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夕日を指すお前を見つめて。

第3話 - 第3話

2025年12月04日

#恋愛

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#ツンデレ

姫川苺🍓

花火大会当日。海晴は学校の正門で実玖を待つ。

海晴

(学校の正門前で待っていると、冬の冷たい風に頬がぴりぴりする。マフラーを巻き直しながら、携帯を見ていた俺は、ふと時間を確認して慌てて辺りを見回した。まだ早い時間だけど、お前はもう来てるんじゃないか。そんな考えが頭をよぎり、きょろきょろと周りを見渡す。)

しばらくして実玖が来る。

海晴

じゃあ、行くか。

海晴

(短くそれだけ言うと、俺は歩き始める。今日もお前の制服のスカートは長くて、黒いタイツを履いて、足を隠している。露出のないお前のスタイルが俺は好きだ。冬の空気が澄んでいて、俺たち二人の息が白く浮かんで消えていく。)

2人は電車に乗って少し移動し、目的地へ向かう。

海晴

ここ、あんまり人いないだろ。静かだし。

実玖

たしかに......！いい所だね！

海晴

(お前のはしゃぐ姿に、思わず口元が緩むのを必死に堪える。夜景を眺めるお前の横顔を見つめながら、こっそり心の中で思う。...連れてきて良かった。).....だろ？俺、いい場所見つけたんだよ。(得意げに言うが、声が少し震えている。寒さのせいばかりじゃないだろう。)

実玖

花火が上がる前にあそこの屋台見に行かない？(実玖は屋台の方を指さす)

海晴

(お前が指さす方向を見る。確かに小さな屋台がいくつか出ているのが見える。その提案に少し驚いたような表情を見せてから、すぐに
頷く。)お、いいな。行ってみようぜ。(本当はお前と手を繋ぎたい気持ちでいっぱいだったけど、我慢して先に歩き出す。)

実玖

あ、待ってよ。(あわてて後を追う)

海晴

(人混みを避けながら歩いていた俺は、突然後ろから追いついてきたお前が肩にぶつかる感触に振り返る。その時、ある考えが浮かんで顔が赤くなる。)っ.....！おい、前ちゃんと見て歩けよ！

実玖

あ、ごめん。

海晴

(お前の謝罪に少し落ち着いたふりをしてから、もう一度前を向いて歩き始める。しかし、先ほどの出来事で変な意識をしてしまった俺は、どうしてもお前との距離を意識してしまう。)...あそこの焼きそばでも食うか？

実玖

うん……！

海晴

(焼きそばの屋台に近づくと、香ばしいソースの匂いが鼻腔をくすぐる。俺は自然とお前の方に体を向け、会計を済ませる。)はい、お前の分。熱いから気をつけろよ。(渡しながら少し照れくさそうに顔をそむける。)

実玖

ありがとう！(実玖は焼きそばを受け取る)

海晴

(お前が笑顔で受け取ると、なぜか俺まで嬉しくなる。それを必死に隠しながら、適当に視線を逸らして言う。)....別に。お礼なんていいよ。友達同士なんだから、これくらい普通だろ。(でも内心では、こんな当たり前のことでも喜んでくれるお前が可愛くてたまらないと思っている。)

実玖

次はあっちの屋台、行きたい。(実玖は射的を指差す)

海晴

(射的か...。懐かしいな。小さい頃、親父に連れてってもらったっけ。あんま上手くなかったけど...)...いいよ。お前、なんか欲しいのあんの？

実玖

何にしようかな？

海晴

(悩んでいるお前の姿を後ろから見つめながら、静かに考える。こういう時、カップルだったら彼氏が彼女の分を取ってあげたりするんだろうな....俺も...そんなことしてみたいかも...なんてことを考えていると、ふと我に返る。俺は何を考えてるんだ。)

実玖

あの駄菓子にしようかな

海晴

(少し離れた場所から、お前の後ろ姿をじっと見つめている。どうでもいいけど、射的の店のおっちゃん、ちょっと怪しい雰囲気だな…。)

実玖が撃った玉は見事に命中した。

実玖

やった…！

海晴

(小さく拳を握って喜ぶお前を見て、胸がキュンとする。同時に、店のおっさんがニヤニヤしながらお前に近づいてくるのが見えた。)

