ピーピーピー
ナース
ナースの人がころんを乗せた荷台を運んでいく。
やめろ……
触るな。俺のころんに………!!!!
狗井 莉犬
そうやって、真剣な眼差しで言ってくる莉犬。
悔しいけど、俺より莉犬のほうが大人で、誰よりも大切で、片思いの相手が 亡くなりそうだというのに、ころんの前だからって泣かないのは本当に 尊敬する。
百瀬 さとみ
狗井 莉犬
百瀬 さとみ
大丈夫だ。ころんは死なない。
いや、死んでほしくないの間違いか…。
好きな人だから、死んでほしくないのは当たり前なのか……。
生きて、両手を広げながら走ってきて『さとくん!』って、笑顔で叫んで ほしい。
ころん。
ガチャ(ドアを開ける音)
百瀬 さとみ
狗井 莉犬
医者
百瀬 さとみ
狗井 莉犬
何も考えられなくて、頭の中が真っ白になった。
死んだ………?
ころんが?まだ17年しか生きていないというのに? 考えられない……。
どうして?
どうして、病気だなんていうどうしようもないハンデを背負ってまでこの子は生きなきゃいけなかったの?
恋愛も、勉強も、生活も、部活も、すべてを普通に生きたかったこの子がなんの悪いことをしたというの?
バツなら俺に与えろよ。
ころんを罵って、莉犬の好きな人を馬鹿にして。
二人はきっと俺のせいでこれほどまでにない不快感を味わった事だろう。
じゃあ、なぜ?
なぜ、俺だけが生きている? なぜ、俺だけがのうのうと生きているんだ。
狗井 莉犬
狗井 莉犬
違う。 違うんだよ莉犬。全部俺が悪い。運命なんかじゃない。
ナース
百瀬 さとみ
狗井 莉犬
百瀬 さとみ
スタスタスタ(歩く音)
今思えば、多分、これは莉犬なりの優しさなんだと思う。
ガチャ(ドアを開ける音)
百瀬 さとみ
スタスタスタ(ころんくんに近寄る音?)
百瀬 さとみ
蒼瀬 ころん
百瀬 さとみ
蒼瀬 ころん
百瀬 さとみ
蒼瀬 ころん
百瀬 さとみ
蒼瀬 ころん
百瀬 さとみ
蒼瀬 ころん
百瀬 さとみ
後悔なんてたくさんある。
ころんが、毎日のように俺に告白してくれてたのに、俺は毎日のように、愚痴を言い、あいつを悲しませた。
俺はころんから、たくさん嬉しい言葉をもらってきたくせに、俺は恥ずかしくて、ころんに『大好き』の一言も伝えられていない。
百瀬 さとみ
蒼瀬 ころん
蒼瀬 ころん
百瀬 さとみ
蒼瀬 ころん
百瀬 さとみ
蒼瀬 ころん
百瀬 さとみ
蒼瀬 ころん
百瀬 さとみ
蒼瀬 ころん
百瀬 さとみ
百瀬 さとみ
蒼瀬 ころん
百瀬 さとみ
百瀬 さとみ
蒼瀬 ころん
百瀬 さとみ
蒼瀬 ころん
百瀬 さとみ
ピコンっ(LINEの音)
百瀬 さとみ
クルッ(ころんくんの方を振り向く)
蒼瀬 ころん
百瀬 さとみ
ポチ
震えた手でスマホの画面を触る。
『ころん』と表示されたライン画面を。
コメント
2件
めっちゃ泣けるんですが。゚( ゚இωஇ゚)゚。