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朱鷺は太宰を真正面から見つめていた
朱鷺 トキ
朱鷺 トキ
朱鷺 トキ
その声は冷たくも、はっきりしていた
だが太宰は笑顔を崩さず、肩をすくめる
太宰治
朱鷺 トキ
朱鷺が灯の手を引いてその場を後にしようとする
太宰治
太宰のその一言に朱鷺は止まり
灯に合図を出す
その瞬間太宰の周りには
銀の糸が張られていた
太宰はその糸をみて笑みを浮かべる
この緊張が走る空気感の中
灯は糸を張った指をくるくる回しながら
口を開く
灯 アカリ
灯 アカリ
その一言に朱鷺は呆れ顔
太宰は笑い出す
それに続けて灯は
灯 アカリ
灯 アカリ
朱鷺 トキ
灯 アカリ
太宰は軽く笑ったあと、 わずかに表情を引き締める
太宰治
太宰治
太宰治
太宰治
その言葉に、朱鷺の目がわずかに動いた
灯も、一瞬だけ口元の笑みを消す
朱鷺 トキ
太宰はポケットから探偵社の名刺を 取り出し
ふたりに差し出す
太宰治
太宰治
太宰治
場は沈黙
朱鷺は受け取らず、代わりに一歩だけ太宰に近づいた
朱鷺 トキ
朱鷺 トキ
太宰治
太宰治
即答だった
読めない表情だが判る
迷いのない本当の答え
灯は笑って、朱鷺の肩に寄りかかる
灯 アカリ
灯 アカリ
朱鷺 トキ
朱鷺 トキ
朱鷺 トキ
太宰は満足そうに微笑み、軽く手を振る
太宰治
太宰治
そう言って、闇の中へと消えていく
その背中を、朱鷺と灯は黙って見送っていた
静かに風が吹く
灯の指先に垂れ下がった糸が
夜空にひらりと揺れた
朱鷺はため息をつき
朱鷺 トキ
灯 アカリ
灯 アカリ
朱鷺 トキ
2人も闇の中へ消えていく
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