射的屋の店主

おっ、お嬢ちゃん上手だね～？これもあげちゃおうかな〜？

海晴

(明らかに怪しい雰囲気に、俺は咄嗟に大股で歩いていって、店の前で立ち止まる。)

海晴

(俺が来たことに気づいた店主は、急に興味を失ったふりをして他の客を呼び込み始める。俺はそんな店主を横目で見ながら、お前に言う。)...ほら、欲しいもん手に入ったんだから、とっとと次行くぞ。

実玖

え…？うん。

次はリンゴ飴の屋台へ向かう。

海晴

(リンゴ飴の屋台に向かうお前の後ろをついて歩きながら、さっきの店のことを思い出す。)なんだよ、あんなクソ親父...。(独り言で悪態をつきながら髪をくしゃっと触る。そのとき、前を歩いていたお前が急に立ち止まる。)

実玖

どうしたの？

海晴

(慌てて顔を上げて前を見ると、お前がちょうど振り返ったところだった。目が合うと、途端に心臓が跳ね上がるのを感じる。)あ、いや...なんでもない。ただ、さっきのあの店、なんか怪しくなかったか？(照れ隠しで眉間にしわを寄せながら、さりげなくお前から視線を逸らす。)

実玖

そうかな……？

海晴

は？そうかなって....お前、店主のおっさんがお前に駄菓子もう一個くれようとしてたの、気づかなかったのか？

実玖

優しいじゃん。

海晴

(俺はお前のその言葉に、思わず言葉を失う。優しい？あの状況で、あの怪しい店主を優しいだなんて....お前のその無防備さに、逆に心配になる。)はあぁ...？お前なあ...ちょっとは疑うとか、危険だって思うとか....そういうのないのかよ？

実玖

え…？

海晴

…別に、お前のこと心配してるわけじゃねえからな！ただ...この祭りで変な奴が多いから、注意しろって言ってるだけだ。(早口でまくし立てて、慌ててリンゴ飴の屋台の方を指差す。もうこれ以上この話を続けたくなくて、強引に話題を変える。)

2人はリンゴ飴の屋台へ着く。

実玖

(実玖はリンゴ飴を買う)

海晴

(お前は屋台でリンゴ飴を二つ買うと、一つを俺に差し出す。俺は一瞬驚いたような顔をしたが、すぐにそれを受け取る。)...なんで俺にまで買うんだよ。(ぶっきらぼうに言いながらも、手元のリンゴ飴を見下ろす。少し照れくさそうに髪を触りながら、小声で続ける。)...ありがとな。

海晴

(人混みの中で、お前は何度か俺と手が触れそうになる。そのたびにお前は慌てて手を引っ込めるが、俺は気づいている。お前が意図的にそうしているわけじゃないってことを。)おい、大丈夫か？迷子にでもなったら大変だぞ。

実玖

あ、たしかに。(実玖は海晴の手を握る)

海晴

(その瞬間、心臓が大きく跳ねる音が聞こえそうなほど動揺する。握られた手のひらから伝わる温もりに、顔が一気に熱くなるのを感じ
た。)お、おい...！急になんだよ....！(周りの視線が気になって、思わず声を荒げてしまう。でも、お前をこの人混みの中に一人にするわけにはいかないという思いもあって、強く振り払えない。)

実玖

(実玖は海晴を見上げながら)
迷子になっちゃうかなって思って。

海晴

(お前が俺を見上げると、さらに心拍数が上がるのを感じる。こうして近くで見ると、本当に小柄だな。守りたくなるような、そんな衝動に駆られる。）...べ、別に心配してねぇし。ただ、迷子になったら面倒だから...！(そう言いながらも、握った手は離さない。むしろ、もう少し強く握り返している自分に気づく。)

2人は手を繋ぎながら屋台を歩き回る。

実玖

あそこのおみくじ行かない？(実玖は屋台を指さす。)

海晴

(お前が指さす屋台を見て、一瞬だけ顔をしかめる。おみくじか。そういうのって、あまり興味ないんだけどな。でもお前と一緒なら、まあ...悪くないかも知れない。)...別に、いいけど。当たるもんかね、そういうの。

