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nmmn注意⚠️ キャラ崩壊注意⚠️ 誤字脱字注意⚠️ 警察官パロ⚠️ 黄様若干翠様に嫌われ⚠️ 敬称に違いあり⚠️ パクリ禁止⚠️
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14,過去の赦しが、今の罪になることもある
俺は、なつやらんみたいに、家族の誰かが警察だったからって理由でこの道を選んだわけじゃない。
普通の家庭の、普通の子供だった。
けど、小さい頃から人を助けるのが好きだったんだ。
泣いてる奴がいれば手を差し伸べて、怪我してる奴がいれば絆創膏を貼ってやる。
ペタ、と熊の絆創膏を貼る。
そうやって笑顔を見られるのが、たまらなく嬉しかった。
だから、正義のために動ける人間になりたいと思った。
その延長に、警察官という道があった。
ただ、それだけだ。
訓練は厳しかったけど、俺には合っていた。
「正しさ」を守ることが、自分の生きる理由になっていった。
やがて、優しさと厳しさ、そのどちらも持ち合わせていると評価され、教官として後進の指導を任されるようになった。
夏希も、須智も、あの頃の俺と似ていた。
真っすぐで、優しさに溢れていて。
だからこそ、時には厳しさを教える必要があった。
正義には、時として冷たさも必要だから。
それから、刑務官としての仕事も時々行っていた。
人手が足りねぇからって、な。
俺は真面目だったし、命令があれば黙って従った。
そのうち、一人の囚人を担当することになった。
重罪犯。
人を殺した、本物の“悪い奴”。
そう思っていた。
最初は必要最低限のやり取りだけだった。
だが、そいつはよく話しかけてきた。
無駄話ばかりで、こっちはイラつく一方だった。
けど、気づけば、会話を返すようになっていた。
たった数分の会話が、妙に心を落ち着かせた。
俺の中に、あってはならない“情”が生まれていたんだ。
そして——死刑執行の日。
そいつは泣いていた。
声を上げて、子供みたいに。
そりゃそうだ。
誰だって、死ぬ瞬間は怖いに決まってる。
それでも俺たちは、ボタンを押さなきゃいけなかった。
三つ並んだボタン。
そのうちどれが作動するかは分からない。
罪悪感を薄めるための、無意味な仕組みだ。
俺は、震える手でスイッチを押した。
本来なら“カチリ”という乾いた音がするはずだった。
けど、その時は違った。
——“ぷつん”。
何かが、心の奥で切れたような音がした。
その瞬間から、俺は“笑う”ことを忘れた。
喜びも、悲しみも、すべて遠くに霞んで。
代わりに、重たい負の感情だけが、ずっと心の底に居座り続けた。
……自業自得だよな。
勝手に囚人に情を持って、勝手に壊れて。
勝手に、人間らしさを手放した。
思ったんだ。
『過去の赦しが、今の罪になる』って。
あの時、俺が感じた“哀れみ”が間違いだった。
人を赦そうとした結果、俺自身が罰を受けることになった。
今も苦しんでる。
人間に戻りたいのに、戻れねぇ。
笑い方も、泣き方も、全部分からなくなった。
だから、なつが羨ましかった。
一度は人間らしさを失っても、また取り戻そうとしている。
その姿が、あまりに眩しかったんだ。
――語り終えた時、亥留馬はふと、長く息を吐いた。
その吐息は白く、冷たい空気に溶けていく。
夏希は、しばらく黙っていた。
目の前の男の過去を、簡単な言葉では受け止めきれなかった。
だがやがて、小さく笑う。
夏希の声は柔らかかった。
亥留馬は、眉をわずかに寄せた。
夏希は、まっすぐに言った。
その言葉が胸の奥で弾けた瞬間、亥留馬の視界が滲んだ。
目の奥が熱くなり、溢れたものを止められなかった。
嗚咽混じりに、彼は笑った。
涙と一緒に、ようやく“温かさ”が滲んだ。
夏希は微笑んだ。
その声は、あの頃の教官に向けた、純粋な敬意の響きを持っていた。
そう言って、夏希は立ち上がる。
そして静かに背を向けた。
去っていく背中が遠ざかる。
その足音が消えた後、亥留馬は、ひとり小さく呟いた。
その声には、確かに“人間”の響きがあった。
冷たい空気の中で、その笑みだけが、ほんのりと温かかった。
14・了
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𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝︎︎︎︎♡150
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コメント
4件
続き楽しみにしてます
いるまくんも絶対人間に戻れるよ!! らんらんの過去も聞きたい...!