったから… もしかして、そらるさんは現実ではもう死んじゃってるのかな…? それでも、夢でこうして会えて、泣いちゃったけど、最後は笑顔で見送れて……素敵な夢だったなぁ…… いつか2人がまた会えますように…! エピローグ楽しみにしています!

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