実玖

あのおみくじ、恋愛のおみくじなんだって。

海晴

(恋愛のおみくじという言葉に、一瞬だけ肩をびくっと震わせる。リンゴ飴を食べるお前を横目で見ながら、気まずそうに視線を泳がせ
た。)な、なんだよそれ.....そんなもんまで置いてあるのかよ、今時。(声が少し上ずってしまうのを感じながら、髪を掻く手が止まらない。内心では「絶対に行かない」と言いたいところだが、お前の期待に満ちた目を見るとどうしても「嫌だ」とは言えなかった。)

実玖

引くの楽しみ。(実玖はわくわくしながら屋台へ向かう)

海晴

(お前についていく形でおみくじの屋台へ向かう。その足取りは重く、進むにつれて顔が赤くなっていく。内心ではなんでこんなことに...。ただの迷信だろ。と自分に言い聞かせているが、一方でお前との時間を楽しんでいる自分もいることに気づき、混乱していた。)おい、あんまりはしゃぐなよ.....ただのおみくじだろ。

実玖

(実玖はお金を払い、恋愛のおみくじを1枚引く。可愛いハートの紙が出てくる。)

海晴

(俺は横からそれを覗き込みながら、内容に興味があるような、ないような素振りを見せる。）…なんだよ、なんて書いてあるんだ？

実玖

(実玖は読み上げる)"運命の相手は意外と近くにいる"って書いてある.....！

海晴

(その瞬間、顔が真っ赤になる。自分でも気づかないうちに、思わずお前と目を合わせてしまう。慌てて顔を逸らしながら、ぶっきらぼうに言う。)は、はは...意外と近くにいるって、そんなの当たり前だろ。世の中狭いんだから。

実玖

意外と近くにいるんだ......。どのくらい近いんだろ。

海晴

(お前のつぶやきを聞いて、思わず顔を向けてお前を見つめる。心臓が早く鼓動し始めるのを感じながら、必死に平静を装う。)さ、さあな....どのくらい近いのかは分からないけど....。まあ、ただのおみくじだからな。

実玖

海晴くんは引かないの？恋愛おみくじ。

海晴

(俺は一瞬、お前と目を合わせられずに視線を泳がせる。引けって言われてるような気がして、少しイラついたように眉をひそめた。)
俺がそんなことで占いなんてするわけねーだろ。どうせハズレだし。(そう言いながらも、内心では気になって仕方がない。お前の隣で引いたら、同じことが書かれるだろうか。それとも.....。)

実玖

せっかくだし、引きなよ。
(実玖は恋愛おみくじを引くようにすすめる。屋台のおばちゃんも引くようにすすめる。)

海晴

(おばちゃんにまですすめられ、断るのもおかしな空気になってしまった。深いため息をつきながら、しかたなく財布から小銭を取り出
す。)...ったく、わーったよ。一回だけな(ぶつぶつ言いながらも、その声はどこか照れくさそうだ。おばちゃんがにこにこと笑いながらハート型のおみくじを差し出すと、俺は乱暴にそれを受け取った。)

海晴

(俺はおみくじを開いて内容を読む。その瞬間、さっきまでの不機嫌な表情が消え、代わりに驚きと戸惑いが顔に広がる。)あ、あー…なんだこれ...。

海晴

(おみくじには｢愛する人ができれば必ず叶う」という文字が大きく印刷されている。そして下の方には「あなたの気持ちを素直に表現しなさい。そうすれば道は開けるでしょう。」という文が続いている。これを見て、頭の中が真っ白になる。愛する人ってなんだよ？必ず叶うって？素直に気持ちを表現しろって？これ全部、俺のことか....？)

実玖

(実玖は海晴のおみくじを横から覗き込む。)

海晴

(お前が横から覗き込むと、俺はビクッとしておみくじを持つ手に力が入る。心臓が早鐘を打ち、顔がカッと熱くなるのを感じた。).....っ、見るんじゃねえよ、バカ！(慌てておみくじを折りたたみ、ポケットに突っ込む。お前の顔が見れず、俯いたまま早口でまくし立てる。)

海晴

べ、別に当たってるわけじゃねえし......。こんなのただの偶然だからな！

実玖

そ、そう？

海晴

そうだよ。大体、こんなもんに頼る奴の気が知れねぇよ。俺は絶対に信じねぇか
らな。(そう言いながらも、先ほどのおみくじの内容が頭から離れない。愛する人ってのは誰なんだ？もしかして......お前のことなのか？)

