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あれから俺はバイト初日ですら使わなかったメモ帳を 制服であるエプロンをポケットに入れた。 耳の聞こえない彼とどうにかコミュニケーションが 取りたかった。

三日後、心待ちにしていた彼が来た。 浮ついた気持ちを隠し接客モードに切り替える。

今日の彼は俯いておらず、不意に目が合うと会釈をされた。 どうやらこの前のことを覚えていてくれたみたい。

前回同様メニューを指差して注文していき、 何も出来ないままお会計まで進んでしまって結局用意した メモ帳の出番はなかった。

でもそれから彼は週に何度かお店に足を運んでくれるように なり、俺のレジに来たら毎回ペコッと頭を下げ、 会釈をしてくれるようになった。

前回なにも出来ずに後悔していたが、ついに彼が来店して 五回目を過ぎた頃、

やっとの思いで自分の名前を書いた紙を渡した。

彼は「僕に?」とでも言いたげな表情で困惑していたので 頷くと紙を受け取ってくれた。

次の日彼は紙を渡して来た。

流 星 .

🗒大西流星です。いつもありがとうございます

と書かれた紙を。

それから流星くんと手紙というには短すぎるメールのような 手紙のやり取りが始まった。

大 吾 .

🗒どこの高校?何年?

流 星 .

🗒浪花高校三年、
西畑さんは?

大 吾 .

🗒浪花大学の三年。
進路は決まってるの?

流 星 .

🗒特に
決まってないです。

最初は自己紹介みたいで、ぎこちなさが残ってた。

けど最近はこんなのも混ざってて、

流 星 .

🗒ホワイトモカ、
トールサイズ、アイスで
お願いします。

いつもだったら指差しで注文する彼はこの紙を渡して 俺の反応にニヤニヤしてた。

こんなの書かなくても頼むものはいつも同じだったから もう覚えてるよ。

それから俺はついに連絡先を書いた紙を渡した。 流星くんともっと仲良くなりたいと思ったから。

好きって言葉にしなきゃダメですか

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