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朱鷺は太宰を真正面から見つめていた

朱鷺 トキ

(ただの“興味本位”でここまで来る男ではない)

朱鷺 トキ

(ましてや、異能者の情報に敏感な《武装探偵社》の人ならね)

朱鷺 トキ

…何の用でしょうか

その声は冷たくも、はっきりしていた

だが太宰は笑顔を崩さず、肩をすくめる

太宰治

何って……スカウトだよ。探偵社に

朱鷺 トキ

スカウトはお断りしております

朱鷺が灯の手を引いてその場を後にしようとする

太宰治

君たち、どこにも属していないよね

太宰のその一言に朱鷺は止まり

灯に合図を出す

その瞬間太宰の周りには

銀の糸が張られていた

太宰はその糸をみて笑みを浮かべる

この緊張が走る空気感の中

灯は糸を張った指をくるくる回しながら

口を開く

灯 アカリ

ねぇ、朱鷺

灯 アカリ

探偵社ってホワイト?

その一言に朱鷺は呆れ顔

太宰は笑い出す

それに続けて灯は

灯 アカリ

福利厚生ある?

灯 アカリ

副業OK?

朱鷺 トキ

……やめなさい

灯 アカリ

はーい

太宰は軽く笑ったあと、 わずかに表情を引き締める

太宰治

君たちの異能――いや、“存在”自体が、面白い

太宰治

君たちに関する、情報も、痕跡も

太宰治

全てがベールに包まれている

太宰治

まるで……“後から置かれたピース”みたいにね

その言葉に、朱鷺の目がわずかに動いた

灯も、一瞬だけ口元の笑みを消す

朱鷺 トキ

(……気づかれかけてる。いや、“勘”か)

太宰はポケットから探偵社の名刺を 取り出し

ふたりに差し出す

太宰治

隠したいものがあるなら――

太宰治

使いこなしてみない?この世界を

太宰治

うちの社長、案外そういうの歓迎するんだよ

場は沈黙

朱鷺は受け取らず、代わりに一歩だけ太宰に近づいた

朱鷺 トキ

もし……私たちが、“その気になった時”は

朱鷺 トキ

どうするつもり?

太宰治

その時は楽しくなってきたじゃないか

太宰治

私は歓迎するよ

即答だった

読めない表情だが判る

迷いのない本当の答え

灯は笑って、朱鷺の肩に寄りかかる

灯 アカリ

どうする〜?

灯 アカリ

あそこ、変な人多そうだし、けっこう楽しそう

朱鷺 トキ

簡単に決める気はない

朱鷺 トキ

でも…

朱鷺 トキ

選択肢にしてはいいわね

太宰は満足そうに微笑み、軽く手を振る

太宰治

じゃ、また会おう。

太宰治

できれば、“同じ側”で

そう言って、闇の中へと消えていく

その背中を、朱鷺と灯は黙って見送っていた

静かに風が吹く

灯の指先に垂れ下がった糸が

夜空にひらりと揺れた

朱鷺はため息をつき

朱鷺 トキ

大変になりそうね

灯 アカリ

そう〜?

灯 アカリ

私は楽しくなると思うけどね!

朱鷺 トキ

それは灯だけね

2人も闇の中へ消えていく

騒がしい魔性の女たち

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