実玖

(実玖はスマホの時計を見る。)そろそろ花火上がるみたいだよ！さっきのところへ行こう！

海晴

(お前のはしゃぐ様子に少し心が和らぐ。さっきまでの気まずい雰囲気が少しだけ和らいだような気がした。)
...そうだな、行くなら早く行こうぜ。(再びお前と並んで歩き始める。さっきよりも少しだけ距離が近くなった気がする。さっきのおみくじの内容が頭の中でずっとぐるぐると回っている。本当にお前が俺の愛する人なのかもしれないって思うと、胸がドキドキして止まらない。)

そして高台に着く。さっき屋台で買った焼きそばを食べる。

海晴

(お前は焼きそばを食べながらはしゃいでいる。俺はそんなお前を横目で見ながら、さっきのおみくじのことを考える。お前が本当に俺の運命の人だったらどうする？)

海晴

(その時、ふと我に返る。俺はなんでこんなことを考えているんだ？まだお前のことを友達以上に考えたことなんてなかったはずなのに。でも、もしお前が俺を好きになったら...俺はどうする？頭の中がグルグルして、わけがわからなくなる。)

2人はレジャーシートを忘れたのでベンチに座って焼きそばを食べている。

海晴

(ベンチに座って焼きそばを食べるお前をちらりと見る。周りの人々がちらほらと座っている中、俺たち二人は少しだけ浮いているような気がした。).....お前、レジャーシート忘れたの？

実玖

忘れちゃった。海晴くんも忘れたんでしょ？

海晴

...まあ、持ってくるべきだったとは思ったけどな。(手元の焼きそばを突きながら、ぼそっと付け加える。)別に、ベンチだろうが、レジャーシートだろうが、変わらんだろ。

実玖

でもベンチに座った方が花火見やすいよ。首疲れないし。

海晴

(お前の言葉に少し頷きながら同意する。)まぁ、それはそうだけど...。(その時、ふと気づく。こうして並んで座っていると、カップルみたいに見られたりしないだろうか？周りの視線が気になって仕方がない。でも、この場所を離れたくないという矛盾した感情も湧いてくる。)

実玖

(実玖は焼きそばを食べ進める。口はソースで汚れているが気づいていない)

海晴

(お前が夢中で焼きそばを食べている姿をじっと見つめる。口元に付いたソースに気づいていない様子が妙に可愛くて、思わず目が釘付けになる。)...おい、お前。口、汚れてんぞ。(声をかけながら、そっと手を伸ばす。指先でお前の唇の横を軽く拭ってやる。)

実玖

あれ？ほんとだ。

海晴

(拭ってやった指先を見下ろし、急に自分の行動に恥ずかしくなる。顔が熱くなって、慌てて視線をそらした。)ちっ、マジで子供だな、お前は。そんなことも気づかねぇで、よく食べられるな。(ぶっきらぼうに言い放つが、声はなぜか少し上ずっている。花火が上がる時間が近づき、空の色が徐々に変わり始めている。)

実玖

(実玖はさっき引いた恋愛のおみくじを見る)

海晴

(お前がおみくじを取り出すのを見て、さっきのおみくじの内容を思い出す。胸がざわついて、思わず視線がお前の手元に釘付けになる。)...何見てんだよ、それ。(聞きながらも、なんとなく答えがわかっている。あの恋愛のおみくじだ。俺も気になって仕方がない。)

実玖

これ、ほんとだったらいいのにね。

海晴

(お前の言葉に心臓がドキッとする。ほんとだったらいいって、どういう意味だ？まさか、俺との関係のことを言ってるのか？混乱した気持ちで、必死に平静を装いながら聞き返す。)は？何がほんとだったらいいんだよ？

実玖

え.....？(実玖が答えた時、花火が空を埋め尽くす)

海晴

(空を埋め尽くす花火の光に、お前の言葉の意味を聞き返すタイミングを逃してしまう。大きな花火の音に、自分の心臓の音まで聞こえそうで、シャツの襟を掴んでパタパタさせた。).....なんでもねぇ。それより花火、始まったぞ。(視線は花火に向けているが、頭の中はお前のさっきの発言でいっぱいだ。ほんとだったらいいって、どういう意味だよ。まさか、俺のこと......いや、そんなわけないだろ。ただの願掛けみたいなもんだって、そう思うことにした。)

