部屋に入ってきたのは夕食を運びに来たであろう二人だった。片方は眼帯をつけていて伊達さんにそっくりな人だった。もう片方は少し癖のある紫髪の美人な方だけどおそらく口調や体格からして男性だろう。
柘榴
えっと、別に怪しい者ではないですよ?
?
だいぶ怪しいのだけれど?
一度食事を床に置き刀をこちらに向けてきた紫髪さん。でもその刃は刃こぼれしていた。気持ちはわかる。逆の立場だったらきっと誰でも疑うだろう。
柘榴
あ、刃こぼれしてる。怪我、大丈夫ですか?
?
そんなこと君に関係ないだろう?
柘榴
関係ありますよ。だって私この本丸の主なんですから。それに見てるこっちが痛くなってきちゃいます
?
君、審神者なのかい?
柘榴
はい。今日からこの本丸に配属された夜宮柘榴です。以後お見知りおきを
?
君は、刀を向けられて怖くないのかい?
柘榴
そりゃ怖いですよ?でもこの本丸に来て刀を向けられるのはこれで6回目なので流石にもう慣れました
?
怖いにしては堂々としてるけど
柘榴
怖いって言っても対抗手段があればそこまでではありませんよ
?
対抗手段?何かあるのかい?
柘榴
はい。魔符を結構持ってきているので、まあ完全に屋外用なので室外で使えるものは殆んどないですけど
?
どれだけあるんだい?
柘榴
ざっと29万枚ぐらい?
?
そんなにいっぱいどこにあるんだい?
柘榴
ポケットの中ある収納石に入れてるんですよ。えっと、これです
そう言って私はポケットの中にあった収納石を出した。(だいたい直径五センチぐらい)
?
綺麗だね
?
ほんとにこの中に物が入るのかい?
柘榴
じゃあ試しに出してみますね
そう言って私は試しに中から魔符を適当に一枚だして見せる。
?
すごいね
?
それはどんな効果があるんだい?
柘榴
適当に出したので、今確認しますね。あ、爆発符Ⅹ。えっと、広範囲を爆発させるものです。屋外用なので今は使えませんね
?
なんでそんなものがあるんだい?
柘榴
何があるか分からなかったのでつい
加州清光
ん、おはよう…って、なにこの状況
大和守安定
主おはよ~。何、戦闘?
柘榴
あ、二人ともやっと起きた~
加州清光
なんで主そんな冷静なの?
柘榴
だってもうここに来て刀向けられんの六回目だもん
大和守安定
そんなにあったんだ
?
で、君はいったい何なんだい?
柘榴
んーと、私は先ほども言ったとおり審神者で、言わばこの本丸の状況改善をしに来たって感じですね
加州清光
俺の主に手出さないでくれる?
大和守安定
お前のじゃなくて僕のだから
加州清光
うるさい
大和守安定
そっちがうるさいよ
この状況で言い合いなの!?やっぱり仲いいんだなあ。
?
やっぱりこの人間が三日月の言ってた人か
柘榴
えっと、三日月って?
?
……
?
……
大和守安定
主、この二人はこの本丸の食事当番なんだ
加州清光
主も一緒に食べよ!美味しいんだよ
柘榴
えっと、ちょっと待って。状況整理が追い付かないから
やっぱりこの二人のんき過ぎない!?というかどこかズレてる。とりあえず状況を整理すると、私は今紫髪さんに刀を向けられていて、その刀は刃こぼれしているため相手はけがをしている。そしておそらくもう片方の伊達さんらしき人も怪我をしている可能性が高い。そして相手に私が審神者だということも伝わってしまった。ん?ってことは相手を不快な気分にさせてしまったかもしれない。
柘榴
あの、ごめんなさい!審神者と聞いて不快でしたよね、もっと言葉に気をつけるべきでした。お願いなので刀をしまってください。けがをした状態で重たいものを持ったまま同じ姿勢なのは体に悪いので
?
君、審神者なのに刀剣に頭を下げるのかい?変わっているね
伊達さんみたいな方がしゃがみ込みながらこちらを見ている。
柘榴
だって、私よりも刀剣の付喪神であるあなた方のほうが尊く、気高い存在なので当たり前のことです。それに、この本丸のみんなを幸せにするまでは死にたくないので
?
君は当たり前のように凄いことを言っているね
?
燭台切、後は任せたよ。僕は三日月さん達にに報告に行ってくるから
うん、報告?ちょっと待って、報告されるのはまずいかもしれない。
?
えっ、ちょっと、歌仙君…⁉
柘榴
ちょっと待ってください。報告ってなんですか?後、怪我をしたままあまり動かないでください。傷口が悪化しちゃいますよ?
?
な、何をする…!
柘榴
だからちょっと待ってください!せめて行くなら怪我を治してからにしてください!そんな状態で歩いたら最悪倒れますから!
?
貴様の言っていることは理解できない