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トモユキ
トモユキ
彼はそう言って、 クリスマスの夜空を見上げた。
残念ながらその時は、 雪が降ることはなかった。
アオイ
トモユキ
アオイ
トモユキ
トモユキ
アオイ
アオイ
トモユキ
アオイ
アオイ
トモユキ
ふてくされたほっぺたを指でつつくと、 トモユキは苦笑いをした。
トモユキ
アオイ
この後 私はトモユキとどこに行ったのか 覚えていない。
でも、トモユキの腕の中で 幸せを感じたことは覚えている。
そして
私達は永遠に会えなくなった
2年前の12月25日
雪の舞う
奇跡のクリスマスだった
彼の手の温もりと
雪の舞う夜空
その映像が忘れられない。
そして、クリスマスの今日。
私は雪の降る夜空の下
彼と永遠に別れることになった場所へと 足を運んだ
遠くに見える風力発電の羽が ゆっくりと回っている。
私は2年前に 彼と過ごしていた時間を 思い出していた。
あの時トモユキは、 無理を言ってクリスマスに会いたがる 私のお願いを しぶしぶ受け入れた。
平日…… しかも明日は仕事だという日 それに彼には妻子がいて……
そんな時に 夜に会いたがるのは ワガママだったと思う。
だけど、会いたかったのだ。
特別な日だし渡したい物があったから、 どうしても私と過ごしてほしかった。
そして彼は、 この場所を指定した。
人気がないけど、 夜景がキレイな場所だ。
星を観察するのが趣味の彼は、 山にある 人のいない場所を多く知っていた。
トモユキ
トモユキ
そう言って、 私の手を取ってくれた。
雪の降る夜だったから、 星は見えなかったけれど、 代わりに地上に広がる街の明かりを指さして
トモユキ
と、言って笑った。
本当に楽しい時間だった。
だけどその後
別れることになるなんて思いもしなかった。
今、目の前にある景色を見ながら祈る。
アオイ
アオイ
目を閉じて祈った瞬間。
トモユキ
トモユキの声が聞こえた。
振り返ると、確かに彼がいた。
2年前と変わらない格好で 私の後ろに。
私は何も言わず、 彼の胸に飛び込んだ。
彼の顔を見上げ、微笑む。
恐る恐る彼の指が私の顔を触り、 感触があるのを確かめてから、 私を抱きしめた。
トモユキ
アオイ
アオイ
トモユキ
アオイ
アオイ
トモユキ
アオイ
トモユキに会えたことが うれしかった。
だって、死んでしまったのだから。
だからもう、 永遠に会えないと思っていた。
アオイ
そう言いかけた私の体を引き離して、 トモユキは私を見つめる。
彼の瞳から涙がこぼれる。
トモユキ
アオイ
トモユキ
アオイ
トモユキ
少し笑う彼を強く抱きしめる。
アオイ
トモユキ
トモユキ
アオイ
トモユキ
アオイ
アオイ
アオイ
私はポケットにある1枚の写真を渡した。
2年前の日付のエコー写真。
2年前のあの日 これを渡した後
トモユキは 私を ここから突き落とした。
私は彼を強く抱きしめる。
トモユキ
骨の折れる音が 辺りに響く。
アオイ
アオイ
トモユキ
トモユキ
アオイ
アオイ
彼を抱きしめたまま、 私は柵の向こう側へと身を投げた。
2年前 トモユキに 突き落とされたこの場所。
トモユキ
叫び声をあげる彼の口を、 私の唇でふさいだ。
そして、地面に激突する瞬間
こう、つぶやいた。
アオイ
彼の頭が地面の岩に激突した瞬間 笑みがこぼれた。
あの世で ずっとトモユキと一緒にいられる。
それがうれしくて、たまらない。
動かなくなったトモユキに話しかけた。
アオイ
アオイ