実玖

(花火は東京の都会の景色によく映える。ビルの上に沢山花火が上がる。)
綺麗だね.....！

海晴

(ビルの上に次々と咲いては消える大輪の花に、一瞬息を呑む。確かに、これは綺麗だ。お前が喜ぶ理由もわかる気がする。)...そうだな。(短く答えながら、ふと隣に座るお前を盗み見る。横顔があまりにも無防備で、俺の心臓がまた無駄に跳ねた。こんなに近くにいたら、誰かに誤解されるんじゃないかと、変な心配が頭をよぎる。)

実玖

(実玖はキラキラした目で花火を見つめる)

海晴

(その無邪気な横顔を見ていると、さっきの「ほんとだったらいい」という言葉の意味が、ますます気になり始める。まさか、俺とのことを言ってるんじゃ...？いや、そんな都合のいい勘違いはするな。きっと願掛けみたいなもんだろ。そうだよな...。俺は必死に自分の気持ちを落ち着かせようとするが、花火の光が次々とビルに映し出される中、どうしてもお前の横顔から目が離せない。)

実玖

(実玖は花火を見ながら口を開く)海晴くんはさっきの恋愛おみくじ、信じてるの？

海晴

(不意に振られた話題に、思わずビクッとする。さっきのおみくじのことか....。信じるも何も、あれを見た瞬間からずっと頭の中をぐちゃぐちゃにされてるっての。)…別に。あんなの当たるもんかよ。ただの紙切れだろ、紙切れ。

実玖

私は信じてもいいと思う。

海晴

(お前が花火を見ながら言う言葉に、胸がチクリと痛む。くそ、なんでこんなに気持ちが揺さぶられるんだ。ただのおみくじだろ？なのになんで...こんなに心が落ち着かないんだよ。)...お前、あのおみくじ信じてんのか？末吉だったよな、確か。

実玖

大吉だよ。(実玖は笑う)

海晴

(大吉？じゃあ、俺より良いじゃないか。なんでそんな重要なことを間違えるんだよ、まったく。)あ、ああ....大吉か。まぁ、言うてあまり変わらないだろ。

2人は花火を見つめる。

海晴

(花火を見つめるお前の横顔を見ながら、俺はそっと息をつく。さっきの失敗を取り返したい気持ちと、この時間がいつまでも続けばいいという願いが頭の中で交錯する。しばらく沈黙が流れた後、俺は口を開く。)...なあ、来年もまたここに来るか？

実玖

来年も見に行こうかな。

海晴

(その答えに顔がぱっと明るくなり、すぐに照れくさそうに髪をくしゃっとかき乱す。)そうか....じゃあ、来年も一緒に来ようぜ。(そう言いながら、ちらりとお前の様子を伺う。俺の言葉、迷惑じゃないよな....？内心ドキドキしながら、返事を待つ。)

実玖

いいよ…！行こ！

海晴

(お前の笑顔を見た瞬間、心の奥底で何かが弾ける音がする。思わずロ元が緩みそうになって、慌てて俯く。下手くそな誤魔化し方で、髪をまたくしゃっとかいた。)...ふん、お前が行きたいって言うから仕方なくだ。勘違いすんなよ。(そう強がって言い放つけど、声は少し震えていた。隠したはずの嬉しさが、指先から滲み出ている。)

実玖

花火って綺麗だけど一瞬で消えちゃうの、なんか儚くない？

海晴

(花火の光が夜空に咲いては消える様子を、ぼんやりと眺める。お前がぽつりと零した言葉に、胸が微かに締め付けられるような感覚を覚えた。).....そうだな。綺麗だからこそ、余計にそう思うのかもな。(俺は短く答えると、ふと、お前の横顔を盗み見る。儚い、か。その言葉が妙にお前に重なって、喉の奥が少しだけ苦しくなった。)

花火大会が終わり、人々が帰っていく。海晴と実玖もゆっくりと駅へ向かう。

海晴

今日は...その、ありがとな。付き合ってくれて。

実玖

すごく楽しかった。また行こう。

海晴

(耳が真っ赤になる。お前の笑顔を見ると、心臓が高鳴って、変なことばかり考えちゃうんだ。もっと一緒にいたいとか、もっと色んなところに行きたいとか...。でも、それを絶対に口には出さない。)...お、おう。また行こうな。(短く答えた俺は、急に髪を触りながら話題を変える。)あー、腹減ったな。なんか食ってから帰らない？

実玖

(頷きながら)そうだね。